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スズキが“うっかり”作ってしまった?ステーションワゴン戦国時代の伏兵・カルタスワゴンは意外とイイ車【推し車】

国産車メーカーほぼ全てがステーションワゴンへ参入!

ランサーGSRと同じ1.8Lターボ+4WDの設定もあり、ダートトライアルなどでも使われた三菱 リベロ

1990年代に突然巻き起こり、それまで「ライトバンみたいで貧乏臭い」と敬遠されていたステーションワゴンを一気にスターダムへと持ち上げたワゴンブーム。

わずか数年でミニバンSUVに取って代わられてしまうとは思えないほど、短くとも熱いブームでしたが、その間にはそれまでステーションワゴンにあまり縁がなかったメーカーも参入してきました。

1985年に発売したミラージュやランサーのワゴンを旧型のままズルズル引きずっていた三菱は、1992年に後継のリベロを発売、ライトバンのリベロカーゴと同ボディとはいえ、三菱らしく1.8Lターボ4WDモデルもラインナップしましたし、ホンダやスズキまで参入!

特に、それまでワゴンどころかライトバンすらなかったスズキは驚きで、ワゴンというより2列シートミニバン的なパイザーしか作らなかったダイハツ以外、全メーカーがワゴンを売り出しました。

ホンダ久々の日本製ステーションワゴン、オルティア

シビックほどスポーティではなく、クロスオーバーというより「ライトバン(パートナー)の化粧直し」に近い地味さが問題だった、ホンダ オルティア

1980年代に2代目シビックがベースのステーションワゴン、「シビックカントリー」を発売したものの、続く3代目/4代目シビック派生車はワゴンというより5ドアハッチバックのシビックシャトルで、RVブーム初期にステーションワゴンの駒がなかったホンダ。

1991年からアメリカ製のアコードワゴンを輸入してソコソコの人気を得ますが、シビックベースのワゴン/バンは久々に国内生産となり、1996年2月に6代目(EK・ミラクルシビック)派生車のワゴン「オルティア」と、ライトバン「パートナー」を発売しました。

ベース車譲りの4輪ダブルウィッシュボーン独立懸架サスが思い切り荷室にハミ出したのは、ライトバンのパートナーほど深刻な問題とはされず、車格は1.8〜2.0L級エンジン搭載でシビックよりやや上。

問題はパートナーとあまり変わり映えせず、スポーティというより安っぽさを感じるルックスで、マイナーチェンジで質感を高めたものの、2002年に生産終了後はフィットベースのエアウェイブ(2005年)を発売するまで、またしばらくワゴン不在期間が続いています。

ホンダに求められたのは、アコードワゴンのようにVTECエンジンを積むスポーツワゴンでしたが、実用性もスポーツ性も中途半端なオルティアはユーザーの期待に応えられず、ワゴンブームの中でも今ひとつ存在感が薄くなってしまいました。

スズキもウッカリ作ってしまったカルタスワゴン

カルタスと呼ぶのがもったいないほど立派でライトバンがないワゴン専用ボディで、スズキの気まぐれと考えるには妙に気合が入っていたカルタス・クレセントワゴン

ワゴンブームの中でもっとも意表をつく存在は何かといえば、スズキのカルタスワゴンかもしれません。

何しろスズキは小型車自体、1960年代に小型車販売の実績づくり程度に「フロンテ800」を販売し、1983年代に米GMの販売網で売るため初代「カルタス」を発売、商用登録の「カルタスバン」はただの3ドアハッチバックで、ライトバンもワゴンも実績なし!

そのため、1995年の発売当初は「カルタス・クレセント」を名乗った3代目カルタスへ、1996年にステーションワゴンの「カルタス・クレセントワゴン」を追加、しかもセダンやハッチバックにはない(※)1.8Lエンジン搭載車まで設定されたのには驚きました。

(※カルタスセダンの1.8L車は型式指定まで受けたものの、市販されずに終わった)

ついこの前まで「軽より安いリッターカー」だったり、「小型軽量ボディにDOHCエンジンを積むこっぱやいカルタスGT-i」の印象が強かったカルタスにカローラ級のワゴンボディが用意され、しかも完成度は結構高い…つまり本気で売ろうとしている?!

しかし目標月販500台と、やる気があるのかないのかよくわからないのが当時のスズキ小型車で、1998年にはベース車同様「カルタスワゴン」へ改名した際、フロントマスクが同年6月発売の3代目スバル レガシィそっくりだと話題になりましたが、ただそれだけ。

海外でも販売しましたが、後継のエリオやSX4にワゴンは設定されず、おそらくスズキの独自生産車としては、最初で最後のステーションワゴンになりそうです。

ワゴンブームでちょっと本格的に取り組もうと気合を入れてワゴン専用ボディで開発、その割に安いのでお買い得とカルタスらしい評価を受けて一時は結構見かけたものの、今ではすっかり忘れ去られています。

ある意味、「スズキまでうっかりステーションワゴンを作ってしまった」ということ自体が、当時のワゴンブームの過熱ぶりを物語っていたかもしれません。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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