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コンロッドとは?ピストンやクランクシャフトとの関係や仕組みと働き
目次
自動車のコンロッドとは
エンジンを動かす重要なパーツ
コンロッドとはレシプロエンジン(ピストン式エンジン)のピストンとクランクシャフトをつなぐパーツです。コネクティングロッドを略してコンロッドと呼ばれています。
エンジンが起こすピストンの動きをクランクシャフトに伝え、回転運動に変換します。車を動かすための重要なパーツの一つで、軽量かつ頑丈さが求められます。
コンロッドの構造
コンロッドにある小さい穴が空いている部分を小端部(スモールエンド)、大きく輪っか状になっている部分を大端部(ビッグエンド)といいます。
小端部がピストンに接続され、大端部がクランクシャフトに接続されます。
コンロッドはコンロッドベアリング、コンロッドボルト、コンロッドキャップ、ノックピンなどの部品で構成されています。
コンロッドにはコンロッド本体とキャップをボルトやノックピンで止める割コンタイプと、一体型のストラップタイプのものがあります。
エンジンの仕組みとコンロッドの働き
現在の自動車のうち多くのものは4ストロークエンジンです。 4ストロークエンジンとは、吸気、圧縮、燃焼、排気の4工程で一つの周期を完了するエンジンの事です。
この4ストロークエンジンは1つの周期にピストンが2往復します。ピストンの力を動力とするエンジンをレシプロエンジンとも言います。
ガソリンなどの燃料を燃焼させ、ピストン運動を発生させ、コンロッドがピストン運動の力をクランクシャフトに伝え、クランクシャフトが伝わった力を回転運動に変えて車を動かす動力とします。
コンロッドは、エンジンのピストン運動をクランクシャフトに伝えるとても大事な役割を果たしています。
コネクティングロッドの動きを紹介する動画
クランクシャフトとコンロッドの動き
コンロッドの材質の種類
コンロッドの材質には、クローム鋼、クロームモリブデン鋼、ニッケルクロームモリブデン鋼、チタン合金などのものがあります。
成形方法は主に熱間鍛造で作られます。これは金属を熱してハンマーやプレス機などで圧力をかけながら成形するものです。
車以外の小型エンジン(発電機、芝刈り機など)や、船舶エンジンなどには、アルミ合金のコンロッドが使用される場合があります。
アルミ合金製コンロッドは熱間鍛造や重力鋳造(重力、大気圧を利用して金型に溶融金属を流し込む)や、ダイキャスト(金型に融解した金属を圧入する)などで成形されます。
コンロッドは自動車の部品の中でも特に頑丈さを求められる部品で、軽さと粘り強さと硬さが必要とされます。
エンジンのピストンとクランクシャフトをつなぐコンロッド
コンロッドはエンジンのピストン部分とクランクシャフトをつなぐ重要な部品です。
頑丈な素材で作られ、基本的には交換の必要はないものですが、長期に渡って車に乗っていたり、レースのような過酷な状況で乗り続けていると折れてしまう場合も稀にあります。
折れると異音と振動が感じられ、折れた部分が暴れたりするので非常に危険です。おかしいな、と感じたら、早めに停車してJAFや修理工場などに連絡しましょう。
コンロッドのメーカーは?
コンロッドの製造は、各車メーカーの下請け会社が行います。メーカーはどの下請け会社がどの部品を作っているのか、大々的に発表しないため、調べてみると自動車産業ポータルMARKLINESのサイトで、ホンダとスバルのコンロッド製造メーカーが記載されていました。
ホンダでは、Dongfeng Honda Auto Parts Co., Ltd.という中国の会社が、一部の車種のコンロッドを製造しているようです。また、スバルは群馬県にある自社工場でコンロッドを製造していることがわかります。
しかし、全ての車種を一つの場所や会社で作っているわけではなく、車種ごとに分けたり、販売する場所(国内外の違いなど)によって製造する会社を変えたりしているのです。また、部品の素材の違いによって作れる会社と作れない会社がわかれます。
加えて、海外で安く部品を製造し輸入していたりもするので、一概にどのメーカーだとお伝えするのは難しくなります。そのためわかる範囲で調べてみました。
以下にご紹介する会社が必ずしもコンロッドを製造しているわけではないことを理解していただけると幸いです。
ホンダは2社を公表
ホンダのHPでは、部品製造関連会社を一覧で掲載しています。確認すると「本田金属技術(株)」「田中精密工業(株)」がエンジン周りの部品の生産を担当しています。
スズキは複数社を公表
スズキの場合、「(株)スズキ部品製造」「(株)スニック」「(株)スズキ部品秋田」「(株)スズキ部品富山」 など製造会社がいくつかありました。
コンロッドは折れる場合もある
コンロッドは折れる場合もあります。
例えば、ウォーターハンマーなどがその一例です。ウォーターハンマーとは、水撃とも呼ばれる現象を指し、吸入空気と一緒に水が混ざることで発生します。
空気であればピストンで圧縮できますが、水は圧縮できません。結果的に、ピストンは上昇できないけど、クランクシャフトは回転を続けるため、コンロッドへ多大な圧力がかかりコンロッドが折れてしまいます。
その他にも燃調不良や、焼け付きなどによって、ピストンが正常に動けない状態になれば折れたり曲がったりします。
一昔前では、タイミングベルトを採用していたので、タイミングベルト切れでもクランクシャフトが折れる原因になっていました。
このように、何かしらのトラブルによってクランクシャフトが折れることがあります。滅多にないトラブルではあるものの、車のメンテナンス不足や予期せぬ事態でエンジンやその周りのパーツが壊れてしまうのです。
コンロッドを自分で交換することはできるの?
コンロッドを自分で交換することはできますが、かなりの技術と設備が必要です。交換する場合、エンジンを車から外さなければなりません。
また、コンロッドはエンジン内のパーツなので、エンジンを分解する必要があります。つまり、エンジンの構造をよく理解しておかなければ、分解できたとしても再度、組み上げられないということです。
加えて、エンジン内部のボルトやナットには、適切な締め付けトルクが存在します。締め付けトルクを間違えると、ねじ切ってしまったり、走行中に緩みトラブルの原因になりかねません。
そのため、この記事では自分でコンロッドの交換をすることはおすすめしませんし、もしどうしても自分で交換したいのであれば、整備できる施設を整え、整備解説書を見ながら作業するようにしましょう。
間違っても自宅の駐車場でするようなことはしないでください。
コンロッドの交換に失敗してしまうと、エンジンが壊れますし、最悪の場合、パーツが足りずエンジンが組み上がらない可能性も出てきます。
そして、慣れていないのであれば作業に何日もかかります。これらの情報を踏まえた上で、自分で行うのか整備工場に頼むのかを判断しましょう。
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- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...