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車のエンジンがかからない時に試してもらいたい・注意したい点10選
目次
ハンドルロックがかかっている
ハンドルロックはエンジンを切った後、ハンドルを左右どちらかに思いっきり回すとハンドルが固定される仕組みになっています。
盗難防止の機能ですが、車に乗っている方の中にはハンドルロックの解除方法をしらず焦ってしまう方もいます。ハンドルロックがかかったままだと、エンジンをかけることはできません。
ハンドルロックの確認方法
まずハンドルを握り、左右に回してみましょう。回らなければロックがかかってしまっているという証拠です。
ハンドルロックの解除方法は簡単
ハンドルロックの解除方法はとても簡単です。ハンドルを握ったままエンジンキーを回す、もしくはスタートボタンを押せば解除できます。
タイミングによってはなかなか解除できない場合もありますが、そんな時にはキーを回しながらハンドルを小刻みに動かしてみましょう。
電装系の故障
電装系が故障してもエンジンはかかりません。車の電装と聞くと、ルームランプやヘッドライトをイメージする方もいると思います。
しかし電装品はライト関係だけでなくオルタネーターやセンサー類、点火プラグなども電装の部類に属するのです。
そして先ほど述べたエンジンの3代要素に関わる電装部品が故障した場合、エンジンがかからないなどのトラブルに発展することも考えられます。
電装系の故障における確認方法(チェックランプや警告表示が出ていないかを確認)
まずはメーター計にチェックランプや警告表示がないか確認してみましょう。
どの電装品が故障しているかにより状況は変化してきますが、例えばクランクシャフトについているクランク角センサーの故障であれば、エンジン警告灯が点灯します。
またその他のセンサー類が故障している場合でも、何かしらのチェックランプや警告表示が出ている可能性が高く、「すぐにディーラーに持ち込んで下さい」と表示される場合もあるのです。
電装系の故障診断は整備士でも難しい、まずは電装系でないと仮定して原因を探る
電装系の故障によりエンジンがかからない可能性はもちろんありますが、電装系の故障はその他の原因よりも可能性はそれほど高くなく、むしろ年式の新しい車であればその他の可能性を考え原因を探る方が効率的であるといえます。
またどの部分が故障しているか簡単に分かるパーツから、かなり詳しく調べないと分からないパーツもあり、それなりの診断装置がなければ原因を突き止めるのは難しい作業となります。
その難易度は整備士ですら簡単には診断することができないほどであり、ましてやエンジンがかからなくなった一般の方がすぐに原因を突き止められるものではありません。
もし外出先でエンジンがかからなくなってしまった場合、まずは電装系を疑うのではなく操作ミスやバッテリーなど、簡単に原因が突き止められる可能性を考えることが解決への近道となるのです。
エンジン警告灯が点灯していれば速やかに整備工場へ
電装系の故障内容はセンサーだけではありません。
車の全てのセンサー信号を受信しているECUや、バッテリーのヒューズが切れた場合でもエンジンがかからなくなります。
そうなった場合応急処置は不可能なので、もしエンジン警告灯が点灯しているのであれば、速やかに近くの整備工場へ持っていき修理を行いましょう。
ガス欠
意外と見落としがちなのがガス欠です。
給油ランプが光っていても、近くにガソリンスタンドがなく「まだ大丈夫だろう」と思い走行していると、ガソリンがなくなってガス欠を起こす場合もあります。
ガソリンが入っているかを確認
まずはガソリンのメーターを確認してみましょう。ガソリンメーターが0になっていれば、ガス欠の可能性が高くなります。
もし本当にガス欠なのであれば、エンジンが止まる前に下記のような症状が現れているはずです。
- 加速しづらい
- ノッキングが起こる
- 給油ランプが点灯している
まずはエンジンが止まる前の症状をしっかりと思い出してみましょう。
ガス欠した場合はJAFに電話を
本当にガス欠でエンジンが始動しないのであれば、ガソリンを補給することで問題は解決します。しかしガソリンスタンドが遠ければ、車を押していくこともできません。
そのような時は、車を安全な場所に停めJAFなどのロードサービスに連絡する、という方法が最も安全でスムーズです。JAF会員に入っていればガス欠の対応を無料で行ってくれます。
