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スズキ 新型ジムニー5ドア
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ラダーフレームとは?ランクルやジムニーに使われている意図やメリットを解説

オフロード4WDに使われる「ラダーフレーム」って何?

スズキ 新型ジムニー5ドア
スズキ 新型ジムニー5ドア

いよいよスズキ ジムニー5ドアも登場し、さらに2023年はトヨタ ランドクルーザープラドのフルモデルチェンジも噂されていることから、ますますオフロード4WDが盛り上がりそうな気配があります。

オフロード4WDと言えば、よく聞くのが「ラダーフレーム構造」という言葉。現在のクルマには、「モノコック構造」と「ラダーフレーム構造(セパレートフレームとも)」、そしてその両方のメリットを持っている「フレームインモノコック構造」があります。

モノコック構造とは、薄い鋼板を折り曲げて箱状にすることで、軽量性と堅牢性を両立させたボディ構造です。ティッシュペーパーの箱をイメージするといいでしょう。あの箱も紙を折り曲げたものですが、四方から押してみると意外な頑丈さを持っていることが分かります。

一方のラダーフレームとは、金属でできた頑丈なハシゴ形のフレームの上に、別に造ったアッパーボディを載せる形式です。自動車黎明期には木でフレームを造っていましたが、1900年頃から金属製に取って代わりました。

ラダーフレームを使うようになった当初のメリットは、バリエーションを増やすことが容易なこと。ひとつのシャシーを、セダンやロードスター、トラックなど様々なボディバリエーションで共有できるだけでなく、新しいデザインのクルマにも転用できるからです。

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ラダーフレームのメリットは堅牢性と耐荷重性能の高さ

小型で強靱なラダーフレームを持ったウィリス M38
出典:wikipedia.org Author:Ricardo Tulio Gandelman CC 表示 2.0

もちろん1960年代以前はモノコック構造が自動車に導入されていなかったこともありますが、ラダーフレームにはその他のメリットもあります。それは堅牢性と耐荷重性能。ラダーフレームの材質を強化し、フレームにクロスメンバーを増設することで、より強靱な骨格にすることができるのです。

こうした強化型のラダーフレームは、主に重い荷物を運ぶトラックなどに使われました。

しかし1941年に、小型で強靱なラダーフレームを持ったクルマが誕生します。それは「20世紀の名車」にも選ばれた、フォード GPW/ウイリス MBというジープです。

軍用車として生まれたジープは、戦場で使用されることを前提に開発されたため、堅牢性・耐久性は最も重要な性能でした。自車よりも重い兵器や車両を牽引したり、空挺作戦で上空からパラシュート降下をすることが考えられており、ちょっとやそっとで壊れては困るからです。

実際、時には列車を牽くこともありました。その強靱さを支えていたファクターのひとつが、ラダーフレームなのです。

生産や整備、修理が容易というメリットも

ジープを模して作られた、トヨタ ランドクルーザー(初期はトヨタジープBJ型
トヨタ ジープBJ

さらに、ラダーフレーム構造にすることで、生産や整備、修理が容易という点もメリットでした。

初期のジープのサスペンションはリーフスプリングのリジッドアクスル式だったこともあり、非常にシンプルな構造で、部品点数も抑えることができます。これにより大量生産が可能で、戦場で壊れた場合もスピーディに整備や修理が可能だったのです。

また乗員が乗るアッパーボディ部にダメージを受けても、ベアシャシーさえ可動できたら使用し続けられるという利点もありました。頑丈ゆえに長く使い続けられるという点も、ジープが愛された理由です。

初期の軍用ジープが生産されてから半世紀以上が経ちますが、いまだ現役で走っている車両が少なくありません。

戦後には、このジープを模した多くの四輪駆動車が生まれました。トヨタ ランドクルーザー(初期はトヨタジープBJ型)や日産 パトロール(国内ではサファリの名で販売)、三菱 ジープ、スズキ ジムニーなどです。海外のランドローバー シリーズⅠやメルセデス・ベンツ ゲレンデヴァーゲン(現Gクラス)も、やはりジープの構造を参考にして造られました。

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モノコックボディが主流になるも、地域や運用によってはラダーフレームが最適解

モノコックボディが採用されたランドローバー ディフェンダー(2022年)
ランドローバー ディフェンダー(2022年)

1960年代に航空技術を利用したモノコックボディ構造が広まると、小型車ではラダーフレームを使うクルマは減少。基本的には、四輪駆動車くらいになっていきます。

その四輪駆動車の世界でも、90年代からライトクロカン(後のSUV)の波が訪れ、黎明期はラダーフレームとモノコックボディを組み合わせたフレームインモノコック構造で軽量化。それによって運動性能と環境性能を向上させていきました。

2000年代に入ると、SUVは他の乗用車と同じモノコックボディであることがスタンダードとなり、ラダーフレームを採用している車種はごくわずかとなりました。現在でもラダーフレームを使っている主な小型車は、ランドクルーザー、ジムニー、ジープ ラングラー、メルセデス・ベンツ Gクラスといったところ。Gクラスは次のフルモデルチェンジで、ランドローバー ディフェンダーと同様に、モノコック化されるのではないかとも言われています。

前述の車種が、頑なにラダーフレームを使うのは、やはり堅牢性と耐久性という点が開発の主眼となっているからでしょう。どの車種も道路インフラが十分ではない地域で使われることが多く、しかも多人数乗車や重量のある荷物積載などが日常的に行われるからです。

ラダーフレーム構造は旧態依然としたものですが、厳しい環境で長くハードに使われるということを前提にした場合、最も適したものなのです。

東京オートサロン2023に、トヨタ車体が上部はランドクルーザー40V、下部はランドクルーザーHZJ71Vという車両を出展して話題を呼びました。こうした“ニコイチ”の車両が造れるのも、ラダーフレーム構造だからと言えるでしょう。

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執筆者プロフィール
山崎 友貴
山崎 友貴
1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...

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