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オイルエレメントの交換時期は?交換方法や費用も解説
目次
オイルエレメント(オイルフィルター)の構造
オイルエレメントの構造を理解してもらうために、オイルエレメント内の名称をご紹介します。※スピンオン式の名称紹介です。
ガスケット
ガスケットはオイルエレメントと、車両の接点部分に取り付けるパーツです。ゴム製のエレメントを挟むことで、オイルが漏れるのを防止しています。
カートリッジ式ではOリングと呼ばれ、オイルエレメントを交換する際は必ず一緒に交換しましょう。ずっと使い続けていると、ゴムが変形しオイル漏れの原因になってしまいます。
ろ紙(フィルタエレメント)
「フィルタエレメント」とも呼ばれるろ紙は、オイルの汚れを取り除くパーツです。エンジンオイルがろ紙を通ることでオイル内の汚れを落とします。
ろ紙はオイルエレメント内でジャバラ状になっており、広い面積を確保したくさんの汚れを集める工夫がされています。
バイパスバルブ(リリーフバルブ)
バイパスバルブとは、オイルエレメントが汚れすぎて詰まってしまったとき開くバルブです。バルブを開くことで、エンジンオイルはフィルターのないバイパス通路を通ることができます。
オイルがエンジン内を循環できなければ、エンジンはすぐに焼け付きます。そのようなトラブルを防止するために、バイパスバルブが採用されているのです。
サポートスプリング
サポートスプリングとは、バネの力でオイルエレメントが動かないようにするパーツです。
オイルエレメントは締め付けすぎてもオイル漏れの原因になってしまうので、ボルトなどのように思いっきり締め付けることができません。
そのため、サポートスプリングの力を利用し、車が動いても緩んだりガクガクしないようにしています。
オイルエレメントのタイプは2種類
スピンオン式(エレメント交換式)
スピンオン式とは、ろ紙の周りを金属の容器で覆った、一体式のオイルエレメントです。見た目は円柱状の金属の容器に見えます。
現在ではほとんどの乗用車が、スピンオン式のオイルエレメントを採用しています。
取り付け方は、車両側から突き出たねじ山にオイルエレメントのネジ穴を差し込み回すだけです。このタイプは中のろ紙が見えないようになっています。そして、乗用車で広く使われているタイプです。
ろ紙やガスケットが一体式となっているので、交換する際は付属品を購入す必要がありません。交換の際には、オイルエレメントを外したり取り付ける工具が必要となってくるので注意しましょう。
カートリッジ式
カートリッジ式とは汚れを取り除く、ろ紙部分だけを交換するタイプのオイルエレメントです。ろ紙を入れる場所は車両側に設置されており、フタを開け中身のみを取り出し交換します。
現在の乗用車では採用されている車は少ないものの、ごく一部の車種でカートリッジ式を採用しています。
交換する際にはオイルまみれのカートリッジを取り出す必要があるので、地面にまいてしまわないよう注意が必要です。
また、カートリッジと一緒にOリングも交換しなければならないので、自分で交換する際は用意するのを忘れないようにしましょう。
オイルエレメントに使用期限はある?
装着後のオルエレメントの使用期限に明確な決まりはありません。そして、使用前の場合も賞味期限のような決まりはなく、保管状態によって使える状態かどうか大幅に変わってくるでしょう。
装着後に関してですが、バイパスバルブが開いた状態が使用限度の目安だと考えることができます。しかし、バイパスバルブが開くまでというのは使いすぎですし、バイパスバルブが開いているかどうかを装着段階で確認する方法はありません。
また、オイルエレメントの汚れ具合も、車の状態によって違いがあります。新車のようにエンジン内がキレイな状態なら、オイルも汚れづらく同時にオイルエレメントの汚れも少ないでしょう。
それに対し、年式が古かったり走行距離が多い車であれば、ある程度エンジン自体も汚れているので少しの距離でもオイルやエレメントが汚れます。
そして、何万キロ走行すればバイパスバルブが開くかという決まりもなく、ある程度交換するタイミングは自分で決める必要があります。
エンジンオイルは使い方ひとつで、エンジンの寿命を大幅に縮めてしまう可能性もある消耗品です。そのためこの記事では、一般的な交換頻度を守った乗り方をオススメします。
自分でオイルエレメントを交換する方法
オイルエレメントのみの交換方法は、「オイルエレメントを外す→新しいオイルエレメントを取り付ける」たったこれだけですが、準備するものやオイルを抜いたりと他の作業も必要です。
整備工場でお願いすると、工賃を取られてしまうので安く済ませたい人、もしくは、車の状態をしっかり把握しておきたい人は自分で交換しましょう。では詳しくご紹介していきます。
準備するもの
- オイルエレメント
- オイル受けもしくは捨てるタイプの廃油受け
- 14か17mmのメガネレンチ(ドレーンボルトの直径に合ったメガネレンチ)
- ドレーンボルトのガスケット
- オイルフィルターレンチ(エレメントのサイズに合ったもの)とラチェット
- ウエス
- ゴム手袋
- ライト
- ジャッキやウマ
- 交換するオイル
必要なら寝板や段ボール、パーツクリーナーなど、キレイな状態にできるものや作業をスムーズにしてくれるアイテムもオススメです。
オイルエレメントの交換手順
オイルエレメントを交換するときは、エンジンオイルも同時に交換する必要があります。作業手順は以下のとおりです。
- 車をジャッキアップしオイルパンの下にオイル受けを設置
- ドレーンボルトを外しオイルを抜く
- ドレーンボルトガスケットを交換し、ボルトを締める
- フィルターレンチを使いオイルエレメントを取り外す
- 新しいオイルエレメントを取り付ける
- エンジンオイルを入れる
- エンジンをかける
- 量を確認
もしエンジンオイルのみ交換するなら、➀~④+⑦⑧の手順で行えます。ドレーンボルトやオイルエレメントを取り外す際は、オイルが一気にこぼれてくるので、オイル受けをしっかりと用意しておきましょう。
作業が終わったら、交換した走行距離をメモし次回の交換タイミングを覚えておきましょう。
オイルエレメントの交換費用は?
