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あおり運転に遭ってしまった時の通報方法!あおり運転の対策方法も
目次
「妨害運転罪」に該当するものが煽り運転
2020年(令和2年)6月10日に「道路交通法の一部を改正する法律(令和2年法律第42号)」が公布されました。これにより妨害運転罪(煽り運転に対する罰則)が創設され、あおり運転への取り締まりが以前に増して厳格化されたのです。
ちなみに道路交通法の改正に関係するのは妨害運転罪だけではなく、高齢運転者(75歳以上)の免許更新や第二種免許等の受験資格の見直しがされました。
条文を一部原文で紹介しますと、以下の通り。
他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であつて、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者
道路交通法の一部を改正する法律(令和2年法律第42号)
ここで言及されている行為(妨害運転罪に該当する違反行為)は、10類型違反と呼ばれており、具体的には以下の行為です。
類型 | 禁止内容(例) |
---|---|
通行区分違反 | 逆走禁止 |
急ブレーキ禁止違反 | わざと急ブレーキする |
車間距離不保持 | 車間距離を異様に詰めてくる |
進路変更禁止違反 | 走行車線から追越し車線走行車前へ車線変更して 後続車の進行を妨げる |
追越し違反 | 追越車線走行からの走行車線を使った追越し |
減光等義務違反 | パッシング等 |
警音器使用制限違反 | ホーンを鳴らす |
安全運転義務違反 | 幅寄せ |
最低速度違反 | 高速道路を最低速度(時速50km)未満で走る |
高速自動車国道等駐停車違反 | 高速自動車国道等の道路上で危険な駐停車する |
※道路交通法を元に作成
非常に危険な行為が含まれているのがわかるだけでなく、気が付かぬうちに煽っていそうな行為も含まれます。(例えば進路変更禁止違反)
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あおり運転に遭ってしまったらまず警察に連絡!
あおり運転に遭った場合、警察への連絡は必須。万が一そのような運転者に遭遇したときに備えて、“通報までの流れ”も理解しておくことがとても大切です。
焦らず平常心を保つ
あおり運転に遭遇したときは、苛立ちや報復を考えず、平静を保つことが最も重要です。
注意力が散漫した状態での運転は法律違反であり、速やかに警察に通報する必要があります。もし被害に遭った場合は、可能な限り冷静に対応するよう心がけてください。
自分の身の回りの安全を確保する
安全を確保するための措置を講じたら、車を減速させましょう。それでも挑発が続くようであれば、高速道路に面した市場の駐車場など、公共の場に出入りできる場所を探してみてください。
また、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアに行くのもおすすめです。もし相手が車の進入を妨害してきたら、窓を閉め、すかさずドアをロック。どんなことがあっても、会話したり、窓やドアを開けたりしないでください。
対象車両の車のナンバーを控える
安全を確保できたら、相手の自動車のナンバープレートを控えておきましょう。
スマートフォンで写真や動画の撮影も可能ですが、事故を起こす可能性があるので運転中には行うのはやめましょう。
警察に通報する
相手車両のナンバーを入手した後、速やかに警察に連絡。警察官が到着するまで、落ち着いて車内にとどまることが大切です。車内やカーナビに搭載されているヘルプネットを利用して警察に通報するのもいいでしょう。いずれの方法でも、身の安全を確保するため、迅速な対応を心がけてください。
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あおり運転を受けないためにはどのようにすればいい?
