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「富士回遊」E353系はヤバい電車だった。フェラーリと兄弟だった。

鉄道とクルマ#2

新型車の試乗会へ電車で

↑こちらのクルマは、今年7月から国内発売が開始された、フランスの自動車メーカー、シトロエンの新型コンパクトSUV「C3エアクロスSUV」。この車のメディア向け試乗会が河口湖の近くで開催されました。

新型車のメディア試乗会というものは、シトロエンに限らず国内メーカーもこの河口湖エリアをはじめとする富士山麓、箱根エリアで行われることがほとんど。また、試乗会会場への移動手段は、ほとんど車で行くメディアばかり。しかしながら、生憎当編集部には社用車がなく……と書いてしまうと当てつけがましいですが、軽い鉄オタでもある筆者からすれば、電車移動も全く悪くなく、むしろ嬉しい。駅から先の交通機関に難儀するエリアばかりなので、タクシー代がべらぼうに高くなく、経費申請しても怒られないレベルなら電車で移動します。帰りの電車でビールが飲めてしまうというオマケも。

というわけで、今回の試乗会への移動手段は、特急「富士周遊」となりました。
ちなみに、シトロエンC3エアクロスSUV、とても良かった!試乗レポートは下記からご覧ください。

*スマートニュース、LINEニュースなどのアプリでは、リンクやYouTubeなどの表示がされませんので、この画面下部にあるオリジナルサイトへのリンクからご覧ください。

特急「富士周遊」の車両、新型E353系について調べていくとクルマと近い関連を発見!E353系はフェラーリと親戚関係にあるようです。

それでは、ご覧ください。

新型特急列車「E353系」

富士回遊 E353系

新宿駅で発車を待つE353系

017年12月23日にJR東日本からデビューした新型E353系は「伝統の継承、未来の躍動」をコンセプトに同社の中央本線の特急車両として活躍しています……と、クルマの新型車がデビューした風で書き始めてみました。もうすぐデビューして2年は経とうとするE353系に「新型」とつけるのは遅いのではないかと思われるかも知れません。しかし、電車のモデルチェンジスパンと自動車のモデルチェンジスパンは軽く3倍以上も違います。30年ぐらい現役で走り続ける電車は無数なのです。クルマは新型としてデビューして概ね半年から1年で新型の冠を外します。電車であれば数年、新型の冠はつけたままが普通です。現に、JR東日本のE353系を紹介するWEBページは「2017.12.23 NEW AZUSA DEBUT!」としています。

富士回遊 E353系

終点、富士急行線河口湖駅にて。

新宿駅から甲府、長野へ向かう中央本線特急列車の歴史は古く、はじまりは太平洋戦争直後の1948年(昭和23年)に遡ります。当時は主に「優等列車」という名称を基本(今でも使われていますが)、列車毎に愛称が付されていました。特急「あずさ」は1966年12月12日にデビュー、当時は新宿から松本間を1日2往復していたとのことです。

「あずさ2号」

特急あずさと言えば、昭和の名曲、兄弟デュオの狩人のデヴュー曲「あずさ2号」を思い浮かべる方が多いでしょう。(MOBYの読者層では3割ぐらいの方しかわからないか…)1977年、昭和52年の発表のヒット曲、この年はホンダ アクティ、アコードセダン、トヨタ チェイサーがデビューした年、ロッキード事件の公判が行われています。「あずさ2号」は実際に運行されていた特急で、新宿駅を朝8時に出発する始発でした。この曲のサビは「8時ちょうどのあずさ2号で 私は私は あなたから旅立ちます」という哀しい失恋の歌でした。

今は「あずさ2号」は運行されていません。最終の運行は1978年(昭和53年)10月のダイヤ改正前まで。しかし、JR東日本の粋な計らいで2002年2月2日という2が並ぶ日に「懐かしの特急あずさ2号」がリバイバル運転され、その使用される列車も1977年当時と同じタイプのもので運行されたという記録が残っています。ちなみにこのリバイバル運転、8時ちょうどではなく8時2分だったそうです。その後、逆方向になりますが大月駅から8時ちょうどに新宿へ向かう「あずさ2号」が復活しましたが、狩人の歌うあずさ2号と同じではありません。

「富士回遊」は新宿駅から富士急行線へ直行

本題の「富士回遊」から話は逸れてしまいましたが、特急「富士回遊」は中央本線大月駅から逸れて富士急行線へ乗り入れる直通列車です。運行区間は、新宿駅から富士急行線の終点、河口湖駅。現在1日3往復運行されています。

「富士回遊」のデビューは2019年3月16日のダイヤ改正から運行開始となっています。これまで富士急行線への直通運転は臨時列車ではありましたが毎日定期運行される直通特急列車はこれが初となります。JR東日本の狙いはインバウンド。海外からの旅行者に配慮して漢字の「富士回遊」の名称を与えたそうです。

