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ロールケージ(ロールバー)とは?取り付け方法や値段、効果や車検時の注意点
目次
ロールケージとは?ロールバーと何が違う?
競技車両に取り付けられた金属パイプのフレーム
ロールケージとは、レースやタイムアタック系の競技車両に取り付けられる金属パイプのフレームのことです。
市販車でロールケージが標準装備されていることはほぼありませんが、ロールケージが架装されたワンメイクレース(=車両を1車種に限定して開催されるレースのこと)向け車両は販売されています。
現在ですと、トヨタ ヤリスのカップカーがそれに該当します。
ロールケージに使われる金属パイプには鉄(スチール)やアルミなどがあります。公式競技のレギュレーションでは鉄パイプ製を使うように記されているのがほとんどで、寸法(直径と肉厚)にも指定があります。
ロールケージとロールバーの違い
ロールケージは「ロールバー」と呼ばれることもあります。世間や車界隈ではロールバーと表現されることが多いのでそちらのほうが一般的に馴染んでいると言えるでしょう。
しかし厳密に言及すれば、ロールケージはケージ(cage : 骨組み、鳥籠)ですし、ロールバーはバー(bar : 棒)なわけですから、「ロールバーを組み合わせたものがロールケージ」とするのが自然です。
ロールケージの効果と役割
車体が潰れるのを防ぎ乗員を守る
重大クラッシュ時に車体が潰れるのを防ぐことで乗員を守るのがロールケージの最大の目的です。
時速200km超えで他の車両やタイヤバリア・看板などにぶつかれば車両には想像を絶する力がかかりますから、その際にドライバーやコ・ドライバーが生存する(潰れない・挟まれない)ための工夫が必要になります。
参加者は、参加する競技の規則書(レギュレーション)や車両規定に従ってロールケージを組み付けます。
ボディ剛性の向上
ボディ剛性向上はロールケージの2つ目の役割です。ボディ剛性を高めると、走行時のボディの歪みを減らすことができます。これはサスペンション本来の性能を出し切るうえで有効な手段となります。
とは言いながらも、ボディ剛性を理論的に理解することは簡単ではありません。そこでティッシュペーパーの箱を題材に説明することにします。
ティッシュペーパーの両端を持ってそれぞれ逆方向に捻った時の抵抗感がボディ剛性で、箱の材質そのものの強さがボディ強度です。
ティッシュペーパーの箱を捻れば簡単にねじまがりますし、鉛筆を箱に刺せば簡単に穴を開けられます。
仮にもしこの箱の内側に、辺に沿って割り箸が固定されていたら、同様に捻った時に箱のねじ曲がり量は少なくなります(感覚的には固いと感じるようになる)。しかし、鉛筆を刺した時に穴が開くのは先ほどと同様です。
つまり、ボディ剛性を高めてもボディ強度は向上しないことになります。
ロールケージの種類と取り付け方法
ボルトオン仕様と溶接仕様
一番簡単な取り付け方が、ボルトオン仕様のロールケージです。この種類のロールケージは、車体側に穴を空けて(あるいは既に用意されているボルト穴を使って)ロールケージを組み付けただけのものになります。
ボディに穴を空ける作業・当て板をボディ外側に貼る作業がありながらも、基本ボルトとナットを締めることで装着できる手軽さ(簡単ではありませんが)が売りです。
ロールケージとしての性能を究極まで求めると、溶接でロールケージを組み上げるようになります。
ボディへの固定する場所の数
ロールケージの形状は点数で表されます。例えば、ボディ4ヶ所で取り付けられていたら4点式、6ヶ所だったら6点式という感じです。
15点式ロールケージになるとまるで迷路のようにロールバーが組み込まれています。
ダッシュ貫通・非貫通
ロールケージの形状は非常に奥が深いので、ここでダッシュ貫通・非貫通の違いだけ紹介します。
ダッシュというのはダッシュボードのこと。ロールケージを組み上げた時にダッシュボードを貫通していれば「ダッシュ貫通」、貫通せずダッシュボード手前でロールバーが曲がっていれば「ダッシュ非貫通」です。
ダッシュ非貫通は「ダッシュ逃げ」とも呼ばれています。ロールケージが組まれている自動車を見つけて、ダッシュ貫通か逃げなのかを見て判断してオーナー様に話しかけると、大変喜ばれることでしょう。
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