更新
アルミテープチューンとは?おすすめ商品や効果に体験談と一緒に解説
目次
アルミテープチューンとは?
アルミテープチューンとは、金属のひとつであるアルミが含まれたテープを車体にはりつけることによってクルマ本来の性能を引き出すことを目的としたチューニングのことをいいます。
クルマのチューニングといえば、お金がたくさん掛かり手が出し辛いといった、クルマの性能アップに対する代償も大きく、なかなか自分のクルマをチューニングすることに足踏みしてしまうといった方もいるのではないでしょうか。
ところが、アルミテープチューンの場合、ホームセンターでも購入できるお手頃なアイテムで実施できるため、とても気軽に自分のクルマにチューニングを施すことができます。
岡本 大地
ミドルフォーミュラ、スーパー耐久、86/BRZレースに参戦しているドライバー。ライトウェイトでスポーティなクルマが好きな一方、普段は軽四のバンを乗り回す。愛車はホンダ・アクティバンとスバル・BRZ。
アルミテープチューンの火付け役はトヨタ?
そもそも、なぜ現代になって急にこのような話が出てきたのでしょうか。実は、これらのすべての発端はあの「トヨタ」が考えたアイデアだったのです。
しばしばこういったアイテムは、ユーザー間ではオカルト的な扱いをされており迷信めいた話でしたが、トヨタがZN6型の86を開発していた際にアルミテープの効果を発見し、純正でも装着したことにより、世の中のアルミテープに対する信憑性が一気に拡がりました。
またトヨタもこのアルミテープチューンを「ユーザー同士で色々な場所にアルミテープを貼って情報交換してほしい」と言うほど…
そこまで言われると「ちょっと試してみたいな」って気になりませんか?
アルミテープチューンの原理と効果は?
「アルミテープを貼り付けるだけでクルマの性能が上がる!」といった魔法のような現象は、どういった原理で起こっているのか、またどのような効果をクルマに与えているのかについて解説していきたいと思います。
除電効果がキーポイント!除電と空気抵抗の関係性
アルミテープチューンは、アルミテープをクルマのボディなどに貼り付けることによって除電効果を得ることができると考えられています。
通常、走行している車は+の電気を帯電しやすい状況下になっており、ボディ表面などに+の電気を帯電しています。
ボディ表面に+帯電した電気により、空気を引き剥がしてしまう力が働いてしまい、ボディを流れる空気が乱れて空気抵抗が生まれてしまいます。
空気が乱れることによって、本来クルマを設計した通りのエアロダイナミクス(空力効果)を得ることができずに、クルマの走行性能の足を引っ張ってしまうことになります。
そこで、アルミテープを貼って除電効果を得て、+の電気を放電し空気の流れを整えるというのがアルミテープチューンの原理となっています。
主に、空力効果といえば、ボディに流れている空気というのが一般的ですが、アルミテープチューンは、ボディに流れる空気を整えるだけでなく、エンジンルームにあるエアインテークなど、空気が流れるエリア全般に効果を及ぼすと考えられています。
エアロダイナミクスの最適化によって運動性能が向上
アルミテープチューンは、前述した除電効果で空気が整え、クルマにたくさんの良い影響を与えると考えられています。
たとえば、ボディに流れる空気を整えることによりエアロダイナミクスを最適化できると、クルマのステアリング応答性や燃費性能など、空気抵抗によって阻害される性能のほとんどの向上が見込まれます。
他にも、ボディのエアロダイナミクスの最適化だけでなく、前述したとおりエンジンルーム内に存在する、吸気装置や排気装置の空気の流れを整えることによる性能向上も考えられます。
バッテリーで帯電した+の電気を放電することで、バッテリー本来の性能を引き出すこともできるなど、想像以上にアルミテープチューンが効果を与えるエリアが拡いということがわかると同時に、+の電気を帯電することによってこんなにもクルマに良くない影響を及ぼしていたのか!と再認識できますよね。
チューンにおすすめのアルミテープは?
アルミテープチューンは+の帯電した電気を放電することによって効果を得ることができるため、通電性が重要となります。ですので、絶縁性のあるアルミテープを使用した場合、アルミテープチューンの効果は得ることができません。
よって、普通にホームセンターで売っているようなアルミテープでも問題はないのですが、電気が良く通りやすい「通電性が良いもの」を選ぶのが、より良い効果を得るためには重要です。
アルミテープを貼り付ける最適な場所はどこ?
では、除電効果によってクルマの性能向上が見込めるアルミテープチューンは、具体的にどのようなエリアに貼り付ければ効果を得ることができるのでしょうか。
以下に効果があると考えられている貼り付け箇所を紹介しますので、ご自身の車両に実際に貼り付けてみて効果があるかどうか確かめてみてくださいね。
必ずしも、すべての車両に以下の貼り付け箇所があてはまるわけではないので確認しながら試してみてください。
- ステアリング、ステアリングコラム(車両の操縦性及び走行安定性を向上)
- イントレット、エアクリボックスなど吸気装置(帯電電荷量を低下させて吸気効率を向上)
- ファンシュラウドなど冷却装置(帯電電荷量を低下させて冷却効率を向上)
- ボディサイド(車体の空力特性の悪化・操縦安定性などの走行性能の低下を抑制)
- マフラーリングなど排気装置(排気系部品の除電、機関出力を向上)
- 燃料タンク、オイルパンなど(潤滑油又は燃料を除電して機関の運転応答性を向上)
- ショック(ショックアブソーバ内オイルの電荷の帯電、減衰力が過剰になることを防止)
- ハブ(車輪支持装置の軸受内のグリースの電荷を除去、軸受内の粘性抵抗増加を防止)
- ブレーキ(制動力発生装置内のグリースの電荷を除去、軸受内の粘性抵抗増加を防止する)
【体験談】アルミテープチューンの効果は実感できる?
