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車におけるロードキルは秋~冬にかけて急増!発生時は保険は利用出来るの?

冬が近づくと、山間部の高速道路やバイパスなどで、車に轢かれてしまっている動物を見かけることがあります。

冬眠前に動物の移動が活発化するから…と考えてしまいがちですが、実はドライバーにも大きな落とし穴があることはご存知でしょうか?

また、飛び出してきた動物を回避して車と衝突したら、誰にどんな責任があるのでしょうか?

ロードキルが急増するのは10月~11月

©Biewer_Jürgen/stock.adobe.com

路上に飛び出した動物を車で跳ねてしまう事故は「ロードキル」と呼ばれます。

NEXCO三社の調査よると、高速道路で発生するロードキル件数は年間4万件ほど。柵や動物用通路などで対策が施されている高速道路だけでもこれだけの数にのぼるのですから、実態が把握しきれない一般道では相当な数のロードキルが発生していると予想されます。

土木研究所 寒地土木研究所情報センターの月報によれば、釧路・根室地域の国道におけるエゾシカのロードキルの発生件数(平成18年~22年)が最も多かったのは11月、ついで10月でした。

これは秋に移動を行うエゾシカの生態も一因と言えますが、月報の考察によれば「日没時間が早くなることが、ロードキルの増加要因の一つとなっている可能性が高い。」とのこと。

つまりドライバーには、秋~冬にかけては特に、道路上に動物を見つけても安全に対処できるスピードで走行したり、早めのライト点灯が求められると言えます。

JAFも「上向きライトにすると遠方でも動物の目が光って発見しやすくなるので、状況によって上向きライトを積極的に使ってください。」と啓蒙。まずは安全運転を心がけることが、ロードキルを減らすことに繋がるのです。

道路によく飛び出してくる動物は何?

もっとも事故が多い動物はタヌキで、全体の約40%を占めます。次いでネコがおおよそ10%。それにウサギ・イタチ・トビ・カラスなどが続きます。また、地域によって多く出没するの動物は警戒標識にマークとして描かれ、注意が促されています。

全国に広く生息し、動物警戒標識でもよく見かけるタヌキは夜行性動物。しかもタヌキは車の接近やヘッドライトの光に驚いて、飛び出した矢先に気絶する場合があるため夜間走行ではとくに注意したい動物です。

イノシシやシカは昼行性であっても夜間に活動することが多い動物です。イノシシは興奮して車に突進してくる場合があり危険ですし、シカは群れで行動するため付近にいるのは1体だけとは限りません。

また、小熊を轢いてしまった場合は近くに親熊がいるため、不用意に車をおりるのは大変危険です。

このように、安全運転に加え、出没しがちな動物の習性を知っておくことも、野生動物の飛び出し事故に対する有効な予防や対処方法になるでしょう。

野生動物の飛び出し、回避して車と衝突したらどうなる?

©Antonioguillem/stock.adobe.com

道路に飛び出してきた動物を避けても、対向車と衝突してしまっては大変危険です。この場合、誰にどんな責任が課されるのでしょうか。

前提として、道路交通法第24条では、危険を防止するためのやむを得ない場合を除く急ブレーキは交通違反と定義されています。

しかし、動物との衝突回避のために行った急ブレーキや急ハンドルは、追突事故や横転事故などの二次的交通事故を誘発させる恐れがあります。つまり、ロードキルから車同士がからむ事故に発展した場合は、動物を回避したドライバーの責任割合が大きくなってしまうのです。

これを踏まえると、クマやシカなどの大型動物であれば衝突回避のための急ブレーキはやむを得ない状況と認められるでしょう。しかし、タヌキやイタチなどの小動物を回避しようとした場合の急ブレーキは不必要と判断される恐れがあります。

つまり、対向車や後続車がいる状況で小動物が飛び出してきたとき、安全なブレーキングや回避行動が難しい場合は、そのままの速度で衝突するのが最も二次的交通事故が起こりにくいといえます。

かわいそうですが、JAFも「ブレーキで回避できない場合は、よほどの大型動物でない限りまっすぐ衝突するしかありません。」としています。

動物を轢いてしまったら?

©YAZAWA/stock.adobe.com

ドライバーには道路交通法第72条における交通事故の報告義務があります。ロードキルも交通事故に該当するため、動物を轢いてしまった場合にも警察への連絡は必要です。

また、路上に放置された動物の死骸が引き起こす二次被害を防ぐために、道路緊急ダイヤル「#9910」へ電話して道路管理会社へも連絡する必要があります。

死んでしまっている場合は、動物を道路上から路肩へ移動し路上の安全を確保。生きていれば動物病院や動物保護施設へ連絡して判断を仰ぎましょう。ただし、動物が暴れる場合は無理をせず、警察や道路管理会社の到着を待つようにしてください。

また、動物由来の細菌やウィルスによる感染症を防ぐため、野生動物に触れる際は素手で触らないように注意が必要です。

ロードキルでも保険金はおりる

ロードキルによって誘発された事故でも、原則として自動車任意保険が使えます。道路標識やガードレール、他車や損傷させてしまった場合は対物賠償保険が適用され、飼育下にある動物のロードキルに対する損害賠償請求にも対物賠償から保険金が支払われます。

自分の車の修理には車両保険も使えます。ただし、オールリスク型とも呼ばれる一般型車両保険であれば補償されますが、補償範囲が限定されたエコノミー型車両保険では保険金が降りない場合がある点には注意が必要です。また、任意保険を使う場合は警察に届出をして事故証明書を発行してもらう必要があります。

ロードキルの回避方法・予防方法

ロードキルや動物による二次的交通事故を防ぐためには、動物が飛び出してきても慌てず対処できるだけの速度維持や車間距離維持が大切です。また、暗くなったら早めのヘッドライト点灯やハイビームの活用で自車の存在を動物に知らせましょう。

ロードキルを回避するための運転は、おおむね市街地走行時の歩行者に対する注意点と同じです。動物が出没しやすい山間部の道路には、飛び出し注意を促す動物警戒標識が設置されているため、標識を見落とさないように注意しましょう。

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執筆者プロフィール
伊藤友春
伊藤友春
1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...

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