更新
タイヤの扁平率とは?メリット・おすすめタイヤブランドなど紹介!
タイヤの扁平率とは?
「扁平率(へんぺいりつ)」とは、タイヤのトレッド幅に対するサイドウォールの高さを指す言葉です。タイヤのトレッド幅がmmで表示されているのに対し、サイドウォールの高さはmmではなくトレッドに対する割合で表記され、原則として5%刻みで区分されます。
「165/55 R15」規格のタイヤの場合、トレッド幅165mmの55%にあたる90.75mmが扁平率をミリメートルで表した際の数値です。同じように計算すると「165/60 R15」の場合は99.0mm、「175/55R15」の場合は96.25mmになります。
乗り心地が優先される一般的な乗用車には扁平率が高いタイヤが装着されます。それに対して、操作に対する反応が優先されるスポーツカーなどは扁平率が低いタイヤが採用され、スーパースポーツカーのような車には35%や30%などの超低扁平率タイヤが装着されることも珍しくありません。
扁平率が低いタイヤは「ロープロファイルタイヤ」と呼ばれるほか、「低」を省いて「扁平タイヤ」とも呼ばれます。また、それぞれのタイヤの扁平率を指して「70タイヤ」や「35タイヤ」のように呼ばれることがあります。
タイヤの扁平率を変更するメリット
高扁平化すると乗り心地を調整できる
扁平率が変わるとタイヤ自体のクッション性が変わるため、乗り心地に変化が生じます。つまり、扁平率を調整することで好みの乗り心地に調整できるということです。
装着されているタイヤよりも扁平率が高いタイヤに交換すると乗り心地が良くなり、反対に扁平率が低いタイヤを装着すると乗り心地が悪くなる傾向にあります。
低扁平化するとハンドリング特性を調整できる
扁平率は車の操舵感にも大きな影響を及ぼします。高扁平タイヤほど厚さがあるぶん変形しやすく、とくにカーブを曲がる際の力でタイヤがヨレやすいため、サーキットのような場所の走行には適しません。
低扁平タイヤへと交換することで、高速旋回中でもタイヤが変形しづらくなり、ハンドルの切りはじめや旋回中の操舵感が直接的でスポーティなものへと変わります。
足元のドレスアップもできる
扁平率を低くしてタイヤの厚さが薄くすることで、ホイールデザイン強調するとともに、足元をスッキリとした印象に変えられます。ホイールインチアップと低扁平タイヤの組み合わせは定番のドレスアップカスタムといえるでしょう。ローダウンカスタムと合わせることで、さらにスポーティな印象が強まります。
タイヤコストを抑えられる
扁平率はタイヤ価格にも影響します。とくに純正タイヤが特殊サイズで高価な場合は、より流通量が多く安価なサイズのタイヤに変更することでタイヤコストを抑えることができます。
また、低扁平タイヤほど値段が高くなりがちです。スポーツカーのように標準で低扁平タイヤを履く車は、高扁平のスタッドレスタイヤを装着すれば、タイヤコストを抑えられるうえ、雪上や氷上では高扁平タイヤが持つクッション性の高さを活かすことができます。
タイヤの扁平率を変更するデメリット
サスペンションとのマッチングが狂う
標準装備のタイヤから扁平率を大きく変えると車の特性が大きく変わってしまい、サスペンションの性能が発揮できなくなる場合があります。
とくに、標準タイヤの装着を前提に入念なサスペンションセッティングが施された車は、扁平率を上げたとしても乗り心地が改善されるとは限りません。また、高扁平タイヤを履く車に極端な低扁平タイヤを履かせると、乗り心地が悪化するばかりか、サスペンションが頼りなく感じられるようになりがちです。
タイヤ選びを間違うとトラブルが発生
扁平率を変えると、タイヤの外径が変わってしまうことにも注意しましょう。トレッド幅はそのままで扁平率だけを変えると、タイヤの外径の違いにより1回転で進める距離が変わるため速度計や距離計、燃費計などの数値に誤差が生じる場合があります。
また車によっては、タイヤ外径が大きくなったことによるボディへの干渉や、荷重を支えるための負荷限界値(ロードインデックス)の不足なども懸念されます。これらの状態にある車は、車検を通せない恐れがあります。
極端な低扁平化は燃費や走行性能にも悪影響
低扁平化するとトレッド幅が拡大傾向になることに加え、タイヤの外径を合わせるためにホイールサイズの大型化も必須となります。トレッド幅が広がると、速度に比例して走行抵抗が増すため燃費に影響が出ることを覚えておきましょう。
またホイールが大きくなると、ゴムより比重が大きい金属部分が増えることになるため、タイヤとホイールの重量合計が増します。タイヤホイールの重量が増えると乗り心地の悪化に加え、加速性能や減速性能も低下する傾向にあります。
タイヤの扁平率、おすすめはどれくらい?
