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ホンダ新型フィット e:HEV&ガソリン“一般消費者向け”試乗レポ「毎日の生活にフィット」
すっかり街で見かけることが多くなった新型「ホンダ フィット」。今回はガソリンエンジンモデルと新しいホンダのハイブリッドシステム「e:HEV(イー・エイチ・イー・ブイ)」の2つのパワートレインを搭載したモデルに試乗しました。
多彩なデザインタイプをラインナップするフィット、ガソリンエンジンモデルは最も売れている「HOME(ホーム)」、ハイブリッドは車高を上げたSUV風のクロスオーバー「CROSSTAR(クロスター)」の試乗となっています。
2020年3月頃の情報となりますが、新型フィットの販売構成比は「HOME」が約半数、「e:HEV」の選択は約7割を超えているとのことでした。
この記事では、新型フィットに乗って筆者が感じたホンダ フィットの良いところ、悪いところと、ガソリンエンジンとハイブリッドの違いを中心に、クルマに詳しくない方に向けて、できるだけやさしく、易しく、優しくお伝えしたいと思います。この趣旨をタイトルでどう伝えればよいか少しばかり悩み「一般消費者向け」とさせていただきました。何かよい言葉がありましたら、ご連絡お願いいたします…
ホンダ フィットとは?
ホンダ フィットとは、4ドア・ハッチバックの5ナンバーサイズのコンパクトカー。ドアミラーを除いた全幅が1,700mmを切ると、車のナンバーは「5xx」の5ナンバーサイズとなり、概ね全長が4,400mmを切ると「コンパクトカー」と呼ばれます。
ホンダ フィットは全長4,000mmを切った扱いやすいボディサイズ。これは2001年にデビューした初代フィットから新型まで変わりありません。
ちなみに初代と2代目はバカ売れ。クルマに詳しくない方々でも「ホンダ・フィット」の名前はご存知という方は多いでしょう。3代目は残念ながら販売が奮ったとは言えない状況。新型4代目は、2019年に開催された東京モーターショーで発表、その後少し発売が遅れてしまって今年2月に発売開始となりました。
新型フィットの発売開始時期とほぼ同じタイミングで、最大のライバル、「トヨタ ヴィッツ」の後継新型「ヤリス」がデビュー。現在「フィット VS ヤリス」の戦いが繰り広げられている最中といったところです。2020年上半期では、ややフィットが押され気味ですが、セールス的には好調と言って良く、結構な人気と評価を得ているといって間違いありません。
また別の機会に、フィットとヤリスの違いについてまとめた記事をお届けしようかと考えております。
フィットの良いところ
新型フィット2モデルに試乗しましたが、全車共通して感じた良いところは次のとおり。
- 運転しやすい
- 乗り心地が良い
- 燃費が良い
- かわいいデザイン(個人的な好みの差は除外)
- コンパクトカーなのに広い
- 室内が明るい
上の画像はドライバー視点で撮影したもの。フロントウィンドウの両サイドにある柱は「Aピラー」と呼びますが、これが細い!Aピラーが細いと死角が小さくなります。
具体的な運転シーンで言いますと、路地から広い道路に出るときや交差点など、左右方向から走ってくる自転車、横断中の自転車に気が付きやすくなります。Aピラーが太いと、その死角にすっぽりと自転車が収まってしまって気が付かず轢きそうになってしまいます。自転車は歩行車より移動速度が速いので、事故が起きやすくなります。Aピラーが細いとそのリスクが減ります。
また、視界が良くなり、運転しやすくなります。フィットはフロントウィンドウも広くなっていて(とくに上下方向)室内の明るさ、開放感にプラスとなっています。これは、運転の楽しさ、同乗者の快適さにもプラスになりますね。
ホンダさんは、新型フィットのシートの開発は特に力を入れたとのことです。実際、座り心地がよく、長時間乗っても疲れず快適。
リアシートもしっかりと作られています。昔のコンパクトカーの後席は、長時間の移動は拷問になりがちでした。高級車並と言ったら言い過ぎかもしれませんが、しっかりした凹凸と大きめのヘッドレストなど、きちんとしています。
インテリアカラーも明るい色が設定されており、より車内が明るく、広く感じることができます。明るい色の内装色は汚れが気になる方がいらっしゃるかと思いますが、筆者が触ってみた感じですと、汚れがつきやすい感じはしませんでした。
乗り心地はコンパクトカーとしては十分。というか、クラスを超えたといって良いでしょう。
クロスターの良いところ
まさに、コンパクトカーとSUVの「クロスオーバー(掛け合わせ)」、その両方のいいとこ取りをしているところですね。地上最低高は、HOME、BASICのFFの13.5cmに対して、クロスター4WDは15.5cmと少し高くなり、タイヤサイズも前者15インチ、後者16インチと一回り大きくなっています。
ちょっと悪路を走るよと言う方なら、クロスターの四輪駆動はちょうどいい選択肢になるでしょう。(自転車でもそうですが、タイヤ直径が大きいと、悪路走破性は高くなります)
ガソリンとハイブリッド「e:HEV」を比較
色気のない画像ですみません。