またガソリンスタンドに電話をして、持ってきてもらうなどの方法もあるので一度近くのガソリンスタンドに連絡してみるのも良いでしょう。間違っても友達に持ってきてもらうという方法は、行わないでください。
ガソリンは危険物であり、取り扱いを間違うと爆発や火災などが起こってしまう可能性が高く危険です。 またガソリンの取り扱いは「消防法」により規制されており、無資格者がセルフスタンドで携行管にガソリンを入れることは禁止されています。
自分自身や友達の安全を考えたうえでも、ガソリンを持ってきてもらう際はプロにまかせましょう。
(参照元) 北海道庁 ガソリン等の適正な取扱いについて(防災消防課)
ガス欠だけではないガソリンによって起こるエンジン不調
ガス欠以外にも、ガソリンによって起こるエンジン不調があります。
内容としては長期間車を動かさなかったため、ガソリンが劣化してしまった場合や、タンクに錆が発生し、その錆によりインジェクターが詰まってしまったなどのトラブルです。
長期間ガソリンを保管していると、酸化や不純物が混入し徐々に劣化してきます。劣化したガソリンは異臭がしたり、黒っぽい色になったりするのですぐに分かるはずです。もし1年以上ガソリンを交換していないという方は、一度燃料コックを開け臭いや色を確認してみましょう。
劣化している場合は無理にエンジンをかけず、ガソリンスタンドなどに連絡しガソリンを交換してもらうなどの方法が適切です。
ベルト切れ
ベルト切れもエンジンがかからない原因となる場合があります。
車のベルトは大きく、
- 発電機やエアコンのコンプレッサーを回しているベルト
- エンジン内のクランクシャフトとカムシャフトをつなぐベルト
この2種類に分類されます。
①のベルトは一般的に「ファンベルト」や「パワステベルト」などと呼ばれ、②のベルトを「タイミングベルト」と呼びます。
タイミングベルトが切れれば、エンジンをかけることは不可能です。それに対しファンベルトやパワステベルトは仮に切れたとしても、エンジンをかけることはできます。
ベルト切れの確認方法
ベルト切れは目視で確認するしかありません。しかしタイミングベルトはエンジン内に入っているため、エンジンを分解しなければ目視で確認することができないパーツであり、応急処置もできません。
ファンベルトなどはエンジンルーム内に張られてあるベルトなので、簡単に確認することができます。
ベルトの場所は車種によりさまざまですが、通常エンジンの左側もしくは手前に取り付けてあります。
走行距離が多い車はタイミングベルトが切れている可能性も
タイミングベルトが切れるとエンジンをかけることはできませんが、タイミングベルトは簡単に切れるパーツではなく、交換時期は10万キロとかなり耐久力の高いベルトです。
仮に切れたとすれば、下記の以上が発生している可能性があります。
- クランクシャフトやカムシャフトに予期せぬ衝撃が加わり、その衝撃によりタイミングがずれ切れてしまった。
- 10万キロ以上走行しているのにもかかわらず、タイミングベルトの交換を行っておらず劣化し切れてしまった。
①の場合は運転手も気付くはずなので一般的に切れるとすれば②になるでしょう。もし愛車の走行距離がかなり多く、タイミングベルトを交換していないのであればベルト切れの可能性も考えられます。
ベルトが切れた場合は絶対にエンジンをかけない
ファンベルトやパワステベルトは、エンジンを回転させるために必要なパーツではありませんが、もしこのベルトが切れていても絶対にエンジンをかけないでください。理由としてはエンジンの冷却水や、オイルを循環させているポンプが作動しないからです。
これらのポンプは全てベルト駆動になっており、エンジンがかかると共にベルトにより起動します。
ベルトが切れてしまえばポンプが動かず、エンジンオイルや冷却水がエンジン内を循環することができません。結果エンジンのオーバーヒートや焼け付きにつながるのです。
ベルトの交換ならば数千円で済む話ですが、エンジンが壊れてしまえば値段は数十万単位であり、交換するのにも時間がかってしまいます。確認するのはとても簡単な作業なので、もしベルトが切れていればすぐにJAFなどのロードサービスに連絡を入れましょう。
点火プラグの故障
次に点火プラグの故障が考えられます。点火プラグとは圧縮した混合気に点火する装置であり、この装置がなければガソリン車は動きません。
スパークプラグとも呼ばれる点火プラグは定期的な交換を必要とする消耗部品でもあります。
点火プラグを確認する方法は取り出してみるしかない
点火プラグを確認するためには、実際に取り出すしか方法はありません。