タイヤの扁平率の基準はタイヤ時代とともに変化してきました。また車種によっても適切な扁平率は異なります。現代では、軽自動車やコンパクトカーの標準タイヤとして多く用いられる70や60タイヤが、昔はスポーツタイヤに分類されていた時代もありました。
現在は、おおよそ60タイヤ以上が高扁平、55タイヤ以下が低扁平に分類されており、その中間のやや上にある65タイヤがもっともバランスに優れたタイヤとされています。
扁平率選びの基準は標準タイヤ
標準装備されるタイヤの扁平率を含むサイズは、車やグレードの性能や性格、製造および維持コストに合わせて選択されているため、これを基準にすることが扁平率選びのポイントになります。
経済性が優先される軽自動車やコンパクトカー、ミニバンやSUVなどは70や60が一般的です。そのなかでもメーカー純正の大径ホイールを装備したスポーティグレードやドレスアップカスタムモデルなどは55前後。セダンやステーションワゴンなども55前後が多く装着され、スポーツカーには45前後のタイヤが多く装着されます。
乗り心地優先か運動性能優先かに応じて扁平率を上げるか下げるかを選び、ホイール交換を伴わないタイヤサイズの変更であれば、標準タイヤのワンサイズかツーサイズの変更に留めましょう。
ホイール交換とセットなら扁平率の選択肢が広がる
ホイール交換を伴う扁平率の変更の場合は、タイヤ外径が規定内に収まり、タイヤやホイールがボディやブレーキに干渉しなければどのようなサイズでも選べます。ただし低扁平化するほど轍にハンドルを取られやすくなったり、偏摩耗を起こしやすくなることによるタイヤ寿命の低下などの弊害が発生しやすいため注意が必要です。
とくに超扁平タイヤともなると、段差を通過時や輪留や落石にタイヤがぶつかった際にタイヤやホイールへダメージが加わる恐れがあります。また、超扁平タイヤは空気圧の減少が目視確認しづらいうえ、ロードインデックスも不足しがちになるため、適切な状態管理が必須になります。
扁平タイヤがラインナップされているおすすめタイヤブランド
高性能スポーツタイヤである扁平タイヤをつくるには、高い技術力が必要です。30タイヤ前後の超扁平タイヤをラインナップしているおすすめタイヤブランド10社と銘柄を紹介します。
ブリヂストン
1931年に創業したブリヂストンは、日本国内で圧倒的なシェアを誇り、世界でもミシュランとシェアを競い合う一流タイヤメーカーです。ハイパフォーマンスモデルの「POTENZA(ポテンザ)」とプレミアムコンフォートモデルの「REGNO(レグノ)」の2銘柄が扁平タイヤを中心にラインナップしています。
ヨコハマ
1917年に創業した横浜ゴムは、優れた組成設計技術によるウェット性能の高さが特長です。ハイパフォーマンスモデルの「ADVAN(アドバン)シリーズ」に加え、長距離移動を想定して走行安定性能と低燃費性能を両立させた「BluEarth-GT((ブルーアース・グランドツーリング)」にも超扁平タイヤがラインナップしています。
ダンロップ
ダンロップは住友ゴムが保有するブランドのひとつです。「DIREZZA(ディレッツァ)シリーズ」「VEURO(ビューロ」「LE MANS (ル・マン)」などのプレミアムスポーツタイヤに加え、輸入車向けの「SPスポーツ」やミニバン向けエコタイヤ「ENASAVE(エナセーブ)RV505」でも超扁平タイヤが選べます。
