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吹き荒れるリストラの嵐!例の悲劇を乗り越えた中間管理職的マツダ車たち【推し車】
上は高級セダンから下は軽トラまで、他にトラックやバスもあるフルラインナップメーカーの場合、中間管理職的なクルマ、あるいは「いかにも中間管理職が乗りそうなクルマ」が存在し、社内の人間関係に気を使ってそうしたクルマに乗る時代もありました。
国産車メーカーも今でこそ経営資源の集中でトヨタ以外にフルラインナップメーカーが存在しなくなったものの、「かつてのフルラインナップメーカー」にはやはり中間管理職的なクルマがあり、今回はかつてのマツダ車から紹介しましょう。
カペラ(7代目・1997年)
リストラの嵐吹き荒れる中、コネでどうにか定年まで勤め上げた
上級車ルーチェと大衆車ファミリアの中間車として登場、サバンナ登場までロータリー軍団の旗艦だった時代もあったカペラは、3代目(1978年)から次第に中間管理職化しますが、そこは走りのマツダ。5代目まではスポーティ路線です。
カペラカーゴもステーションRVブームのステーションワゴン路線に乗ってイケイケでしたが、マツダが5チャンネル体制に生まれ変わるとクロノスを後継に一旦は廃止。
しかし新生マツダは大失敗、クロノスとその派生車が「クロノスの悲劇」と呼ばれる大リストラで消えゆく中、カペラはマツダ車の「わかりやすい中間管理職」として1994年に復活します(6代目)。
1997年には7代目が登場しますが、実際に乗るとライバルに対する実力不足やコストダウンが目立ち、後継のアテンザが登場すると、旧時代マツダ最後の中間管理職として定年を迎え、消えていきました。
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本日の在庫数 6台 平均価格 313万円 支払総額 53~730万円
ファミリアセダン スポルト20(9代目・2001年)
2Lエンジンを積んだマツダスピードファミリアの量産型
最後のファミリアとなった1998年登場の9代目は3ドアハッチバックが消滅、手堅い4ドアセダンと、ステーションワゴンブームに便乗し、S-ワゴンと称した5ドアハッチバックが残ったファミリア。
スポーティだったのはS-ワゴンでしたが、保守的なカペラの分までスポーツセダンとして頑張る必要に迫られ、4ドアセダンにも2L DOHCエンジンを積むマツダスポーツファミリアを100台限定で設定後、量産バージョン「スポルト20」を2001年12月に発売。
その姿はまさに「リストラされた仲間の分まで仕事を抱え、プレーイングマネージャー的に現場復帰して奮闘する中間管理職」でした。
2003年に初代アクセラを後継に消えた今もトヨタ プロボックスOEMのライトバンとして販売される姿も、「定年後も嘱託の警備員として頑張っている」ようです。
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本日の在庫数 19台 平均価格 159万円 支払総額 20~617万円
トリビュート(2000年)
中間管理職が責任取って買わされそうな、不遇のSUV
バブル崩壊と5チャンネル体制の失敗で重度の経営危機に陥り、フォード傘下に入ったマツダを象徴するような存在がSUVのトリビュートで、オフローダールックのクロスオーバーSUVというコンセプト自体は良かったのです。
しかし、悲劇的結末を迎えたクロノスシリーズの遺産で名機と讃えられたV6エンジンどころか、当初は直4もフォード製の搭載を余儀なくされたのが不評で、「走りのマツダ」を強調してフォーミュラカーをブチ抜くCMも見掛け倒し。
一応は純然たるマツダ車で、それなりにカッコよいSUVだったのに、どこか「フォードからのOEM車」的な雰囲気を漂わせていたあたり、「フォードでアメリカ流の研修を受けてきたものの、日本企業マツダの風土にイマイチ合わない中間管理職」の悲哀を感じます。
実際に日本では1代限りで終わるほど販売不振だったため、在庫のトリビュートを買わされたマツダの中間管理職がいたかもしれません。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...