取り付けられている箇所はシリンダーヘッド部分であり、車種により取り出し方はさまざまですが、軽自動車などは比較的簡単に取り出すことは可能です。
しかし、点火プラグを脱着する際に「プラグレンチ」という工具が必要であるため、外出先で「ちょっと確認してみよう」と思い確認するのは難しいのではないでしょうか。
故障した点火プラグの見分け方
故障内容はさまざまですが、電極部の劣化や損傷が主な原因となってきます。電極とはプラグの先端に取り付けられた金属を指し、この金属に大電流を流すことで火花が作られる仕組みです。
L字型になった接地電極部分が折れる、もしくは先端からちょっと飛び出している中心電極が劣化し角が取れ、うまく火花を作ることができず、エンジンがかからなくなってしまうと、エンジンがかからないトラブルに直結します。
エンジンがかからないというトラブルはないにせよ、同じプラグを使い続けていたら劣化してきます。劣化の見分け方としては電極部付近の色が目印となります。黒くなっているのであれば、劣化が進んでいる証拠です。
通常点火プラグは1万~2万キロで交換をする部品ですが、黒くなっているからといって必ずしも劣化とはいえません。
オイル上がりによるオイル焼けや、燃焼室の汚れによって起こる早期着火なども考えられます。しかし1年以上プラグを交換していないのであれば劣化を疑いましょう。最近では10万キロ交換不要な「イリジウムプラグ」が主流となりつつあるので、車種によってはプラグの劣化はあまり期待できません。
エンジンがかからなくなる前の症状を思い出してみる
点火プラグは急に故障するパーツではありません。通常、徐々に劣化し失火などの症状が発生します。まずはエンジンがかからなくなる前の症状を思い出してみましょう。
- 加速がもたついた
- 始動が悪い
- アイドリングが安定しない
などの症状が発生していた場合、プラグの原因が考えられます。外出先でプラグの確認をするのは難しいですが、エンジンが止まる前の症状なども考慮しながら正しい判断を行うことが大切です。
(参照元) NGK SPARK PLUGS 交換時期、誤解していませんか?
スターターモーターの故障
一般的にセルとも呼ばれるスターターモーターも、劣化により故障します。
スターターモーターとは、エンジンを始動する際に最も大切なパーツであり電気の力により強制的にエンジンを回転させます。一度クランクシャフトが回ると、各パーツも動き出しエンジンがかかるという仕組みです。
スターターモーターの故障は他のパーツと違い、故障=エンジンがかからないという結果となるため、エンジンがかからないのであればバッテリーの次に疑うべきパーツとなります。
症状の確認方法や対処方法
(参照元) Car-nalism セルモーターの寿命や故障の原因、交換・修理に掛かる費用まで解説
まずキーを回す、もしくはスタートボタンを押してモーターを回してみましょう。
「カチ、カチ」と音がするもしくは「キュルキュル」となっているならば、スターターモーターが動いているということです。スターターモーターはコイルによって、ピニオンと呼ばれるギアを動かしています。
故障原因として電気がうまく流れていないなどが考えられ、ハンマーなどでたたくことでうまく電気を流すことができる場合もあります。
しかし車の知識がなければスターターモーターがどこについているのか分からないでしょうし、スターターモーターの回りには色々なパーツが取り付けられているので、確認できる範囲がとても狭くなっています。
スターターモーターを叩くつもりが間違って他のパーツを思いっきり叩いて壊してしまった、なんてことにもなりかねません。
もしスターターモーターが原因であるのならば、自分で直そうとせず修理工場へ持っていき修理や交換を行いましょう。
エンジンがかからなくなる前の初期症状
スターターモーターも点火プラグ同様、急に壊れるパーツではありません。
また日本の電装品はとても優秀で、簡単に壊れるとは考えにくいため劣化が原因であれば、エンジンが始動しなくなる前の症状が出ているはずです。
エンジンがかからなくなる前の初期症状として
- キーを回すと一度回った後、少し止まり再度回り始める
- 一発でエンジンがかからなくなり、何度もキーを回さなければならない
- エンジンがかかるまでの時間が長い
などが挙げられます。
コイルの不調や、電気の流れが悪くなったりと原因はたくさん考えられますが、スターターモーターの交換時期は15万キロといわれているので、10万キロ以上走行している車であれば劣化を疑ってみましょう。
車のエンジンがかからなくても焦らないことが大切