アルミテープを貼り付けるだけでクルマの性能を向上させることができるお手頃チューニングな「アルミテープチューン」ですが、実際に筆者もアルミテープチューンを実施した経験があります。
筆者はレーシングカーに乗る機会が多いのですが、かつて自身が出場していたレースのレーシングカーにアルミテープチューンを施しレースに出場しました。
当時、アルミテープチューンは爆発的な話題となっていましたし、レーシングカーのレギュレーションでも縛りが存在していなかったため、実際に取り入れてみたというわけです。
レーシングカーの車両の「ボディ」「ステアリングリム」「メインパイプフレーム」のあらゆる箇所にアルミテープを貼り付けサーキットを走行しましたが、効果のほどはというと…全く違いを感じることができませんでした…
これまで、アルミテープチューンについて書いてきたのにもかかわらず、筆者本人はアルミテープの違いを体感できずに悔しい思いなのですが、おそらくほとんどのユーザーでも違いを体感することは難しいのではないかと考えています。
実際に、アルミテープチューンの効果は実証されていますし、効果があると考えられていることに関しては疑問を抱くことはなく、効果や原理については明らかです。
ですが、筆者が体験したレースという現場においては、アルミテープチューンによる変化量よりも、その日の気温や路面のコンディションによる違いの方が大きかったためにその恩恵を確認することができませんでした。
では「アルミテープチューンは全く無意味か?」と言われると、そうとも言えないと筆者は考えます。
メーカーの実証結果などからも明らかである通り、少しでもクルマの性能が底上げされているということは、自身がハンドルを握るにあたって「精神安定剤」のような効果を発揮してくれるのではないかと思うからです。
ですので、「効果がないからアルミテープチューンは無駄だ!」とシャットアウトするのではなく、「微妙に燃費性能に影響してくれているかも?」といった程度でも、日々のドライブクオリティを向上させてくれるのではないでしょうか?
【番外編】アルミテープに似たチューニングもある!
+の電気を放電することによってクルマの性能向上をはかるアルミテープチューンですが、これと似た考え方のチューニングが他にも存在しています。ユーザーの間では良く知られているのでご紹介したいと思います。
アース接続によるアースチューン
アルミテープチューンはボディの色々な場所に貼り付けることによって、+の電気を放電して走行性能を向上させるというものですが、アルミテープチューニングと似た考え方で、「アースチューニング」や「アーシング」と呼ばれるチューニング手法も存在しています。
「アースチューニング」や「アーシング」は古くから知られている手法で、主に旧型車などで取り入れられてきたチューニングです。
具体的には、ボディアースの箇所を増やすことで帯電した電気をバッテリーに戻すというのが狙いです。
効果としては、電装系の最適化によってエンジンの点火系がスムーズに動いて、エンジンの吹けが良くなったり、電気のノイズが減ることによってヘッドライトが明るくなったり、オーディオサウンドの改善がされることなどに影響しています。
理屈としてはトヨタが考えたアルミテープチューンに良く似ており、またアースチューニングもお手頃な価格で実施できるといった点でも、旧車を所有していた世代では受けが良かったチューニング手法となっています。
アルミテープチューンの前進的なチューニングが「アースチューニング」といえます。
マット塗装のカラーリングによる空気抵抗の減少
アルミテープチューニングやアースチューニングは、帯電している+の電気をコントロールすることによってクルマの性能向上をはかるという考え方ですが、少し異なる考え方で、アルミテープチューンと同様の空気抵抗を減らすことができる手法が存在しています。
それはボディをマット塗装でカラーリングするという手法です。
通常、メーカーから出ている市販車ではボディの塗装をする際に、マット塗装でカラーリングされていることは珍しく、メタリックやパールなどを用いることがほとんどです。
しかし、ボディの塗装をマット系にカラーリングするだけでボディに流れる空気を整え、エアロダイナミクスを最適化することができます。
このアイデアとは全く同じではありませんが、かつて競泳用の水着で「サメ肌状」のものを採用することによって、たくさんの世界記録が樹立されたことがあります。
マット塗装はこれと似たような考え方から成り立っており、ボディの塗装表面を凸凹状にすることによって空気を整えることができると考えられています。
マット塗装による効果は、クルマ業界だけでなく、航空機などにも取り入れられており、飛行機の機体にマット塗装を施したところ燃費性能が1パーセント向上したという事実も存在しています。
また、自動車レースの最高峰とされているF1グランプリに参戦するF1チームでも、近年ではマット塗装が主流となっています。昨年の2022年シーズンでは全20チーム中17チームがマット塗装を採用しているといった点が裏付けるように、マット塗装の効果が認められているのです。
足元の“アレ”、スカッフプレートって何のため?
車の窓にできる水垢、ウロコの原因とは?綺麗にする方法はある?
なぜ、雪の日にワイパーを立てるのか?
- 執筆者プロフィール
- だいち
- 1998年生まれ。高知県出身のリアルレーサー&バーチャルレーサー。フォーミュラリージョナル、FIA-F4、スーパーFJなどのミドルフォーミュラや、マシン開発&タイヤ開発ドライバーとしての経験が豊富。現在の愛...