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あおり運転通報サイトやSNSでの拡散はプライバシー侵害に?弁護士の回答は?
運転中にあおり被害に遭った人々が、あおり運転通報サイトやSNS、YouTubeなどで相手車両ナンバーや運転手の顔などを公開していることがあります。
しかし、警察があおり運転への取り締まりを強化している中、これら一般ユーザーの「取り締まり」は効果を持っているのでしょうか?肖像権侵害や名誉毀損に該当する可能性はないのでしょうか?
あおり運転通報サイトやSNSでの拡散行為、何のため?
あおり運転に遭った時に最初にするべきことは安全の確保と警察への通報です。車外に出ず110番してくださいとの旨があおり運転注意喚起ポスターにも記載されています。
被害者が通報し、証拠として提出した煽ってきた自動車のナンバープレート情報や運転手の顔写真などをもとに警察が捜査を進める、という流れが一般的です。
そうなると、あおり運転通報サイトやSNSでの拡散行為は何のためにあるのでしょうか。
その運転手の情報を多くの人々と共有することで注意喚起し、新たな被害者が出ないようにすることは期待できます。同一犯による被害が多く散見されれば、警察の目にも留まりやすくなるかもしれません。
しかし昨今、警察は取り締まりを強めていますから、決定的な証拠があればあおり運転加害者が逮捕・検挙される可能性は高く、民間人が自警する必要性については疑問が残ります。
あおり運転通報サイトやSNSでの拡散行為が、直接的なあおり運転抑止・撲滅につながらないのであれば、あおり運転加害者の車両情報や顔写真を拡散することのリスクのほうが懸念されます。
車両やドライバーの顔写真を拡散するのは法律違反?
SNSにあおり運転加害者の顔写真を掲載し、それが拡散された場合、どんなトラブルが起こりうるのでしょうか?
2021年現在、ナンバープレートの情報だけで所有者を特定することができないので、「本人を特定できる個人情報」とするのは難しいでしょう。
しかし運転手の顔写真は、それだけで個人を特定するものです。本人の許可があれば問題ありませんが、それなくして公に公開すればプライバシー侵害と言われても否定のしようがありません。
実際に、煽り運転をして、その結果ナンバーや顔写真をネット等に勝手に公開された運転手が、民事裁判を起こせるのか、弁護士に質問してみました。
回答は「仮にそういう相談があったとしても、引き受けるかどうかは精査します」とのこと。
必ずしも訴えられるということはないようですが、許可なく撮影・掲載された、証拠もなく「あおり運転をしてきた」と騒いだり、書き立てられれば、精神的苦痛を感じたり、社会的信用を失ったりする可能性もあります。
あおり運転は行政処分・刑事処分の両方に発展する重罪で、警察による客観的な判断が必要です。
突き詰めると拡散された側(煽り運転をした側)に諸悪の根源はあるのですが、インターネットでの拡散にともなうリスクを考えずに動画や画像を掲載すると、トラブルに発展しかねません。あおり運転被害に遭ったら、まずは警察へ通報しましょう。
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