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「さらばWRC」高性能GTセダンとして再出発した“ランエボ”、三菱 ランサーエボリューションVII【推し車】

グループAマシンのベースを離れた第3世代初のランエボ

ベースがランサーセディア(6代目ランサー)に変わった最初のランエボ、ランサーエボリューションVII

そのポテンシャルの高さと、途中からはライバル(スバル インプレッサWRX)に人気の面でも圧倒的な支持を得た事により、MOBY編集部がAIに聞いた「30~50代のクルマ好きが気になる名車」にもノミネートされている、三菱の歴代ランサー・エボリューション。

今回紹介するのは2001年2月に発売された第3世代ランエボ初の「エボVII」で、それまでWRC(世界ラリー選手権)で活躍してきたグループAランエボのベース車という役割から離れ、オートマ車のGT-Aを追加するなど高級GTセダンとしての道も歩み始めた世代です。

WRCを離れたといっても他にモータースポーツで活躍するステージは多数あり、エボVIやエボVI TME(トミー・マキネン・エディション)より安価な価格設定もあって、急速に世代交代が進みました。

大型化したランサーセディアがベースでも、戦闘力は向上

WRC参戦用のグループAマシンという縛りから解き放たれたためか、いかにも競技車両という凄みは薄れたが中身は一級品

ランサーエボリューション、通称「ランエボ」のベースである三菱の小型セダン「ランサー」は2000年5月に6代目へとモデルチェンジ、「ランサーセディア」と改名。

諸々の事情で大型化したボディは、まだ5ナンバー車だった頃の6代目ギャランへ匹敵、当時のWRCを戦うラリーベース車としてはかなり大柄で、エボVIで限界を迎えていたグループAラリーマシンとして開発続行するべきか、三菱でも議論があったようです。

結果的にWRCへはWRカーで参戦、許容される改造範囲は大きいものの、ベース車を年間25,000台生産しなければいけない関係でランサーがベースとなります。

一方でグループAラリーマシンのベース車ではなくなった関係で、エボVIまでは正式名称が「ランサーGSR(またはRS)エボリューション」だったのが、「ランサーエボリューションGSR(またはRS)」と名乗るようになりました。

改めて「ランサーをベースとした高性能マシン」という立ち位置を得たランエボは、2001年2月に「ランサーエボリューションVII」として発売。

エンジンこそ従来の4G63ターボ最高出力も自主規制値いっぱいの280馬力だったものの、トルクアップと中速域での出力向上を主眼とした実戦向きのチューニングを得て、エボVIより40~60kgほど増加した車重をカバーする動力性能を得ます。

また、それまでライバルのスバル インプレッサWRXが装備して、ジムカーナイベントのターンセクションで強みとしていた電子制御センターデフ「ACD(アクティブ・センター・デファレンシャル」を装着。

サイドブレーキを引けば後輪への駆動をフリーとして競技での強みとしたほか、前後駆動配分を制御するACDで駆動力を、左右駆動力配分を行う従来からのAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)で旋回性能の統合制御を行い、戦闘力は格段に向上します。

しかもそれでいて車両価格はエボVIやエボVI TMEより安価となり、2000年に三菱で起きた「リコール隠し事件」のスキャンダルを踏まえた「お詫び価格」だったのでは…とも言われました。

高性能GTセダンとしての第一歩、エボVII GT-A

穴がないボンネットとフロントグリルの「GT-A」エンブレムが特徴のエボVII GT-A

2002年にはランエボシリーズ初のオートマ車として、スポーツモードつき5速AT「INVECS-II」を搭載、エボVIIより若干控えめな272馬力ながら、当時でも国産セダンのAT車としてはバツグンの戦闘力を誇る「エボVII GT-A」を発売。

リアウイングは小型化され、レスオプションまたはエボVII同様の大型ウイングのオプション設定となり、競技や激しいスポーツ走行より日常的な使用、特にファミリーカー用途では不安要素となるボンネットのインテークやアウトレットは廃止されています。

このGT-Aで、既に多数派となっていたAT限定免許のドライバーにもランエボの高性能を味わう機会を提供するほか、高速長距離巡航に適したGT的な用途、また高性能ファミリーセダン的な要素も持たせました。

従来の競技や走りを楽しむ用途一辺倒というスタイルから、高価格・高級・高性能GTセダンとしてランエボを売り込むという姿勢は、すぐに受け入れられず販売は伸び悩んだものの、後のエボワゴンやエボXによるラグジュアリー路線の原点となっていったのです。

グループAからWRカーに転じたWRCでのランサーが芳しい成績を残せなかったこともあり、新たなアピールポイントを求めていたランエボにとって、GT-Aは重要な転換点になったモデルと言えるでしょう。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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