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ロールケージ(ロールバー)とは?取り付け方法や値段、効果や車検時の注意点

ロールケージのある車は車検に通る?公道を走れる?

ロールケージが取り付けられた車両でも公道走行可能

©dreamnikon/stock.adobe.com

時折一般道で見かけることや、全日本ラリーに参加しているラリーカーを見てわかるように、ロールケージが組まれた自動車でも車検を取得することはできます。公道走行も可能です。

ただし、道路運送車両法に違反しないことが前提のため注意が必要です。以下では基本的な注意事項をいくつか紹介します。

ロールケージ付き車両で公道を走る場合の注意点

乗員の周りにあるロールバーにはパッドを巻く

まず、乗員の周りにあるロールバーは剥き出し状態ではなく、ロールバーパッドを巻いておかなければなりません。この根拠は「道路運送車両の保安基準」の第18条2項に記されています。

自動車(次の各号に掲げるものを除く。)の車枠及び車体は、当該自動車の前面が衝突等による衝撃を受けた場合において、運転者席及びこれと並列の座席のうち自動車の側面に隣接するものの乗車人員に過度の傷害を与えるおそれの少ないものとして、乗車人員の保護に係る性能に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。

道路運送車両の保安基準より抜粋

上述した通りロールケージは金属パイプの集合体ですから、交通事故時で頭をロールバーにぶつけたら危険です。その対策として専用のパッドを巻いて緩衝するようにしておく必要があります。

運転者の視界を妨げないようにする

平成28年11月1日以降の新型車及び平成30年11月1日以降の継続生産車にロールケージを装着する場合、「自動車の運転に必要な直接視界に係る協定規則(第 125 号)」に違反しないよう注意する必要があります。

運転席から前方の一定範囲に視界を妨げる遮断物を置くことを禁止するというものです。上記期間に該当する自動車にロールケージを取り付ける際には注意しましょう。

ロールケージのメリット・デメリット

メリット

ボディ剛性が上がる

先に紹介した通りボディ剛性が上がります。サスペンション本来の性能を発揮するために効果的です。

ボディそのものが経年劣化や度重なる修理・金属疲労などで劣化した車両にロールケージを取り付けて、ボディ剛性を高める方法もあります。

競技中の大きなクラッシュでもボディが比較的つぶれなくなる

©Clarence Alford/stock.adobe.com

ロールケージの無い車両よりもボディがつぶれにくくなります。モータースポーツにクラッシュはつきものですから、クラッシュ時に乗員を守るためのマストアイテムといえるでしょう。

見た目がかっこよくなる

レーシングカーやラリーカーのような見た目となり、モータースポーツらしさ全開のデザインでかっこよさ倍増です。組み上げるのに一手間かかりますから、手間をかけた分だけ達成感も味わえます。

デメリット

乗り降りが不便になる

ロールケージが邪魔して乗り降りが不便になります。パイプの数が増えればふえるほど車内空間も狭くなります。

ボディ剛性を高めるためにロールケージをたくさん取り付ければ取り付けるほど、日常生活における快適性・利便性からかけ離れていきます。

ロールケージに頭をぶつける可能性がある

ロールケージを入れた分だけ頭とのクリアランスが少なくなり、立ち上がった時や、交通事故の際に頭をぶつける可能性が高くなります。

座面位置の低いシートを導入したり、座面の高さを調整できるシートで対処しますが、大体の人は運転席側にフルバケットシートを採用します。

車両重量が重たくなる

外径40mmの金属パイプを何本も使うため車両重量増加は免れません。

CUSCOでお馴染み株式会社キャロッセが展開するSAFETY21ロールケージの一部車種向けを見ると、シンプルな4点式ロールケージで13.0kg、8点式になると17.0kg増の30.0kgとなっているのがわかります。

この重量増加対策として後部座席を取っ払うのがお決まりコースです。ただし、後部座席を取り除く場合には乗車定員を変更する(構造変更して車検を通す)必要があります。

ボルトオンでもフロアへの加工が必須

溶接よりも難易度の低いボルトオンタイプですら、車体フロア部分への穴あけ加工が必須となります。これをすると中古車としての査定価格は、していないものより安くなるのです。ただし、競技車両として販売されればまた事情が変わってきます。

ロールケージ、ロールバーの値段は?

©Artur Shevel/stock.adobe.com

ロールケージやロールバーの値段は、ロールケージの形状(点数)やロールバーの材質、そして購入方法などによって異なります。

複雑な形状のロールケージほど値段は高い

ロールケージの形状が複雑であればあるほど、つまり点数が大きくなるほど値段が高くなります。

具体的な値段は車種によるところもあるため一概に言えませんが、例えば4点式ロールケージ(運転席より後方に取り付けるもの)なら50,000円以上はすると考えて良いでしょう。

6点式ロールケージ(4本式ロールケージの前方へAピラーに沿って取り付ける仕様のもの)は4点ロールケージより30,000-40,000円ほど値段が高い傾向です。

ロールバーの材質も影響する

ロールバーの材質の違いが価格に影響することもあります。例えばスチールのロールバーとクロモリのロールバーでは、同じ4点式でも価格は異なる場合があります。ロールバーの外径や内径(つまりロールバーの肉厚)も影響します。

キットでの購入がお得なケースが多い

特定の車種向けのロールケージキットを購入するのが、エンドユーザーによっては一般的な購入方法で、価格的にもお得です。アフターパーツメーカーが販売しているロールケージのキットを購入するということです。

それ以外の方法で購入する場合、自身で寸法を測定したり、曲げ加工などを行う必要があり、ロールバー単体を安く購入できたとしても加工に必要な設備・工具の導入によるコスト増加や、完成まで時間がかかること、そしてそもそも加工が難しいという点があります。

手っ取り早く装着したければ既製品を選ぶのが吉です。

ロールケージは自作できる?

ロールケージを自作することは可能です。ただし、自作するための工具や設備などが必要になるため、その難易度は様々なDIYの中でもトップクラスと言っても過言ではありません。

多くのユーザーはその煩雑さ・難しさゆえに既製品のロールケージを購入・取付していますが、ロールケージを組もうとしている車種向けのロールケージキットが販売されていないことがあります。

そういう車種にロールケージを装着したいとなった場合には、自作する、あるいはワンオフのロールケージの製作を専門とするショップ等へ依頼するかの選択肢となります。

ロールケージ自作のためのプロセスを俯瞰すると、寸法の測定、材料の調達、ロールバーへの各種加工(曲げや溶接など)、取付といったようになっています。特に、寸法の測定と各種加工が技術的にも金銭的にも難所となるでしょう。

メリット・デメリットを理解した上でロールケージの導入を

©Grafvision/stock.adobe.com

ボディ剛性の強化、乗員の保護、サスペンション本来の性能を出し切るなど、ロールケージの役割はモータースポーツのためであるのは明らかです。

それらのメリットや見た目のかっこよさに魅了されて取り付けるのも良いですが、利便性・快適性の問題や査定額の低下といったデメリットを理解した上で取り組むようにしましょう。

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執筆者プロフィール
中華鍋振る人
中華鍋振る人
自動車とバイクに関連する記事を書いています。モータースポーツは観戦よりも参戦派。道交法や違反に関する情報を、法律に詳しくない人にもわかりやすく解説しています。

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