ネガキャン(ネガティブキャンバー)とは?車にはどんなメリット・デメリットがある?

リアタイヤが後ろから見ると「ハの字」のように傾いたカスタムカーを見かけたことはありますか?これは「ネガキャン」と呼ばれる足回りのカスタム。この記事では、ネガキャンの基礎知識から設定方法や調整などのやり方などをまとめてご紹介します。

ネガティブキャンバーの意味とは?

ネガティブキャンバーって何?

出典:http://www.kit-service.com/

「ネガキャン」の正式な名称は「ネガティブキャンバー」です。キャンバーとは自動車を正面から見たときに、タイヤの傾き角度のことを言います。
「ネガティブキャンバー」とは、タイヤの上側が内側へ傾いて、正面から見て左右のタイヤがハの字になっている状態を言います。
逆にタイヤの上側が外側に傾いて正面から見てV字型に見える状態を「ポジティブキャンバー」と言います。

自動車のタイヤは一見すると路面に真っ直ぐ垂直に取り付けてあるように見えますが、実は足回り部品であるサスペンションによって、キャンバー角、キャスター角、キングピン傾角、トー角と呼ばれる大小の角度が様々な方向につけられています。

鬼キャンって何?

ネガキャンって何?

出典:http://www.326power.co.jp/

このサスペンションのキャンバー角を、わざとネガティブキャンバーにするドライバーもいます。
時々、街を車で走っているとタイヤが大きくハの字になっている車を見かけることありませんか?
若者が乗っていることも多いですが、中には走り屋さんが乗っていることもあります。

特に若者用語で「極端」であることを「鬼」と表現するので、「極端なネガティブキャンバー」を行った車を「鬼のようなネガティブキャンバー」つまり略して「鬼キャン」と呼ぶこともあります。
これは、自動車サスペンションのキャンバー角をわざと極端にネガティブキャンバーにするカスタマイズ方法の俗称です。

ネガキャンはレース車両の影響か?

レース車両の影響か?

出典:http://www.d1gp.co.jp/

そもそも何でわざと「ネガキャン」にするかというと、本来の目的はドリフト走行をやりやすくするためです。
従来、自動車のキャンバー角の調整とは、ステアリング操作の補助やコーナリング性能の向上を目的にして行われているもので、従来はレース用車両が性能を向上させるためにホイールアライメントを変化させて行っていました。

これがいつの間に、車を横に滑らせながら走ることが大好きな、いわゆる「ドリフト族」などに影響を与え、ドリフト走行時に深いカウンターステアを得るためにキャンバー角を大きくマイナスにするチューニングを行うようになりました。

ネガキャンのメリットは?

ネガキャンのメリットは?

出典:http://sportiva-new.mediagalaxy.ne.jp/

最近では車両の技術が進み、サスペンションパワーステアリングの技術が進化したため、車両の性能を向上させるために極端にキャンバー角を変化させる必要性は少なくなりました。
しかし、多少古い車両のチューニングを行う場合には、まだ多少のメリットがあるかもしれません。

コーナリングでのコントロール性の向上

ネガキャンにすることで生じる物理的なメリットは、車両の旋回性能が向上することです。
つまり車を滑らせながら走るドリフトには、車体を滑らせてコントロールすることが容易になり、またタイヤのグリップ力が向上するので、ドリフトを行う専用車両には大きなメリットがあります。
パラリンピックなどで使われる車椅子のタイヤがハの字になっているのも、これと同じ理由からです。

コーナーでのグリップ力の向上

もう一つは、車が速いスピードでコーナーをまわる場合、車体は左右に傾いてロールしますが、通常のキャンバー角では車体がロールするとタイヤの設置面積が少なり、これによりタイヤのグリップ力が低下します。
しかし、ネガキャンにセットした車ではロール時にタイヤの設置面積が広くなり、タイヤのグリップ力つまり路面に動力をしっかり伝えることができるようになります。

ドレスアップ

また、街の中でみる車両の多くはドリフト用の車両ではありません。
しかし、「ネガキャン」は車両の外見を大きく変化させるため、性能向上とは関係のない見た目のカッコ良さから行うことが多くなり、車両のドレスアップと一環として注目されています。

ドレスアップ

出典:https://www.tokyoautosalon.jp/

ネガキャンのデメリットは?

出典:http://j-line-net.co.jp/

「ネガキャン」メリットは、ドリフト走行には多少あるかもしれませんが、一般のドライバーがしてもデメリットの方が圧倒的に多いです。

直進安定性が悪化

「ネガキャン」は車体がロールしている時はタイヤのグリップ力が向上しますが、逆に車が直進している時にはタイヤの設置面積は減ることになってしまいます。
つまり、タイヤが路面に効率的に動力を伝えられなくなり直進安定性が悪化します。

タイヤの偏摩耗

通常に車を運転している時に、タイヤの接地面積が少なくなるので、タイヤの偏摩耗が起きてしまいます。
いわゆる、「片減り」が生じてタイヤの寿命が短くなります。

走行安定性の悪化

ホイールアライメントを狂わせて「ネガキャン」にするため、走行性能、特に直進性能が大きく悪化してハンドルが取られやすくなります。
特に路面にワダチがあると最悪です。

違法改造

タイヤが車体から大きくはみ出すことになり、車両の幅が大きくなります。
正式な車体の改造申請無しでこれをすると違法改造になってしまいます。
つまり、違法改造車に乗っていると警察に検挙される可能性があります。

車両故障と破損

他にも、サスペンションやショックアブソーバーが正常に働かず乗り心地が大きく悪化したり、走行抵抗が増加することによる燃費の悪化や、車体に過剰負担をかけることによるハブベアリングやナックル部品の故障、また、極端に最低地上高が低くなるためマフラーやバンパーを破損しやすくなります。

車両故障と破損

出典:http://www.smile-works.biz/

ネガキャンの角度調整と設定方法のやり方は?

