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樹脂製パーツは“柔らかくても安全”ってホント?車にも使われる理由に納得
樹脂製パーツを使っている車の剛性に影響はないの?
しかし一方で、車で重要視されるのが「剛性」、つまり車の丈夫さです。実は、バンパーが柔らかい樹脂パーツでできていても、剛性には大きな問題はありません。
剛性の軸となるのは、車の土台となるプラットフォーム、そして太い柱となるピラーの存在です。また、ガラスと金属、金属と金属を繋ぎ合わせる部分の接着方法も、車両剛性に与える影響を大きくします。
こうした骨組みや接合部分がしっかりとしていれば高い剛性の車が、弱いと剛性の低い車が生み出されてしまいます。
つまり、樹脂製のボディパネルが多く使われるバンパー部分は、車の剛性を左右する場所ではないということです。
樹脂バンパーになったことで修理費用がかかることも
実はメリットが多くある樹脂製パーツですが、その柔らかさゆえに「完璧な修理ができない」という欠点もあります。言い換えれば、樹脂バンパーを凹ませてしまった場合、修理ではなく交換になることがデメリットです。
筆者が自動車ディーラーで仕事をしていた際に、よく受けていた問い合わせの一つに「バンパー修理」があります。特に、中高年層のユーザーさんからバンパー修理を依頼されることが多くありましたが、樹脂バンパーの修理の見積もりを提示すると、かなり驚かれてしまいます。
樹脂バンパーは、金属パネルのように鈑金することができません。つまり、軽微な傷やへこみでも、完全に綺麗な状態に直す必要が出てくると、自ずと修理ではなく交換を必要とする作業になってしまうのです。
板金修理のようなイメージで、手のひら1枚分の傷などを直すのに、数万円程度と考えていたユーザーに対して、ディーラーが提示するのはバンパー交換の見積もりとなります。車種によって値段は前後しますが、バンパー交換となるとおおよそ8万円から15万円程度かかることがほとんどです。
ただし、個人の力で変形や塗装を行う場合は加工がしやすいというメリットもあります。樹脂パーツを使っている車を購入する際は、こうした特徴を知っておく必要があるでしょう。
今後も燃費の向上や効率化を高めていく必要がある自動車業界で、樹脂パーツだけでなく、金属部分に軽量なアルミを使用したり、あるいはカーボンといった新たな素材を使ったりする車も多く出てきました。
基本的な安全性や走行性能だけでなく、採用している素材の特徴や注意点を把握しておくことをおすすめします。
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- 執筆者プロフィール
- Red29
- 1980年代生まれ。国産ディーラーでの営業職として働き、自動車関連の執筆者として独立。ユーザー目線に立った執筆を心掛けています。愛車はトヨタプリウス。ホットハッチに代表される、小規模小パワーのクルマが...