ここからは“あおり運転をなるべく受けないために必要なこと”を解説していきます。
周囲の車に気をつける
道路を走行するときは、常に他の自動車に気を配りましょう。相手を思いやり、譲り合う気持ちを持って運転することが大切です。他の車の位置を常に確認することで、危険な車を事前に回避することができます。
法定速度を守る
運転中は安全な速度を守ることが絶対条件。急な追い越しや車線変更は危険です。高速道路では、漫然と運転し、追い越し車線の通行を妨げてはいけません。また、制限速度以下での蛇行運転は、公道での注意力の散漫を助長する恐れがあります。したがって、状況に応じた適切な速度で慎重に運転しなければなりません。
前の車との車間距離を保つ
運転中は、前の車との間に適度な間隔を保つことが必要です。安全運転を心がけることは大切ですが、それでも大きく離れてしまうと、相手のドライバーに「呼び止めようとしている」と思われる可能性が。その結果、相手からあおり運転をされる可能性があります。
無理な追い越しや車線変更はおこなわない
あおり運転から逃れるためには、車線を急に変えたり、無理な追い越しをしないこと。車線変更する前に、周囲の車両を確認し、安全な車間距離があることを確認してください。高速道路の追い越し車線は、原則として前方の自動車を追い越す場合にのみ利用しましょう。
後続車が急いでいる場合は道を譲る
必ずあおり運転をされるとは限りませんが、自分の身を守るために安全な距離を保つことが大切です。ウインカーを出さずに割り込んでくる車、急加速する車、頻繁に車線を変更する車などに注意しましょう。
意味のないクラクションは鳴らさない
運転者の不注意による犠牲者を出さないためには、法律で義務づけられている場合や、差し迫った危険を防ぐことができる場合を除き、クラクションを鳴らさないようにすることが必要不可欠です。
例えば、他のドライバーの運転が気に入らないからクラクションを鳴らすというのは、違法行為に。無差別にクラクションを鳴らすと、危険な結果につながる可能性があります。
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あおり運転に対する罰則
あおり運転をしたとして検挙された運転手は、行政処分と刑事処分に科されます。つまり前歴と前科が付くということです。
通常の煽り運転の場合
点数制度に則って違反点数25点が加点されます。例えば、前歴0回で運転免許禁止処分・取消し等を受けていない人が煽り運転で検挙されると、2年間の免許取消処分です。
前歴持ちであったり、上記に書いた運転免許禁止処分・取消し等を一定期間内に受けますと、最長5年の取消し処分になります。
刑事処分の内容は、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金です。何より前科がつけられる点が、罪の大きさを示しています。
著しく危険な煽り運転の場合
通常時よりも厳しい罰が下されます。違反点数35点の加算および免許取り消し(3年間の欠格期間付き)となります。
取り消し期間は最長で10年ですから、この煽り運転で検挙されれば3~10年の間は免許を再取得できない(車を運転できない)のです。
あおり運転に巻き込まれた時の対処方法
あおり運転に遭遇しても安全確保が第一優先
あおり運転に遭遇したとき、まず最初に考えなければならないのは身の安全を確保すること。もしも後ろギリギリまで詰められたり、ヘッドライトのハイビームとロービームを繰り返すパッシング、さらにはクラクションを鳴らされた際には真っ直ぐな道を選択し、左側に寄ることでやり過ごしましょう。
ただし、無理やり前に出てきて急ブレーキを踏み止まらせることを目的としたあおり運転もあります。その場で停車することが安全かと思われがちですが、高速道路では停車すること自体が危険。
サービスエリアなどに入ったり、広めの路肩に停車して、できる限り安全を確保することが重要です。
あおり運転を行った相手と接触しないようにしよう
また、あおり運転をおこなった相手はあなたに接触しようとしてくる可能性があります。ここで暴行にあったなどの事例もあるため、ドアは施錠して窓も開けず、目も合わせないようにしましょう。
窓を開けて応戦している人もいますが、車種によっては指などを挟まないように安全機能が装備されており、力ずくで窓を開けられたという事例もあります。ドアロックに関しても、ロックしていなければドアを開けられて引きづり出されることも。
身の安全を守るためには、気をつけることが2つ。1つ目が安全な場所に退避することにより事故を防止、2つ目が車内に籠城できるようにしっかりとロックして相手にしないことを第1に考えて行動してください。
後日、警察へ通報するときの注意点
突然の煽り運転に驚いてすぐ警察へ連絡できなかった場合には、あおり運転された証拠を持って警察へ届け出るようにしましょう。犯人特定に向けて警察が動いてくれます。
証拠と認められるものとして最も効果的なのは映像。被害に遭ったことを“揺るぎない事実”として証明できるため、録画が可能なドライブレコーダーを搭載するのがおすすめです。
また事前に知っておくと便利なのは「危険運転情報提供サイト」。発生した危険運転に関する情報を共有するウェブサイトが展開されています。
民間だけでなく行政によって運営されているものもあり、地元警察が積極的に呼びかけて危険運転の情報収集も行うなど、あおり運転撲滅へ積極的に取り組んでいるようです。
民間のウェブサイトを見ると、あおり運転や危険な運転をする車のナンバープレートや出没した場所などが、写真付きで共有されています。
ただ、こういった行為はある種の晒し行為・私刑の範疇を超えません。あおり運転の犯人を実際に取り締まるには、警察へ情報や証拠を渡すべきです。
ナンバー通報サイト・動画投稿サイトは利用すべき?
