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初代は社内のゴタゴタに巻き込まれ「2代目でようやく完成?」マツダCX-5【推し車】
目次
2代目CX-5はモデルチェンジ目前か?ロングセラー突入か?
現行の2代目マツダ CX-5は2017年2月に発売されて6年、そろそろ次期3代目に切り替わっても良さそうですが、今のマツダは現行MAZDA3に始まる「第7世代」と呼ばれる商品群にかかわりきりとなっており、まだ時間がかかりそうです。
日本向けのCX-60や、その3列シート版CX-80があればCX-5の役割は終わり…と考える向きもありますが、実際はCX-30とCX-60の中間でマツダCXシリーズSUVのベーシック的なポジションを占めており、マツダもCX-5を「今後も大切に育てていく計画」としています。
もっとも、初代CX-5の同期たるMAZDA6(旧・3代目アテンザ)がデビューから10年以上たってもまだまだ販売中ですから、2代目CX-5も改良を続けつつ、案外この先数年は売り続けてもおかしくありません。
初代のやり残しを徹底的にツメた、2代目CX-5のデザイン
そもそも初代CX-5とは、マツダ第6世代商品群、すなわちSKYACTIVテクノロジーをフル採用し、「魂動(こどう)―Soul of Motion」デザインや、フロントグリルからヘッドランプへ駆け上がるシグネチャーウイングといったアイコンも採用した最初のモデルでした。
ただ、デビューに向けて開発が進んでいた2010年代はじめ頃は、「魂動」デザインの元となるコンセプトカー「靭(しなり)」が予想以上の反響を生み、マツダ社内では開発末期の初代CX-5と3代目アテンザのデザインを「魂動」にするかで、モメていた時期。
それまで両車のデザインは、2代目アテンザの延長線上にあるような、あえて言えば「没個性」デザインのセダン(アテンザ)を作り、同様の路線でCX-5も…という流れで進んでいたわけですが、社内強硬派が3代目アテンザはなんとしても!とひっくり返します。
ただし、その時点でCX-5はアテンザより開発も販売予定も先行していたらしく、根本的なデザイン変更のため骨格(モノコック)をイチから作り直すのには、もう間に合いません。
仕方なく、「可能な限り魂動デザインを取り入れる努力」で妥協したのが2012年2月発売時の初代CX-5で、目立つととこではヘッドランプやフロントグリル、細かい事をいえば全体的に「魂動」になり損ねていました。
そこから改良時に少しずつ手直ししたので、2017年2月に2代目CX-5が発売された時には「プラットフォームをキャリーオーバーしたキープコンセプト?」とも言われましたが、実際にはモノコックから何から半分ほど入れ替えています。
そのためマツダ社内では「第6世代を超え、第7世代に限りなく近い第6.9世代」という声もあったようですが、そもそも初代からして第6世代になりきれなかった第5.5世代とも言えるので、実際は「CX-5は2代目でようやく第2世代として完成した」と言えるでしょう。
SKYACTIV-Dの大トルクでインパクト重視から大人向けへ
走りについても同様で、初代CX-5は低圧縮比で気持ち良く回りつつ、4リッター自然吸気ガソリンエンジン並の大トルクを低回転から発揮するという、クリーンディーゼルとしては画期的な「SKYACTIV-D2.2」の採用が、ひとつの大きなトピックでした。
ガソリンエンジンなら2.0〜2.5L級のSUVへ、いきなり4リッターV8エンジンを載せてドカンと走らせるようなもので、圧倒的な動力性能で度肝を抜いたものの、ただ闇雲にパワフルで速いというだけではいけません。
幸い、初代CX-5の大成功でマツダの第6世代商品群は中古車市場でも人気となり、価値の低い中古車をマツダディーラーに無理な高値で下取ってもらい、引き続きマツダ車に乗るしかない「マツダ地獄」から逃れる目途が立ったところです。
そこで変に走り好き御用達のようなイメージを作ってしまうとブランドイメージ構築(再建?)にも難が出るため、2代目CX-5ではシャープで落ち着いたデザインとスロットルレスポンス、シャシーやサスペンションのセッティング見直しで、大人のSUVとしました。
これはもっと活発に走りたければCX-3や、後にはCX-30もありますし、より多彩な使い勝手を求めるなら、3列シートのCX-8も出る予定という、CXシリーズSUVのラインナップ充実によって、可能になったことです。
CX-60登場後も、現在のポジションは不変?
マツダCXシリーズSUVは2022年6月に直6ガソリン/ディーゼルを含むエンジン縦置きFRベースの「CX-60」が日本でも発売され、新たな局面を迎えました。
ただし、CX-60発売に至る前はさまざまな憶測も飛び交い、3年ほど前までは「マツダは直6エンジンのFR高級セダンを次期アテンザ、またはその後継として発売し、それをベースに次期CX-5もFRベースとなる」という噂が有力だったのです。
しかし現実はMAZDA6に改名して3代目アテンザは販売継続、CX-5とは別にCX-60が登場し、CX-60とメカや構造を共用するFRセダンは、あるのかどうかもわからなくなりました。
CX-60(およびCX-50や80、90など)の発表時点で存続が明言されたCX-5は、おそらくMAZDA6と基本プラットフォームやパワーユニットを共有する、日本やヨーロッパ向けの中核モデルとして、今後も存続していくのでしょう。
CX-30をベースにMX-30が生まれたように、今後はCX-5をベースとしたBEVや、発電用のe-SKYACTIV R(8Cロータリー)を搭載したPHEV版が生まれるのかもしれません。
いつかはそんな、第7世代の3代目CX-5へとモデルチェンジすると思われますが、それまでしばらくはSKYACTIV-Dを最大の武器とした、CX-30の上位モデルとして君臨しそうです。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...