ネガキャンの角度調整と設定方法は?

出典:http://www.alpha-project.biz/

これだけデメリットの方が多いのにどうしてもネガキャンまたは鬼キャンにしたい方は、専門の自動車改造ショップに相談することをお勧めします。
やはり「人と違うルックスのクルマに乗りたい」とか「人よりカッコ良いクルマに乗りたい」と考えてしまう気持ちは、クルマ好きであれば当然かもしれません。
街を見まわすとネガキャンのクルマは結構走っていますからね。

ネガキャンにする方法ですが、自分の乗っている車両がどんなタイプのサスペンション形状なのかを詳しく知る必用があります。
ネガキャンにする設定方法やキャンバー角の調整方法も改造の手法により異なってきます。

フロントサスペンションをネガキャンにする設定方法

1) ピロボールアッパーマウントを使うことでキャンバー角を付けることが可能となり、車高を下げたときに製品にもよりますが角度を任意に調整してネガキャンにすることができます。

2) ストラット下部のハブキャリアとの締結ボルトを、ナックルのブラケット部分に偏心したキャンバーボルトに変更する方法でも、ストラット式サスペンションであればネガキャンにすることも可能です。

3) キャンバーアダプターをという部品を取り付けると、比較的簡単にキャンバー角を変更することが可能です。また、このアダプターのサイズを変更することでキャンバー角度を選択することも可能です。

4) アッパーアームを社外品に交換することでも、キャンバー角を変更することが可能です。純正アッパーアームよりアーム長を短くすることでキャンバー角をネガティブ方向に大きくします。

5) フロントロアアームアジャスターを車高が下がった車両に取り付けることでネガキャンにできるモデルもあります。

6) ロアアームを延長する方法もありますが、これは純正のロアアームを途中で切断してから鉄板を継ぎ足して長さを長くすることが多いため、素人が行うには難しいです。

リアサスペンションをネガキャンにする設定方法

1) アッパーアームを社外品に交換することでも、キャンバー角を変更することが可能です。
製品によっては、アームの長さを調整することも可能で、アーム長を任意に調整することで、キャンバー角の調整を行う事ができます。

2) キャンバーアダプターを使い、フロントサスペンションと同じ手法で比較的簡単にキャスター角の調整をすることも可能です。

3) リアキャンバープレートを専用品に交換することでネガキャンにできる場合もあります。トーションビーム式リアサスペンションを採用するミニバンやコンパクトワゴンは、お好みのキャンバー角用の専用品を使用することで比較的簡単にネガキャンに変更できます。

4) 調整式ピロアッパーマウントへの交換が一番のおすすめかもしれません。
純正部品との交換なので、車検時には元に戻せます。
また、調整式ピロアッパーマウントすることにより、お好みのキャンバー角にすることができます。

5) 最後に、キャンバー可変式アクスルという部品の装着という方法もあります。アナタのクルマが軽自動車であれば、もしかするとこの方法が一番手軽な改造方法かもしれません。
キャンバー角も任意に調整することが可能です。
メーカーは異なりますがフロントサスペンション用として、同様に便利なCamBraという製品もあります。

それでもネガキャンにしたい人へ

ネガキャンについての記事はいかがでしたでしょうか?やはりクルマ好きの人が、目立つネガキャン仕様のカスタマイズに憧れるのも当然のことかもしれませんね。

1980年代後半から1990年代の高級セダンに多く採用された「セミトレーリングアーム」式のリアサスペンションを採用した車(初代 日産・シーマなど)は単に車高を下げるだけでリヤタイヤが「鬼キャン」になる特徴があり、簡単にネガキャンにできる車もありましたが、溶接加工を伴う大幅な改造が必要な車も多くありました。
(ちなみに、セミトレーリングアーム式のリアサスペンションは加速時にリアが沈み込む特徴もあります)

しかし、最近は比較的お手軽に「ネガキャン」を楽しめる便利な専用のサスペンションパーツがあります。
いずれにしても、自分で「ネガキャン」にすることは非常に難しいので、多くのデメリットを承知の上でどうしても自分のクルマをカッコ良く見せたい場合は、専門のノウハウを持った自動車ショップに相談して「ネガキャン」デビューしてみるのもアリかもしれませんね。

車の足回りの改造やカスタムに関連するおすすめの記事

ドリフトに関連するまとめ記事

関連キーワード
キーワードからまとめを探す


関連する車種/メーカー
車種/メーカーからまとめを探す