突き詰めると、ナンバー通報サイト・動画投稿サイトに情報共有することは価値があると考えれば利用するべきです。
しかし先ほど述べたように、民間サイトに情報を共有する行為が犯人逮捕につながる可能性は低いでしょう。客観的証拠があるのであれば、警察に届け出て捜査してもらうのが効果的な方法。
あおり運転の犯人が検挙されれば危ない運転をする人が1人減るわけで、その分公道が安全になるのです。
あおり運転対策に有効なドライブレコーダーは?
対策する煽り運転の種類によって、効果が期待できるドライブレコーダーとそうでないものが違ってきます。
例えば前方・後方を映すドライブレコーダーは前走車・後続車のナンバープレートや走行中の環境(信号や走行車線など)を記録するのに向いています。
それに対して、車内と車体側面まで対応する360度ドライブレコーダーは、幅寄せされた様子や車から降りて怒鳴り込んできた(脅迫してきた)相手運転手の姿を記録するのに便利です。
その他、ドライブレコーダーの画素数が少しでも高いものにしておくと、相手車のナンバープレートの情報を正確に記録できる可能性が高まります。
また、巷でよく目にする「ドライブレコーダー装着車」のステッカーを車体後方に貼ることで未然に防ぐのも1つの対策方法です。
周りを見ていない運転手に出くわした時の対処方法
周りを見ずに車を運転するしている運転手に出くわすと、ヒヤッとするようなことだけでなく、こちら側がイライラしてしまったり、それこそ相手を煽ってしまいかねません。
そんな時にはまず距離を置くこと、そして警察に頼ることが重要です。
距離を置いて様子見する・気持ちを落ち着かせる
危なそうな車が自身の前方を走っているのを見つけたら、とりあえず距離を置き、様子を確かめます。
追い越す場合には、その車が急に車線変更してくるかもしれないと考えましょう。道路の構造上追い越しできない場合には、普段より距離を置いてゆっくり走ります。
近くに休憩できそうなお店があればそこでちょっと休憩するのもアリです。イライラして後ろから車間距離を詰めるのはやめておきましょう。
Bluetoothを利用して警察に電話する
高速道路で永遠と追越車線を走り続けていたり、道路上を塞いだままで後続車の進行を妨げる車に出くわしたとしましょう。
例えば前車の場合、前方を走る車は通行帯違反という道路交通法違反をしていますので、警察の取り締まりの対象となります。改善される余地がなさそうであれば、警察に電話して場所を伝えて、取り締まってもらいましょう。
車内に自分1人で運転中だった際には、Bluetoothを利用して警察に電話することが大切です。運転中の携帯電話操作は道路交通法違反になるからです。
使っているカーナビにBluetoothで携帯やスマホを接続できるかどうか確かめ、出発前に事前にBluetooth接続しておくのがおすすめです。
【最重要】あおらない・怒らない
前走車や後続車の運転が道路交通法に違反していたりマナー違反だったとしても怒らないことが大切ですし、絶対に煽ってはいけません。
相手に煽り運転だと言われて警察に通報されたら、前歴・前科がついてしまうかもしれません。相手に、こちらへ言いがかりを付けるキッカケを作らないことが大切です。
Bluetoothを使ってハンズフリー通話をする方法について詳しく知りたい方はこちら
絶対に煽り運転の加害者にならないことが大切
時代とともに道路交通法は厳しくなってきました。妨害運転罪が立法されたことも、あおり運転による被害が目立ってきたこと・実際に起きてしまったことなどが関係するのは周知の通りです。
罰則も厳しく、車を運転できず日常生活に不便を被るだけでなく、社会的地位を失われかねません。
どのような理由があっても煽り運転をしないように、そして煽り運転の被害に遭わないように、周りに配慮した運転を心がけましょう。
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...