急に車のエンジンがかからなければとても焦ってしまいます。それはどのような人でも同じですし、旅行先や勤務先で起こってしまえばなおさらです。
しかしそのような時、焦りは禁物で無理にエンジンをかけようとしたことで、かえって状況を悪化させてしまうこともあります。
チェックランプが点灯しているにもかかわらず、無理にエンジンをかけてしまいオーバーヒートしてしまった。
このような2次トラブルになる場合もあるので、エンジン不調にかかわらず車のトラブルが発生した場合は一度エンジンを切り、どこが悪いのか判断することがとても大切になってきます。
操作ミスがないかまずは確認する
エンジントラブルが発生した場合、まず考えられることは操作ミスです。
- シフトレバーを「P」に入れていなかった。
- クラッチをきちんと踏み込んでいなかった。
このようなミスがとても多く発生しています。
「エンジンがかからないから、車が壊れてしまった」と考えるのではなく、まずは操作ミスや電池切れなど簡単に調べられることから可能性を広げていきましょう。
自分ではどうしようもない状態ならJAFなどのロードサービスに助けてもらう
どうしても自分では対処できないと判断した場合、JAFなどのロードサービスも視野に入れておきます。
ロードサービスはトラブルのプロなので、現地に駆け付けてくれるだけでなく、困ったことがあれば電話でアドバイスを受けることもできます。
トラブルが起こったら、現在の状況をしっかりと把握し細かな状況を伝えることで、すぐに解決することも十分に考えられるのです。
まずはどのように使用している時にトラブルが起こったか、トラブルが起こる前はどうだったのかを冷静に思い出してみましょう。
ロードサービスはJAFだけではありません。任意保険についているロードサービスや、バッテリーを専門としているロードサービスも存在します。まずはもし外出先で車のトラブルが起こった場合、どこに連絡すれば良いのかを事前に整理しておくことが重要であるといえるでしょう。
エンジンがかからないというトラブルでも車によって故障箇所はさまざま
車のエンジンがかからないという、ひとつのトラブルでも原因はさまざまです。
トラブルが起こった車の走行距離や使用年数、走り方、使用頻度、今までのトラブル履歴などによって車の状態は変わり、状態が変われば考えられる原因が異なります。
そして今までの愛車状態はあなたしか知りません。いくら整備士でも今までの状態を知ることは難しく、その点を考えるとユーザーであるあなたが一番愛車の状態を把握しているということです。
何気なく乗っていても、走っている時に今までと違った音がする場合はすぐに気が付くことでしょう。
しかしあなたの車に初めて乗る人が、小さな異音に気付くことは難しく、そういった点においてトラブルがあった際は同じ整備士の方に見てもらうのがベストだといえます。
病気になった時かかりつけの医師がいれば心強いですよね。車も例外ではなく、新車から今までの状態を把握している整備士や、整備工場があるだけでトラブル回避や故障診断の精度もグッと上がります。
そういった面において、愛車のかかりつけ整備工場を作っておき、万が一の時に助けてもらえる環境を整えておくことがとても大切だといえます。
まとめ
車のエンジンがかからない原因はとても多く、一言でお伝えできるものではありません。
操作ミスをはじめ、バッテリー上がりやスターターモーターの故障、ガス欠など簡単に修理できるものから、修理に1週間以上かかってしまう原因まで幅広く存在します。
その中でも操作ミスや、バッテリー上がりなど意外と見落としがちな原因であることが多く、トラブルで焦った場合、単純なミスほど気付けないものなのです。
もしあなたの車が今、エンジンがかからない状態なのであれば、まずは操作ミス次にチェックランプの有無やスターターモーターが動いているか、バッテリーの状態などの簡単な診断をしてみてください。
それでも分からなければ、個人で対応するのは難しいので、ロードサービスに連絡を入れましょう。この段階で無理にエンジンをかけようとするのは危険です。まずは整備工場で診断を行い、原因を突き止めてください。
そこですぐに修理できれば良いですし、故障箇所が難しかった場合、適切な判断ができていたといえるのではないでしょうか。
車は複雑で繊細な乗り物です。ちょっとしたことでトラブルが発生してしまうこともしばしばあります。そんな時はしっかりとした判断を行える人に助けを求めることが、トラブル解決の近道となるのです。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...