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「確かに!」ジムニーとラングラーが背面スペアタイヤにこだわる理由
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背面スペアタイヤを装備したSUVは今や少数派に
最近のSUVのデザインはますます流麗さを増し、スポーティさとラグジュアリーさが融合したカタチになっています。
元々はクロスカントリー4WDやピックアップトラックの派生型として生まれたSUVですが、昨今はその違いがますます漫然としており、明らかに違うカタチを持っているのは、スズキ ジムニーとジープ ラングラーくらいになってしまいました。
この2台が他車と違っていると感じられるファクターになっているのが、背面スペアタイヤでしょう。
リアゲートにキャリア、もしくは直接スペアタイヤを装着していることは、かつてはクロスカントリー4WDの象徴として、スタンダードなものでした。しかし、昨今のSUVにはほとんど見られません。それはなぜなのでしょうか。
クロカン4WDのお手本こと“ジープ”がその始祖だった
スペアタイヤが散見されるようになったのは、モータリゼーション黎明期の20世紀初頭。この頃のクルマを見てみると、エンジンルームや運転席脇、後部座席脇や背面など、装着場所は様々で、特にセオリーなどは無かったようです。
「クロスカントリー4WD=背面スペアタイヤ」というイメージをクルマの世界に定着させたのは、20世紀初頭に登場した「ウイリスMB」と「フォードGPW」という2台のジープといっても過言ではありません。
ご存じの通り軍用車だったジープですが、コンパクトなサイズと優れた悪路走破性によって20世紀を代表する名車となりました。その後のほとんどのクロスカントリー4WDが、このジープを手本にして造られたことは火を見るより明らかです。
ジープは兵員輸送だけでなく、武器を搭載して兵器としても使われたため、スペースユーティリティを考慮すると車内にスペアタイヤを置くわけにはいきません。運転席の横も、乗員がすばやく乗降するには邪魔になります。ボンネット上も整備性を考えるといまひとつ。
様々な検討の結果、背面になったのではないでしょうか。FRベース4WDだったジープは、背面にスペアタイヤを装着すると、後輪荷重とトラクションという点でもメリットが出てきます。
しかし、ウイリスオーバーランド社は背面がベストとは考えていなかったようで、戦後に民生用として登場したCJ3では、後輪サイドにスペアタイヤを移動させています。しかし、結局その後のモデルでは背面に戻されました。
- 執筆者プロフィール
- 山崎 友貴
- 1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...