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もう暖機運転は必要ない?メリットやデメリット&正しいやり方を解説
「車を発進させる前には極力暖機運転をすること」と教えられていましたが、昨今では暖機運転は必要ないとも言われています。暖機運転の必要性や意味、メリット、デメリットについてまとめてみました。
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目次
暖機運転とは?今の車にも必要なの?

暖機運転とはエンジンをかけた後、しばらくエンジンに低負荷をかけておく(低回転状態にしておく)ことです。基本的にはアイドリング状態でしばらく車を放置することを指します。
目的は文字通り「エンジンを暖める」ことで、暖まってエンジン内部のパーツが本来の性能を発揮できるようになるまで少し待つ必要があります。
一昔前の車は、エンジンが暖まっていないと思うように走れない特徴がありました。気温が低い冬などは特にしっかりエンジンを暖める必要があったのですが、現在の車は基本的に冬場であっても暖機運転の必要はありません。
暖機運転が必須だったのはなぜ?
今の車に暖機運転が不要になったのは、エンジンの燃料噴射装置が進化したためです。かつてはキャブレター式だったものが電子制御式になったことで、エンジンが冷えている(=気温が低い)状態に合わせた燃料噴射ができるようになりました。
また、エンジンオイルの品質が向上したことで、エンジンが冷えてもオイルが固まったりスムーズに流れないほど粘ついたりすることがなくなったことも理由に挙げられます。
したがって現代において暖機運転が必要な車は、昔ながらの燃料噴射装置を搭載しているクラシックカーや旧車のみといえます。
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今の車に暖機運転は必要ない?
前述の通り、最近の車は性能が向上したため、エンジンが暖まっていなくても走ることに支障はありません。
また、エンジン以外にギヤ、タイヤ、ブレーキなどの温度で影響を受ける部分はありますが、走行しないと温まらなかったり、一般車では意識する必要がなかったりします。
したがって今の車は暖機運転の必要性が昔ほどありませんが、状況によっては行なった方が良い場合もあります。
今の車で暖機運転をするメリットとは?
オイルを循環させてエンジンの傷みを防ぐ
今の車における暖機運転のメリットは、エンジンへの負担が一番低いアイドリング状態を保つことで、エンジンオイルを循環させることです。
エンジンオイルは、オイルポンプの働きでエンジン内を循環しますが、エンジンが回っている間しか循環しません。エンジンが停止した状態では、エンジンオイルはエンジンの最下部にある「オイルパン」という場所に溜まるしくみになっています。
そのため、エンジン始動時には、エンジンを保護するエンジンオイルがない状態になっています。そこで急激に負担をかけると、エンジンが傷みやすくなります。
車種や状況によって差はありますが、エンジンオイルが各部を循環するまでの時間は約1分程度と言われています。「エンジン始動後1分以内に出発する」ということは考えにくいので、よほどのせっかちでなければ暖機運転を意識して行う必要はないでしょう。
ミッションオイルなど車体各部のオイルを暖める
エンジンオイル以外にも、車の各部にはミッションオイルやダンパーオイルなどが使われています。車をベストコンディションで乗るためには、エンジンオイル以外も暖めると効果的です。
しかし、車体各部のオイルはアイドリングのみでは充分暖めることは難しいでしょう。したがって、低負荷状態でゆっくり運転することが効果的な暖機運転と言えます。
今の車でもこんな人は暖機運転をしたほうが安心
長期間(1週間以上)放置していた
エンジンオイルの油膜は、時間の経過とともに薄くなります。久しぶりにエンジンをかける時には暖機運転をした方が良いでしょう。
外気温がマイナス10℃以下
車種にもよりますが、寒冷地ではエンジンの状態が安定しない場合があります。水温計が動き出すまでは暖機運転を行いましょう。
毎日運転する場合は、暖機運転はしなくても大丈夫?
最近のエンジンオイルは、エンジンが停止してエンジンオイルがオイルパンに戻っても、オイルの薄い膜をしっかりと維持します。長期間に渡ってエンジンをかけない状態が続いたり、急発進などの負担をかけない限りは、エンジンは傷みづらくなっています。
よって、定期的にエンジンオイルの交換等のメンテンスをきちんとしていれば、アイドリング状態での暖機運転の必要性はほぼありません。
毎日運転する人は、毎回の暖機運転よりも定期的なオイル交換のほうが、効率的に車のコンディションを保つことができるでしょう。
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効果的な暖機運転のしかた
アイドリング→低負荷運転の2段階で行おう
今の車の暖機運転は、エンジンだけしか温められないアイドリング状態での暖機を短時間で済ませ、低回転・低負荷運転を行うのがおすすめです。水温が安定する頃には車全体の暖機がほぼ完了していると考えて問題ありません。
1.アイドリング状態での暖気
エンジンの回転数が落ち着くまで10秒~30秒程度行います。
2.走行しながらの暖気
低回転での運転を心がけ、必要以上にアクセルを踏み込まないようにします。シフトチェンジでのエンジンブレーキ、トランスミッションなどに負荷がかかる運転は控えてください。
水温計が通常の位置で安定すればOK。交通の迷惑にならないような速度を心がけましょう。
暖機運転をするときの注意点

出典 : https://en.wikipedia.org/
不要なアイドリングは排ガスで迷惑行為になりかねない
「長時間のアイドリングは迷惑になるのでおやめください」の表示がある駐車場も多く見かけます。アイドリング音や排ガスの臭いなどが迷惑にならないか、環境や時間帯に配慮しましょう。
エンジンに負荷のかかる空ぶかしなどはしない
アイドリング状態の暖機は、充分なオイルが供給されないため、カムシャフトやクランクのメタルなどの回転系パーツが磨耗を起こしやすい状態にあります。長時間の空ぶかしは、車を損傷するリスクがあるためやめましょう。
また、空ぶかしは迷惑音になる可能性があります。環境や時間帯に配慮しましょう。
暖機運転でもガソリンは消費する
ガソリンは揮発性が高い(蒸発しやすい)液体であり、温度が高いほど揮発性が高くなります。
真冬にエンジンがかかりにくいのは、気温が低いとガソリンが気化しにくいため。つまりエンジンが温まっていない状態で走行すると、燃費が悪くなるのです。
理論的には、暖機運転をして燃焼効率が良い状態(エンジンが温まった状態)にしてから走行した方が、燃費は良くなります。
しかし「暖機運転で使用した燃料」と「暖機運転をせずロスした燃料」のどちらの消費量が多いかを考えるのは難しく、一概に「暖機運転で燃費アップ」とは言えない点に注意しましょう。
エンジン以外の各部は走らないと暖機できない
エンジンの駆動力を伝達する変速機、デフ(ディファレンシャルギア)、等速ジョイントなどは、走行して負荷を与えないと、内部のオイルの粘度が低くなりません。
道路などの条件が許す範囲内で、エンジンの回転数が落ち着く程度のアイドリングと走行状態での暖機を組み合わせることが、車にとってはベストの方法だと言えます。
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出典 : https://www.flickr.com/
基本的に今の車の暖機運転は、エンジンの様子やメーターを見ながら、ゆっくり落ち着いて走りだす程度でじゅうぶんです。急発進や急加速、急ハンドルなどを避けることは安全運転にもつながります。
クラシックカーや旧車を乗っている人、極寒地に住む人、ほとんど車に乗らない人は、周囲の迷惑にならないように適切な暖機運転を行いましょう。
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