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【ダイハツ タフト 新型試乗】 東京で一番急な坂をノンターボで登ってみた
タフトは、コロナ禍の2020年6月10日にデビュー。それまでトールワゴンタイプの軽SUVはハスラーの独壇場。ダイハツがそこに切り込んでいくかたちになったわけですが、コロナの影響がありますから、販売台数だけで現時点どっちが買ったかを判断するのは些か時期尚早でしょう。
筆者は、タフト新型デビュー直後の試乗会で、ターボとノンターボの両方に試乗していますが、短い時間の試乗会では特にノンターボの実力を試しきれません。軽SUVですから、ノンターボの走りは気になりますよね。
そんなわけでダイハツさんからノンターボのタフトをお借りしまして、東京都内で一番急といわれる坂道と、横風が強い東京湾アクアラインという少々過酷な環境で試乗をしてみました。
ノンターボでも大丈夫?
結論から言おう。ノンターボでも問題ない。
タフトより先にデビューしているタントは、同じエンジン、同じ「DNGA」プラットフォームを採用していますが、ノンターボ車については異なるトランスミッションを搭載しています。
タントは世界初のスプリットギアをCVTトランスミッションに組み込み、CVTの苦手な回転域をギアでカバーする技術を採用した「D-CVT」をターボ車、ノンターボ車に搭載しています。
一方、タフトはターボ車のみ「D-CVT」を採用し、ノンターボ車は従来型のCVTを採用しています。ここだけ着目すると、ターボ車にアドバンテージがあり、ノンターボは……となってしまいます。
これについてタフトのパワートレイン開発担当は、「ノンターボ+従来型CVTのパワートレインでも十分動力性能に問題がなかった。ターボはより上質な走りのためにD-CVTを採用した」とのこと。コストは従来型CVTの方が安いため、エントリーグレード「X」2WDで135.3万円、上級グレード「G」2WDで148.5万円(いずれも税込。4WDは約13万円高)というダイハツが提唱する「良品廉価」を達成させることにも貢献しています。
実際に購入するユーザー層も、ノンターボを選択するのは、そこまで走りを求めない、走りを求めるならターボを選ぶという、背景もあったようです。
東京都で一番きつい坂道は問題なし、横風が吹くアクアラインも問題なし。筆者が試乗した感想では、それはダイハツの目論みどおりで、走りをそこまで求めないなら、ノンターボで十分。問題なしです。
ちょっと気になったところ
以下の2点がちょっと気になったところ。「ちょっと」だけのお話なので、購入検討に影響するところまでには至らないだろうと筆者は思っています。(動画でもお伝えしています)
- 発進時、低速域の加速で「キューイーン」というターボのような音が出る。
- ACCの設定速度より上で走行した場合、アクセルOFF時にやや衝撃を伴う減速をする。
ノンターボですが、CVTからターボタービンからでる「キューイーン」という音が出ます。その音量は大きくなく、オーディオをつけていたり、外が静かでない場合は耳に入らないレベル。初の公道試乗会のときは「え?ターボ?」と思い、手元の資料を確認してしまいました。
ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を設定して走行中、追い越しなどで加速をし、その設定速度を超えてアクセルをOFFにすると、割とぐいっとブレーキングします。高速道路上ではちょっと焦ってしまうかも。
このあたり、大きな問題ではありませんが、ダイハツさんに改善をお願いしておきますね。
タフトはこんな人におすすめ
軽SUVですから、アウトドアが好きな人、雪国にお住まいの方はおすすめです。190mmという高めの地上最低高と、前後ホイールアーチの大きな樹脂製クラッディングは、日常生活やレジャーの範囲内で遭遇する悪路、悪条件の道路で頼もしいものとなるはずです。
カクカクなスタイルも、ファッショナブルな軽自動車としての側面を持ちます。背の高いスライドドアを持った軽自動車ばかりの今日このごろ、 街乗りしかしないよって方も、 他とちょっと変わった個性のあるタフトは、さりげない自己主張もできるでしょうね。
軽トールワゴンに比べてお値段お安めですし、スライドドアの使い勝手が必須でなければ、十分使えるクルマです。
走り、乗り味も、高速域でアクセル全開にしなければ、普通車同等レベル。軽自動車はここまで進化したのかと感じれる仕上がりでした。
装備、仕様の詳細は公式HPで。
- 執筆者プロフィール
- 宇野 智
- モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...