「富士回遊」の停車駅と所要時間、時刻表と料金

新宿駅から終点河口湖駅までの停車駅は、立川駅-八王子駅-大月駅-都留文科大学前駅-富士山駅-富士急ハイランド駅となります。都留文科大学前駅から河口湖駅間は富士急行線です。新宿駅から河口湖駅までの所要時間は、最速列車で1時間52分、最も遅い列車で2時間ちょうどとなります。新宿から河口湖までの料金は乗車券と特急券合わせて片道4,060円。自由席はなく全車指定席。

▶新宿駅発 下り時刻表
平日:8:30・9:30・11:32
土休日:7:35・8:30・9:30
▶河口湖発 上り時刻表
平日:14:03・15:05・17:38
土休日:15:05・16:00・17:38
※当記事執筆時点

その他は下記の公式サイトでご確認ください。

富士回遊 E353系

富士回遊は3両編成で甲府行き特急「かいじ」に連結されて運行。大月駅で切り離し・連結。

E353系のコーナリングがヤバい。そして速い。

E353系の先代、E381系は「振り子式車両」と呼ばれるカーブを曲がる遠心力で車両を傾け、より速く安全にコーナーを曲がれるような特殊な機構を持った車両でした。中央本線はアルプスを抜けるカーブの多い路線。自転車やバイクでカーブを曲がるとき、体と車体をコーナーの内側に傾くと速く安定して走れる、というベクトルの図が出てくる力学的なヤツと列車も同じです。新型E353系は先進技術「車体傾斜式車両」が採用されました。文字通り、車体を電子制御で傾けるもので、エア・サスペンションの空気の出し入れで調節される仕組みです。ちなみに、車体傾斜装置によって傾く角度は1.5度、旧式の振り子式車両では5度程度とかなり小さくなっていますが、これはこれで大きくコーナー性能が向上したとのことです。この「車体傾斜式車両」は、東海道新幹線の最新型車両、N700系にも採用されています。

快適さもヤバい

富士回遊 E353系 大きめシート

ゆったりめの大きめシート

富士回遊 E353系

1席お一人様毎にコンセント

富士回遊 E353系

無駄に広いトイレ

富士回遊 E353系

大型トランクはこちら。荷物置き場

富士回遊 E353系

クルマのエアコン吹き出し口と似ている。

富士回遊 E353系

旅行者に配慮して高さのある棚

富士回遊 E353系

オレンジで点灯中は座席指定済。緑は指定なし。次の駅で座席指定の乗客が乗る席のランプは点滅。指定券なしで乗る人にも優しい。

E353系とフェラーリは兄弟だった。

外装デザインは「伝統の継承・未来への躍動」をコンセプトにし、塗装は日本アルプスを走ることから山の雪をイメージした「アルパインホワイト」をベースに、特急あずさ号の伝統色「あずさバイオレット」の細帯で配色。フロントは「ストリームブラック」、側面窓枠は松本城の青みのある漆黒からインスパイアされた「キャッスルグレー」となっています。

富士回遊 E353系 内装

JR東日本の列車では初なるLED間接照明を採用。

エンツォ・フェラーリ

フェラーリ創業55周年を記念し、創始者の名を冠した「エンツォ・フェラーリ」。V12・6L、660馬力のエンジンを積む。

外装、内装ともにデザイン監修は奥山清行氏。グローバルでは「ケン・オクヤマ」の名で活躍するデザイナーで元は世界的に名だたるカロッツェリア、ピニンファリーナのチーフデザイナー、フェラーリの創始者「エンツォ・フェラーリ」の名を冠したモデルをデザインしています。

つまり、E353系とエンツォ・フェラーリはともに奥山清行氏のいわばこども、兄弟だったのです。

ちなみに、奥山清行氏は山形新幹線のデザインも監修していました。

富士回遊 E353系

LEDヘッドライトは縦型。

富士回遊 E353系

尾灯はヘッドライト上部に横に配置。

↓ なんか共通点を感じますね。


ハイビームは内側が点灯。

富士急行線 河口湖駅

富士急行線 河口湖駅

富士急行線河口湖駅に、富士登山電車が停車していました。こちらは後日、レポート記事を公開します。

富士登山電車

富士登山電車

撮影・文:MOBY編集部 宇野 智

富士回遊 E353系

新宿駅を出てすぐに見える新宿エルタワーにMOBY編集部があります。

この記事の執筆者

宇野 智(MOBY)この執筆者の詳細プロフィール

MOBY編集長。小学生時代の休日は自転車でディーラーを回る「カタログ少年」TVより諸元表を見ながらの食事を好んでいた。クルマの他、鉄道、航空機、船舶も愛する。...

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