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【旧車(絶版車)】キャリア30年のオフロード乗りが心打たれたSUV・クロカン四駆

「男」「野生」の代名詞だった和製ジープ

第1位は迷いましたが、2台をチョイスしました。まずはじめが、三菱ジープです。

周知の通り、三菱「ジープ」はトヨタ「ランドクルーザー(トライアル時はトヨタ・ジープBJ)」や日産「パトロール」と並んで、警察予備隊(陸上自衛隊の前身)の制式車両になるべく造られたモデルです。ライバルたちを制して採用されたのは、米軍が朝鮮戦争での車両の調達をしやすくするためだったと言われています。

結果的に、三菱ジープは自衛隊では「74式小型トラック」の名称で制式され、民生版は三菱ジープの名前で売られました。ショート、ミドル、ロングのボディバリエーションのほか、幌車、バンタイプを設定。さらに年式によって、ナローボディとワイドボディが存在するなど、ランドクルーザー40系に劣らぬ商品ラインナップでした。

三菱 JEEP 最終記念車
三菱 JEEP 最終記念車

エンジンはガソリンとディーゼルがありますが、こちらも年式によって排気量や型式が異なり、最終的にはやはりNox法の影響で生産が終了されることになります。

三菱ジープと言えば、やはり幌のショートボディに代表されますが、これほど不便なクルマは筆者の愛車遍歴の中でも他に類を見ません。僕の愛車はJ58で、サイドステップが付いたワイドでしたが、とにかく乗り降りがしづらく、スカートを履いた女性は四苦八苦。幌なので断熱性はほぼなく、冬は至る所から隙間風が入ってきます。

高速道路では会話ができないほどうるさく、幌がばたついて車内の空気が波打ちます。J58は2Lの直4ガソリンが載っていましたが、決してパワフルとは言えず、ギア比の影響でスピードもさほど出ませんでした。しかし、2.5LガソリンのG54Bアストロンエンジンは別で、120PS/21.3kg-mという出力で、ボディをグイグイ引っ張りました。

メーターはまるで第二次世界大戦中の戦闘機のそれで、見た目も機能美そのもの。けっして快適ではありませんが、男の琴線に触れまくるクルマでした。

三菱 JEEP 最終記念車

オフロード性能は元祖JeepのGPW/MB譲りのもので、どこでも難なく走れます。障害物にどこかをぶつけても、まず壊れることはありませんし、ボディをぶつけて凹ませても、それがカッコ良く見えてしまうクルマなのです。喫煙者は車内でタバコを吸い、そのまま鉄剥き出しのフロアに落として足で消す…なんてワイルドなことをしている人もいました。

1998年に限定で生産された「最終生産記念車」を最後に、三菱ジープはラインナップから消えましたが、地方では未だ大切に乗られている車両を見かけます。

世界の覇者「ランドローバー・ディフェンダー」

第1位のもう1台は、未だ世界のオフローダーから賞賛の声が絶えない、ランドローバー・ディフェンダーです。

ランドローバーは、米国のJeepに匹敵する性能を持つ全地形型の車両としてシリーズⅠにはじまり、シリーズⅡ、シリーズⅢと進化していきました。シリーズⅢの途中から「ディフェンダー」というマスコットネームが与えられ、以後はその名前で呼ばれることが一般的です。

かつて開催されていたオフロード競技会「キャメルトロフィー」において競技車両として使われたこともあって、すべてのオフローダーの垂涎の的に。またイギリスやオーストラリアの特殊部隊が改造した車両を使い、軍事愛好家たちにも人気がありました。

ランドローバー 110

ボディは見切りがいいようにスクエアで、まさにオフロードを走るためにデザインされた車体。ボディには錆びにくく、耐久性の高いアルミ合金を使っていますが、ぶつけた時の鈑金が困難なことがオーナーの悩みのタネでした。

ディフェンダーもまた、ボディバリエーションが豊富なクルマです。これはライバルであるランドクルーザー70系への対応だと思いますが、ショート(ホイールベース90インチ)、ミドル(ホイールベース110インチ)、ロング(ホイールベース127インチ)を設定。それぞれに、バンとピックアップトラックが用意されていました。

ディフェンダーは実用車には軽油が使われる国への輸出が多かったこともあって、2.5L直4ターボディーゼル、2.4L直5ターボディーゼルなど、ディーゼルエンジンがメインでした。ガソリンは3.9LV8(ベースはGM製で、かつてはF1にも使用)のみで、これは主に北米市場向けでした。

日本にも一時期、インポーターが正規輸入をしていたことがありましたが、これは北米仕様。筆者もこの時に輸入した90に乗っていました。以前に乗っていたディスカバリー・シリーズⅠに比べると、サスペンションがスタビライザーで固められていて、オフロードではあまり伸びない脚でしたが、スタビを外してコイルを替えたことで、本来の優れた走破性を取り戻しました。

しかし、V8ガソリンエンジンの扱いにくさはいかんともしにくく、低回転で粘るように回したいようなシーンでも、少しアクセルを踏んだだけで出力がグッとでてしまい、泥のようなスリッピーな路面では閉口しました。またフルタイム4WDであることもあって燃費は3km/Lと最悪で、今のご時世ならとても維持できないような数値でした。

70周年記念モデルの「LAND ROVER DEFENDER WORKS V8」(2018年)

それでも、クロカン四駆としてのカッコの良さは抜きん出ており、インパネ、シート、跳ね上げ式対座のリアシート、リアゲート、ルーフに付いた窓、そしてメタル製のブランドバッジなど、どこを見てもウットリさせられるクルマでした。

2015年に生産が終了し、2020年からは2代目が販売されていますが、未だ再生産を望む声が少なくないモデルです。僕が乗っていたのは非常に短い期間でしたが、人生で一度でも乗れたことが幸せだと思えるクルマのひとつです。

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執筆者プロフィール
山崎 友貴
山崎 友貴
1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...

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