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なぜ日本で日産の海外専用チャンネル「infiniti」は展開されないのか?
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日本ではインフィニティ・ブランドが育っていない
2000年以降の日産は、ほとんどの車種がグローバルカーとして生産されており、細部の違いはあれど国内外で販売する車種にそれほど違いはありません。国内展開するにしても、インフィニティには目新しい車種がないのが欠点といえるでしょう
現在北米のインフィニティブランドで販売されているのは、SUVを中心とした6車種です。そのうちの3車種は日本導入が難しい5m超の大型SUVであり、残りの3車種は日本でも馴染みあるスカイラインのセダン、クーペ、クロスオーバーです。
過去に日本でも販売されたスカイラインクーペとスカイラインクロスオーバーは、いずれも販売は振るわずあえなく廃盤になりました。
Y51型フーガとV37型スカイラインの前期モデルにいたっては、インフィニティのエンブレムをそのまま付けて日本で5年間販売されましたが、結局は日産エンブレムに戻されています。
これらの試みは、高級ブランド「インフィニティ」の認知度向上には貢献したものの、日本ではインフィニティが売れないと判断するのに十分な結果だったといえるでしょう。
また日本と海外の車に対する感性の違いに加え、1980・90年代の日産の輝かしい実績があるゆえに、自社ブランド同士で競合してしまった結果ともいえます。
現在の日本で高級車やスポーツカーは売れない
仮にインフィニティが車種を拡充して魅力的な車をラインナップしたとしても、現在の日本で売上を伸ばすことは難しいでしょう。
世情の影響により、国内の新車販売台数は年々低下しています。なにより現在は、過去の日本ほど車に対する熱がありません。売れている車は軽自動車やコンパクトSUVが中心であり、スポーツモデルや高級車が入り込む余地はごくわずかです。
そのためインフィニティを国内展開したところで、レクサスや欧州輸入車と競合し、少ない母数のなかから顧客を奪い合うだけの結果になることは明白です。
一方で、北米・中国はいまだ高級車の自動車販売が好調であるため、そちらにターゲットを絞るのは当然の販売戦略といえます。
それを証明するかのように、インフィニティのライバルのもう一角であるホンダのアキュラは、日本国内では販売されないモデルも多く展開し、北米・中国で好調に売上を伸ばしています。
さらに、ホンダの伝説的名車として名高い「インテグラ(RSX)」を日本ではなく、海外ブランドのアキュラで復活させたのは、日本よりも海外市場を優先させている現れといえるでしょう。
- 執筆者プロフィール
- 伊藤友春
- 1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...