ファルケン
現在住友ゴムが保有するもうひとつのタイヤブランドがファルケンです。プレミアムスポーツタイヤの「AZENIS(アゼニス)」と「スポーツコンフォートタイヤの「ZIEX(ジークス)」に扁平率35前後のタイヤがラインナップしています。
ミシュラン
1880年にフランスで創業したミシュランは、高品質・高性能なタイヤと幅広いラインナップが特長であり、現在、ブリヂストンと並ぶ世界トップクラスのタイヤメーカーです。スポーツカーやスーパーカーがこぞって採用する「PILOT SPORT(パイロットスポーツ)シリーズ」に超扁平タイヤが用意されています。
コンチネンタル
コンチネンタルは1871年創設されたドイツのタイヤメーカー。アウトバーンの走行に耐える高剛性と耐摩耗性に優れたタイヤが特長です。
スポーツ走行向けの「スポーツコンタクト」や「コンチスポーツコンタクト」はもちろん、トータルパフォーマンスを重視した「プレミアムコンタクト」や、ドレスアップスタイルとスポーツ走行を両立させる「エクストリームコンタクト」も超扁平タイヤが用意されています。
グッドイヤー
1898年にアメリカで創業したグッドイヤーでは「EAGLE F1」「EAGLE RS」「EAGLE LSプレミアム」などのイーグルシリーズに超扁平タイヤがラインナップし、エコタイヤの「EfficientGrip(エフィシェントグリップ)シリーズ」の一部にも40タイヤが設定されています。
ピレリ
ピレリは1872年に創業したイタリアのタイヤメーカー。アルファロメオやフェラーリ、ランボルギーニの純正タイヤとして装着される「P ZEROシリーズ」や、経済性と性能を両立させたエコタイヤシリーズの「CINTURATO(チントゥーラ)P7」、アジア向けのドレスアップスポーツタイヤ「DRAGON SPORT(ドラゴンスポーツ)」に超扁平タイヤがラインナップしています。
クムホ
ハンコックに続き、韓国で2番目に創業したタイヤメーカーがクムホ。欧州自動車メーカーにも純正タイヤを供給し、フォーミュラやツーリングカー、ラリーなど幅広いモータースポーツへの参戦実績があるメーカーです。
スポーツタイヤ「ECSTA(エクスタ)シリーズ」のうち、ハイパフォーマンスモデル「V700」「V720」と、コンフォートモデル「PS91」「PS71」の全4銘柄が低扁平タイヤ中心のラインナップとなっています。
フェデラル
台湾1954年創業した台湾のタイヤメーカーであるフェデラルは、D-1(全日本ドリフト選手権)へのタイヤ供給で一躍有名に。現在はアメリカのレジェンドカーレースなどへのタイヤサプライヤーも務めます。
フラッグシップモデルである「595シリーズ」のうちのハイパフォーマンスタイヤの「595 RS-PRO」とラグジュアリースポーツの「595 RPM」に加え、同社の新世代スポーツタイヤ「EVOLUZION(エボリュージョン) ST-1」にも超扁平タイヤが設定されています。
タイヤの空気の入れ方と使い方!おすすめ商品も紹介
タイヤのバーストとは?原因や予防方法を紹介
タイヤに窒素は意味がない!?整備士が教えるメリット・デメリット
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...