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【走るシーラカンス】三菱デボネアの歴代モデルからAMG仕様車の評価は?
目次
三菱 デボネアとは?
初代 デボネア
デボネア(Debonair)は、三菱自動車工業(当時は三菱重工業)がかつて製造・販売していた高級乗用車です。
1964年から1999年までの35年間で、全3世代のモデルが製造されたデボネアのボディタイプは、いずれの世代も4ドアセダンのみとなっており、クーペやワゴン、バンといった派生型は一切開発されませんでした。
デボネアの競合車種としては、トヨタ・クラウンや日産・セドリック、ホンダ・レジェンドといった同クラスの高級セダンが設定されていました。
しかし、各社のフラッグシップセダンを務めたそれらの車種と比較すると、デボネアは全世代に渡って販売台数が低調であり、主な販売先での役割も、同じ三菱グループの重役向けショーファードリブンという、身内の需要に支えられた存在だったのです。
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デボネアの車名の由来は?
デボネア(Debonair)という車名には、英語で「礼儀正しい、愛想の良い、陽気な」という意味がある他、「気品のある、風格をもつ」という意味もあります。
会社の顔である社長さんが乗るのにピッタリな車名ですね。
三菱 初代デボネア 1964-1986
「走るシーラカンス」と呼ばれた初代デボネア
東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)に登場した初代デボネアは、1986年にフルモデルチェンジを行うまでの22年間に渡り、基本設計やデザインをほとんど変更せずに製造され続けたことで、太古の昔から現代まで姿を変えず生きてきた古代魚になぞらえて「走るシーラカンス」という通称で呼ばれるようになりました。
日本製のセダンでは、トヨタ・センチュリー以外でこれほど長期間にわたって製造され続けた例はありません。
アメ車然とした迫力のデザイン
初代デボネアのデザインは、元ゼネラル・モーターズのデザイナー「ハンス・ブレッツナー」が担当しており、60年代のアメ車然とした角貼ったボディを特徴としています。
ボンネットとテールの両脇にエッジを立て、フロントグリルを広く取ることにより、実際のボディよりも大きな印象を与える初代デボネアのデザインは、その見た目だけでアメ車の様な大型車の迫力を演出しているのです。
道路が狭い日本の交通事情において、初代デボネアのデザインは間違いなく目立つはずです。
生産終了後の人気
末期の初代デボネアは、その時代錯誤なデザインと基本設計により、一般ユーザーにはほとんど売れませんでした。
また、三菱グループの重役が多用していたことから、三菱グループ以外の企業からは敬遠され、販売価格もクラウンやセドリックといった競合車種よりも高かったために、社用車としてのシェア争いでも敗退しています。
しかし、生産終了から数十年が経過した近年では、当時敬遠されていた古き良きアメリカ的デザインが旧車好きの間で再評価され、状態のいい個体が高値で取引されるという現象も起きています。
カスタムのベース車両としての需要も高く、ローダウンや派手な塗装を施し、アメリカ風のカスタムを楽しんでいるユーザーも多くいるようです。
初代デボネアのスペック
全長:4,670mm
全幅:1,690mm
全高:1,465mm
ホイールベース:2,735mm
車両重量:1,330kg
生産台数:2万1,703台
駆動方式:FR
エンジン:直列6気筒OHV
総排気量:1,991cc
最高出力:78kW(106PS)/5,000rpm
最大トルク:163N・m(120ft・lbf)/3,400rpm
三菱 2代目デボネアV 1986-1992
3社合同で誕生したデボネアV
2代目となるデボネアは、「デボネアV」の車名で1986年に発売されました。「V」にはV6エンジンやVIPなど、さまざまな意味が込められています。
80年代の初代デボネアは、三菱グループの社用車以外での販路が望めず、新型の開発費用を投じることもできないという状況にあったため、モデルが廃止されるのも時間の問題でした。
しかし、当時三菱と提携関係にあった韓国のヒュンダイ自動車において、韓国国産の高級車を開発するという計画が持ち上がっため、三菱はそれに相乗りする形で、デボネアのモデルチェンジに着手することができたのです。
また、同じく提携関係にあったクライスラーにおいても、アメリカ国内では比較的小型の部類に入るV型6気筒エンジンを、日本国内向けに製造することが決まっていたことから、デボネアVのエンジンとして流用することができました。
当時、三菱では高級車に相応しいとされる6気筒以上のガソリンエンジンを生産しておらず、売り上げの芳しくないデボネアのためだけに、新たなエンジンを開発することもできなかったので、クライスラーによるV6エンジンの供給は、まさに渡りに船だったという訳です。
こうしてデボネアVは誕生し、韓国では姉妹車にあたる「グレンジャー」が誕生しました。
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AMGによるカスタム仕様車「デボネアAMG」
三菱デボネアAMGが入荷しました。
