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1ナンバーのメリット・デメリットとは?税金や車検費用、維持費や高速料金などを比較
目次
1ナンバーとは?
普通貨物自動車を表す分類番号
1ナンバーとは、分類番号に1番あるいは1ではじまる2/3桁の数字が与えられているナンバープレートや自動車のことです。
分類番号1番に該当する、いわゆる「1ナンバー車」は普通車の貨物自動車ですから、自動車を運んでいる大型トレーラーや中型のトラックなどをイメージすると良いでしょう。
1ナンバーの車両にも種類がある
1ナンバーの車両はより細かく分類されます。普通免許で運転できるものから、中型免許・大型免許を取得していなければならないものも。高速道路の料金表を見れば、1ナンバー車でも車両の仕様(車両総重量や最大積載量など)によって高速料金が異なることがわかります。
3ナンバーと比較した1ナンバーのメリット・デメリット
1ナンバーのメリット
一部税金が安くなる
1ナンバー車両の最大のメリットは維持費が3ナンバー車両よりも安いことです。維持費が安くなる理由は税金にあります。
1ナンバー車は3ナンバー車よりも自動車税や重量税が安くなっているのです。本来なら3ナンバーの車両を1ナンバーで登録した場合には、その恩恵を体感することができます。記事後半にて具体的な税額の違いに言及しています。
1ナンバーのデメリット
車検の有効期間が比較的短い
車種によっては初回車検が初年度登録から2年後ですが、それ以降の車検証の有効期間は1年です。つまり続けてその自動車を利用するためには、毎年車検を通す必要があることになります。ちなみに1ナンバー車で初回車検が初回登録から2年後になるのは、車両総重量8トン未満の車両です。
登録自動車ではありませんが貨物軽自動車というものもあります。貨物軽自動車の車検は、初年度登録後が2年後で継続車検は2年ごとです。3ナンバー車両の車検は初回3年・継続2年となっています。
1ナンバー車の初回車検証有効期間が車両総重量8トンを区切りに1年と2年に分けられていることから、車両の重さが決定打になることは明らかです。
車検では制動力の検査がありますし、重量のある自動車であればあるほどブレーキは酷使され、さらには貨物車ですから走行距離も短期間で伸びる可能性が高いです。これらのことから、毎年車検に通す制度とすることで整備不良によるトラブルや事故を未然に防ぐということでしょう。
高速道路料金が高くなる
ネクスコ中日本の料金表を見ると、軽・自動二輪 / 普通車 / 中型車 / 大型車 / 特大車と5つの車両区分が用意されています。同じ区間を走るとなれば軽・自動二輪が最も安く、特大車が最も安いです。3ナンバー車は普通車に、1ナンバー車は中型車・大型車・特大車のいずれかに該当しますから、1ナンバー車両で高速道路料金を利用すれば3ナンバー車両よりも高い料金が発生します。
例えば伊勢湾岸自動車道・湾岸長島ICから東名自動車道・浜松西ICまでの通常料金(平日で割引無し)を同ルートで上記車両区分ごとにまとめると、次のようになっています。
軽・自動二輪車 | 2,920円 |
普通車 | 3,560円 |
中型車 | 4,260円 |
大型車 | 5,770円 |
特大車 | 9,590円 |
任意保険が3ナンバーよりも高い
1ナンバー車両の場合、任意自動車保険料が3ナンバー車両と比べて高いです。しかし、それを踏まえても全体の費用を考えれば3ナンバーよりも安くなる可能性は高いので、あまり心配しなくて良いでしょう。
3ナンバー車を1ナンバー車化するとどうなる?
3ナンバーの車両を1ナンバーに構造変更すると、自家用乗用車から貨物兼用車になるケースが多いです。これを理解することで、同じ車種であれば3ナンバーよりも1ナンバーにするほうが維持費を安くできる理由の全体像が見えてきます。
貨物兼用車とは最大乗車定員が4名以上となっている貨物自動車のことです。私たちが日常的に乗っている3ナンバー車両は自家用乗用車ですから、根本的に区分が異なります。
8人乗りの3ナンバー車(自家用乗用車)の後部座席を取り外し、5人乗りの状態で1ナンバー車にするのが事例の1つで、この場合、乗車定員5名の貨物自動車は貨物兼用車となるのです。
構造変更前後の車検証を見比べますと、用途が「乗用」から「貨物」となっている他、1ナンバーである旨が記載され、乗車定員数も変更されています。3列目シートを取り除く等によって車両重量・最大積載量が変化します。
3ナンバー車を1ナンバー車化すると税金はどうなる?