オイルエレメントの交換費用は、7000円から1万円程度です。オイルエレメントを交換する場合、オイルも交換するのでどうしても以下3つの料金がかかってきます。
- オイル代(2000円~7000円程度)
- オイルエレメント代(500円~2000円程度)
- 工賃(1000円~4000円程度)
部品代や工賃は交換する整備工場によって大きく変わります。そのため、最低でも7000円ほどはかかると考えておけばいいでしょう。
もし自分で交換するなら、部品代だけで交換できるのでもっと安く交換できます。ただし、交換するための工具を購入する必要がありますし、時間もかかります。
部品代だけでいえば、5000円前後で交換できるでしょう。もちろん安いエンジンオイルを使えばもっと安く済ませられます。
交換費用を考える際注意してほしい点は、車種によってオイルの量が違うのと、オイルに関してもオイルのグレードで金額が大幅に変わる点です。
自分で交換する場合、愛車のオイル量やどんなオイルを使いたいのかをあらかじめ決め、予算を考えましょう。
オイルエレメントを交換する際の注意点5選
車に合ったサイズや種類を選ぶ
オイルエレメントを交換する際は、愛車にあったサイズや種類を選びましょう。適合していない種類を選ぶと交換できません。間違えても違うサイズのオイルエレメントを無理やりつけないようにしてください。
オイルエレメントは純正品と汎用品の2種類あります。純正品も汎用品も調べるとすぐに分かります。せっかく用意していたのに、作業できない事態になるので、必ず交換前に確認しておきましょう。
オイルエレメント適合表を確認する
汎用品のオイルエレメントはいろんなメーカーから販売されています。そして車によって適合している種類が違います。カーショップなどでは適合表の冊子などもあるので、適合表を確認しながら購入しましょう。
ここでは車関連パーツで有名な「DENSO」と「PIAA」の適合表サイトを紹介しておきます。
ガスケットが外れているか確認する
オイルエレメントにもガスケットと呼ばれる、オイルが漏れないようなパーツが取り付けられています。スピンオン式の場合、本体にゴム製のガスケットがすでに取り付けられています。
そのため、わざわざ別でガスケットのみ付ける必要はないのですが、たまに取り外したオイルエレメントのガスケットが残っていることがあり、そのまま取り付けるとオイル漏れの原因になることも。
オイルエレメントを外した際は、取り付け部分をパーツクリーナーで清掃し、同時にガスケットが残っていないか確認するようにしましょう。
交換後必ず一度エンジンをかける
オイルエレメントを交換し、オイルを入れた際は、必ず一度エンジンをかけるようにしましょう。
交換したばかりのオイルエレメント内には、オイルが入っていません。エンジンをかけずそのまま量を確認し作業を完了してしまうと、エンジンをかけたあと、オイルの量が変わってしまいます。
そのため、オイルを入れたあと一度エンジンをかけ、最後に量の確認という手順を覚えておきましょう。
オイルエレメントを交換するときはオイルも全て交換する
オイルエレメントを交換するときは、必ずオイル全て交換します。オイルエレメントだけ交換することも可能ですが、オイルが汚れたままなのにオイルエレメントだけを交換しても意味がありません。
せっかく新品に交換したエレメントが汚れたオイルによってすぐに汚れてしまい、フィルターの性能を十分に発揮できないからです。そのため、オイルエレメントを交換する際はオイル交換とセットで行うことをオススメします。
取り付け時に締めすぎない
オイルエレメントの締め付けトルクは14N・m程度が一般的です。数値でお伝えしても分かりにくいと思いますが、ガスケットが車両についた状態で3/4回転程度の力です。
よく力いっぱい締め付けているオイルエレメントを見ますが、締め付けすぎはオイル漏れの原因になってしまいます。また、次回取り外す際なかなか外れず大変な思いをします。
オイルエレメント自体にも締め付けトルクが書かれているものもあるので、分からなければ一度オイルエレメントを見てみましょう。もし緩すぎるかなと思った場合、一度手で緩む方向に回し緩まないのを確認しておくことをオススメします。
車の整備は、なんでも力いっぱいすればいいわけではありません。その装置やパーツに合った力加減があるので、初めての整備では力加減に気を付けながら作業を行いましょう。
オイルエレメントは定期的な交換を!
オイルエレメントを交換せずに使い続けていると、オイルの汚れを取り除くことができなくなりエンジンが汚れてしまいます。結果、ノッキングの原因になったりと、エンジンの寿命を大幅に縮めてしまいます。
交換方法は、整備工場で頼むか自分で交換する方法の2種類があります。自分で交換する場合、車にあった種類のオイルエレメントを選ぶなどの注意点も。
オイル管理は、車の寿命に直結するほど大切なメンテナンスの一つです。安全に走行するためにもめんどくさいと思わず、定期的に交換してあげましょう。
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- 執筆者プロフィール
- 山北吏(つかさ)
- 1989年生まれ。現役整備士(整備士3級)webライター。webライター歴は1年半。愛車はインプレッサ(GH8)。車に乗るなら絶対MT!実家が田舎だったこともあり山道は得意!整備士として働き始め3年目。前職は輸入業...