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なぜ日本の車メーカーは「Gクラス」のような四角いSUVを造らない?その理由に納得

スクエアボディ特有の開発者の苦悩も

角張ったボディでは歩行者保護が難しい

安全性能という点でメーカーが苦労しているのが、歩行者保護性能です。

歩行者と車両がぶつかってしまった時に、できるだけ人体に影響を与えない形状や材質が求められるのです。Gクラスやジムニーのようなスクエアな形状の場合、その性能の確保が非常に大変です。

まず、前部の投影面が大きいため、ぶつかった時に歩行者を大きく跳ね飛ばしてしまう可能性が高いからです。

ハリアーは典型的なウェッジシェープのSUV。ボンネットからルーフまで、なだらかなラインを描いている

ウェッジシェープのSUVであれば、バンパーで足元をすくい、ボンネット、フロントガラス、ルーフを滑らすようにして人体を後方へ導くことができますが、スクエアボディだとそうはいきません。

さらに、ラダーフレームという鋼鉄製ハシゴ形フレームを内包するオフロード4WDは、頑丈な反面、歩行者にぶつかった時に大きな衝撃を加えることになります。

ジムニーもGクラスもできる限りの安全性能を確保しているが…

ジムニーのバンパーを観察すると分かりますが、まず3面で構成されており、それぞれが違う角度を向いています。

さらに、素材は柔らかい樹脂でできており、ある程度の衝撃吸収性が想像できます。ボンネット上も凹凸が少なく、ワイパー以外は大きな突起物がなく、できる限り人体を後方に流す工夫がなされていることが理解できます。

ランドクルーザー70は1984年にデビューするも、2004年に国内販売を終了した

ちなみに、同じようなスクエアなデザインで大人気のランドクルーザー70系は、歩行者保護などいくつかの安全性能の確保が難しかったため、国内での継続的な販売を断念したという背景があります。

一方のGクラスは2018年に登場した3代目で、超高張力+アルミ製ボディを採用したり、フロントグリル、フロントバンパーのデザイン、素材を変更することで、こうした性能を確保しています。

これは高額なプライスで販売できるGクラスゆえであるとも言え、そうでないモデルにはなかなかできないこととも言えます。

また3代目とは言ってもW463という型式は2代目と同じで、新型車ではなくビッグマイナーチェンジという扱いが、性能条件クリアの敷居を低くしているという見方もあります。

現行Gクラスの新車車両価格は1,251万円から。中古市場ではそれ以上の高値がつくことも珍しくない

スクエアなボディは燃費や空力面でも不利に

安全性能に加えて開発者が苦労しているのが、環境性能や操縦安定性ではないでしょうか。

スクエアなボディは空力的に不利で、それは燃費の悪化に繋がります。また車両後部に乱流が発生しやすいため、操縦性にも影響が出ます。

Gクラスもジムニーも、レインガーターの後部を上げることなどの対策によって、空力性能を改善しています。

執筆者プロフィール
山崎 友貴
山崎 友貴
1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...

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