3ナンバー車から1ナンバー車になったとしても、自動車税・重量税・自賠責保険料の支払いを課されるのは同じです。ただし、先に紹介したように、自動車区分が変更されたことによって税額が大きく変化します。
従来通り自動車保険・重量税・自賠責保険料がかかる
一通り税金について解説しますと、エンジン総排気量に応じて課されるのが自動車税で、車両重量や積載量によるものが重量税、そして月単位で強制的に加入させられるのが自動車保険が自賠責保険料です(あと印紙代を掛かります)。
3ナンバーから1ナンバーへの構造変更では自動車税と重量税が比べて安くなり、反対に自賠責保険料は高くなるのが一般的です。自賠責保険の加入月は次回継続車検まで継続されるようにするのが基本となっています。
トヨタの100系ランドクルーザーの8人乗り仕様を1ナンバーにすると想定して、それぞれの税金がどう変化するか見てみましょう。
自動車税を比較
トヨタの100系ランドクルーザーは総排気量4.7L・V型8気筒エンジンが搭載されていましたから、自家乗用車の税率区分に照らし合わせると自動車税(年額)は88,000円です。しかし13年超過で重課20%が掛かりますから、合計料金105,600円になります。
貨物兼用車の場合、総排気量1.5L超・最大積載量1トン未満の区分となるので自動車税は16,000円で、貨物車の13年超過車には重課10%がかかるので、実際に支払う自動車税は17,600円となります。3ナンバー車との差額は88,000円(自家乗用車の自動車税分)です。
3ナンバーの場合 | 105,600円 |
1ナンバー化した場合 | 17,600円 |
重量税の比較
構造変更前の状態の100系ランドクルーザーの車両重量は2.5トンを下回っているので、重課分を加算して57,000円の重量税が掛かることになります。
後部座席の取り外し等によって車両総重量が2.5トンを切ったと仮定すると、貨物兼用車で登録した場合の自動車重量税は12,300円です。料金の差は実に44,700円となります。
3ナンバーの場合 | 57,000円 |
1ナンバー化した場合 | 12,300円 |
自賠責保険料の比較
自賠責保険を24ヶ月期間で契約する場合、自家用乗用自動車で20,100円、普通貨物自動車(自家用・最大積載量2トン以下)で33,840円です。
普通貨物自動車の自賠責保険料を12ヶ月分で契約した場合には料金19,120円が発生しますから、車検の都度に12ヶ月の自賠責保険に契約するか、それとも先を見越して24ヶ月契約にするかで5,000円程度費用の節約ができます。
3ナンバーの場合 | 20,100円 |
1ナンバー化した場合 | 33,840円 |
総合的に見れば1ナンバーはお得
– | 3ナンバーの場合 | 1ナンバーの場合 |
自動車税(2年分) | 211,200円 | 35,200円 |
重量税 | 57,000円 | 12,300円 |
自賠責保険(24ヶ月) | 20,100円 | 33,840円 |
合計金額 | 288,300円 | 93,640円 |
上記の税金に関する情報をまとめて、1ナンバー・3ナンバーの100系ランドクルーザーの車検費用を2年条件で比較してみました。1ナンバー車が税制面で恵まれていることは明らかです。乗り続けるほど1ナンバー化車両の費用面でのメリットが大きくなります。
1ナンバー車になると毎年車検があるのでその手間や費用(特に業者に依頼した場合)は発生しますが、メンテナンスの手間が増えることで安心感はありますし、まめに整備することで1回の車検で大きなコストがかかるのを防ぐこともできるでしょう。
3ナンバー車を1ナンバー車として登録するには?
ここまでの説明で既に登場していますが、3ナンバー車を1ナンバー車として登録するには、構造変更申請を運輸局(陸運局)へ届け出る必要があります。
貨物自動車に定められている条件に合うように車両が作られていれば、晴れて1ナンバー車両になるというわけです。条件を満たすよう自分自身で車両を仕上げても良いですし、実績のある業者に依頼して構造変更手続き・車両作りをやってもらうのも良いでしょう。
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