フィットのエンジンは、ガソリンエンジンは排気量1.3L、ハイブリッド「e:HEV」が1.5Lのエンジンとなります。
最高出力は1.3Lガソリンエンジンが98PS、1.5Lハイブリッドも同じ98PSで、最大トルクが少しだけ異なって1.3Lが118N・m、1.5Lハイブリッドが127N・m。「e:HEV」の電気モーターは最高出力109PS、最大トルク253N・m。
この数字だけ比較すると、「e:HEV」の方がざっくり倍ほどトータルパワーが上になります。しかし、実際の走りが倍速いかというと、そういうわけではありません。
1.3Lガソリンエンジンは、コンパクトな実用車としては十分。登り坂や高速道路で60km/hくらいから100km/hくらいまでアクセルを床まで踏んで加速したときなど、ちょっとパワーが足りないかな、と筆者は感じましたが、フィットというクルマの性格を考えると、そこは問題点ではないでしょう。そもそも、一般の方々の多くはアクセルを床まで踏みつけて走ることはそうそうないでしょう。(筆者の知り合いの何人かは、生涯で一度も床までアクセルを踏みつけたことがなかったとのこと)
「e:HEV」の良いところ
ハイブリッドエンジンを搭載する国産車では、わかりやすく言うと3つのタイプにわかれます。「ホンダ式」「トヨタ式」「日産式」の3つです。「トヨタ式」はモーターとエンジンを切り替えたり、一緒に駆動させたり他と比較すると複雑な制御を行っています。「日産式」は単純明快、エンジンは専ら発電に使って駆動力は100%モーター。
「e:HEV」は、低速から中速までは効率の良い電気モーターだけで走り、電気モーターの効率が悪くなる高速域でエンジンを使うという仕組みです。ちょっと難しい話になりますが、電気モーターは回転数が低ければ低いほど、パワー(トルク)が出ます。理論上ではなんと「0回転」が最強となります。エンジンは逆の性質となり、回転数が低いとパワーも低くなります。
「e:HEV」の良いところは、電気モーターの良いところをしっかり使いながらも、今までのガソリンエンジンのフィーリングと違いがないといって良いレベル。アクセルの踏み方やエンジン音は今まで通り。自然な運転感覚でパワフルでエコな走りが楽しめます。
特に、大人4人乗って坂を登ったり、高速道路を走ったときには「e:HEV」の効果をしっかりと確認することができます。
燃費の違い
カタログ数値(WLTCモード)を表にまとめました。
ガソリン | e:HEV | |||
---|---|---|---|---|
駆動 | FF | 4WD | FF | 4WD |
WLTC | 19-20 | 17-18 | 27-29 | 23-27 |
市街地 | 15-16 | 14-15 | 27-30 | 22-24 |
郊外 | 20-21 | 18-19 | 30-32 | 26-29 |
高速 | 22-24 | 20-21 | 26-27 | 22-24 |
総じて「e:HEV」がガソリンより2〜3割程度燃費が良くなっています。駆動方式の違いでは「e:HEV」の方が開きが大きく、4WDの燃費低下率が少し高くなっています。
筆者が試乗したときでは、カタログ数値に対して2割減が実燃費といったところでした。
ガソリンと「e:HEV」を比較するとガソリンが劣るような印象を受けますが、なかなかの低燃費です。
フィットの悪いところ
フィットの悪いところ……はい、特になかったですね。特に気になるところもなかったですね。
ホンダさんからお金もらってません(笑)
そりゃ、他もモデルと比較したらどんなクルマでも優劣はつきますし、車両価格やコンパクトカーという枠を外して評価してしまえば、気になるところは出てきてしまうものですが、タイトルが示す通り「一般消費者向け」の観点でレポートするならば、このようにお伝えします。
「毎日の生活にフィットする」そんなホンダ フィット
今回、連続して新型フィットの「HOME」ガソリン/FF。「CROSSTAR」e:HEV/4WDに試乗、両モデル合わせて都合足掛け1週間と1日をフィットと共に過ごしましたが、なかなか良いものでした。
気軽に乗れて、長距離乗っても疲れ辛く、燃費も走りも乗り心地もよく。毎日の生活にフィットするホンダ フィットでした。
編集後記
フィットというクルマの性格と、MOBYの主要読者層を強く意識して今回は、クルマに詳しくない方々向けに編集してみました。
筆者的に試乗してニヤっとしてしまったのは、「e:HEV」でフル加速すると、ステップATみたいに変速するところと、同様にフル加速したときのガソリンエンジンの音と変速ショック。(トランスミッションの機構上、変速ショックを付けなくてもだいじょうぶ)
エンジンを高回転まで回したときのエンジン音、トランスミッションの味付け、「あーホンダ!」とちょっと嬉しくなってしまいました。
さて、次回の試乗車はガラリと変わりまして、お国はおフランスのトヨタこと、プジョーが新しくデビューさせたMPV(マルチバン)、リフターです。どうぞお楽しみに!
- 執筆者プロフィール
- 宇野 智
- モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...