(当店在庫2台目です。もう一台のほうのデボネアAMGは革張り内装。) pic.twitter.com/B8mZ6cPFES— 河合建人@KZX67VマークIIバン製作 (@bacchigoo) 2016年8月23日
デボネアVには、ドイツの名門チューナー「AMG」によるカスタム仕様車「デボネアAMG」が存在しています。
現在でこそクライスラーに吸収合併され、ベンツのサブブランドである「メルセデスAMG」となっているAMGですが、当時は西ドイツの独立チューナーであったために、三菱車のチューンも担当できたのです。
デボネアAMGは、デボネアV 3000ロイヤルをベースに、エアロキットと専用のアルミホイール、ステアリング、デュアルテールパイプ、電子制御サスペンション等が装着されています。
三菱としては、ショーファードリブンとしての需要がメインであったデボネアに、AMGのチューンを施すことで、スポーティーでエレガントなイメージを付与したかったようですが、いかんせん元の車両の人気が無かった為に、あまり普及するには至りませんでした。
なお、発売当初の月販目標台数は50台に設定されていましたが、86年の発売から91年に販売終了されるまでの間で、約300台しか製造されなかったことから分かるとおり、あまり人気は得られなかったようです。
参考までに、デボネアAMGの生産台数は前期型が240台、後期型は58台となっています。
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苦戦する販売
デボネアVの販売は、競合車種であるクラウンやセドリックの陰に隠れてしまい、終始低調でした。
一般向けの拡販策として、前述のデボネアAMGや、イギリスのアパレルメーカーが内装デザインを担当した「デボネア・アクアスキュータム」といったモデルも用意されましたが、それでも販売台数は伸びませんでした。
ただし、2.0Lエンジンを搭載した低価格のモデルにおいては、前輪駆動で室内空間が広かったことや、6人乗り仕様も用意されたことから、ハイヤーや個人タクシーといった業務用車両として少なくない数が用いられています。
2代目デボネアVのスペック
全長:4,690mm
全幅:1,695mm
全高:1,440mm
ホイールベース:2,735mm
車両重量:1,370kg
生産台数:2万8,007台
駆動方式:FF
エンジン:V型6気筒OHC
総排気量:1,998cc
最高出力:105PS(77kW)/5,000rpm
最大トルク:16.1kg・m(158N・m)/4,000rpm
三菱 3代目デボネア 1992-1999
最も大型のボディ
3代目のデボネアは1992年に発売されました。バブルの時期に三菱の上位モデルの大型化が進んだのに合わせて、デボネアもフルモデルチェンジを行っています。
全世代で最も大型のボディとなった3代目デボネアには、レーダーカメラとエンジンブレーキによる車間距離自動制御システムや、GPS&ジャイロセンサーによるカーナビゲーション、後方を写すバックカメラなど、高級車に相応しい当時最先端の装備が充実していました。
パワートレインも強力であり、3.0LのV型6気筒SOHCと、3.5LのV型6気筒DOHCというラインナップです。
やはり低調だった販売
装備も充実した3代目デボネアでしたが、発売がバブル崩壊の時期と重なってしまったために、発売当初から販売台数が伸び悩み、1999年の12月をもって生産が終了されました。
後継車種として、ヒュンダイが開発を主導した三菱「プラウディア」が存在していますが、こちらはさらに売り上げが芳しくなく、発売から僅か1年で生産を終了しています。
3代目デボネアのスペック
全長:4,975mm
全幅:1,815mm
全高:1,440mm
ホイールベース:2,745mm
車両重量:1,590kg
生産台数:1万779台
駆動方式:FF
エンジン:V型6気筒SOHC12バルブ
総排気量:2,972cc
最高出力:170PS(125kW)/5,500rpm
最大トルク:25.3kg・m(248.1N・m)/3,000rpm
三菱 デボネアの中古車価格は?
デボネアの中古車価格
- 最新「デボネア」中古車情報
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本日の在庫数 7台 平均価格 205万円 支払総額 140~300万円
デボネアは発売当時、あまり人気のある自動車では無かったことから、中古市場では希少な存在です。特に初代デボネアは数が少ない上に中古人気も高いので、入手するのは中々難しいかもしれません。
また、デボネアは中古であっても、状態の良い個体が多いという特徴があります。そのため、カスタム車のベースとしての人気も高く、入手をより困難にしているのです。
生産終了後に人気が出た車 三菱 デボネア
3代目デボネアの内装
三菱「デボネア」の歴代モデルの紹介はいかがでしたでしょうか?
販売されていた当時は、走るシーラカンスとまで呼ばれていたデボネアですが、現在ではその古臭さがデボネアだけの魅力にまで昇華され、多くの旧車好きから愛されています。
人とは違う、知る人ぞ知る通な車が欲しいという人にこそ、デボネアがおすすめです!
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...