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人身事故での違反点数や罰金について|刑事・民事・行政処分&免停や免許取り消しの対象は?
目次
特定違反行為と見なされるとさらに重い処罰が
人身事故にも種類があり、一般違反行為または特定違反行為のどちらかに分類されます。これは、2009年(平成21年)6月1日に行われた道路交通法改正によって定められた仕組みです。
ひき逃げや飲酒運転などの悪質かつ危険極まりない行為が要因となった人身事故は、特定違反行為に該当します。特定違反行為に該当しない人身事故は全て、一般違反行為として処理されます。
【飲酒運転】特定違反行為の飲酒運転と一般違反行為の違い
これらの例としてわかりやすいものが飲酒運転です。飲酒運転は、特定違反行為にあたる酒酔い運転、そして一般違反行為に該当する酒気帯び運転という2つの法律違反で構成されています。
酒気帯び運転は呼気中アルコール濃度によって判断されます。呼気中アルコール濃度が0.15mg/l以上・0.25mg/l未満の場合は基礎点数13点に加えて90日間の免許停止、0.25mg/l以上の場合には基礎点数25点だけでなく欠格期間2年付きの免許取消しとなります(どちらも前歴や累積点がない場合)。
これに対して、酒酔い運転には酒気帯び運転のような数値化された条件はありません。「アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない状態」が酒酔い運転にあたると定義されています。酒酔い運転の基礎点数は35点で、圧倒的に酒気帯び運転よりも罪が重たいです。
例えば行政処分前歴の無い人が酒酔い運転で人身事故を起こした場合、この基礎点数35点に人身事故による付加点数が加われば最低でも累積39点となります。この場合、免許取消と欠格期間3年の行政処分が科されるのです。
同じく行政処分前歴の無い人が0.25mg/l以上の酒気帯び運転で同じ事故を起こしたら、最低29点の累積となります。この場合も免許取消ですが、欠格期間は2年です。
同じ人身事故でも、特定違反行為の事故では一般違反行為の場合よりも厳しい処分が科されることがわかります。
なお、上記の欠格期間は、免許の取り消しとなった運転者が一定期間中に再度免許の拒否や取り消し、または6ヶ月を超える運転禁止処分を受けた場合に延長されます。
飲酒運転について詳しくはこちらで解説しています
【合わせて知っておきたい】人身事故における任意保険の役割
人身事故で使われるのは対人補償
多くのユーザーが加入している自動車保険(任意保険)の補償区分は、対人・対物・傷害・車両の4項目で構成されています。このうち、人身事故や物損事故で使われる補償が対人補償です。
人身事故で死亡・負傷した遺族・相手への治療費・慰謝料を補償することが対人補償の役割となっています。人身事故の際に破損した相手側の車両の補償には、物損事故における損害賠償を支払うための対物補償が使用される仕組みです。
対人補償を利用した場合、次の自動車保険更新の際には等級が3つ下がります。任意保険を使わない、あるいは人身事故を起こした際に任意保険に加入していない場合には自賠責保険で支払い、自賠責で補償される上限金額以上は全額実費負担となります。
型式別料率クラスが車両そのものの保険料を決定する
任意保険の保険料は、まず型式別料率クラスによって決定されます。これは車両型式ごとに、上記4つの補償区分をクラスと呼ばれる数値で区別することです。自家用普通乗用車と自家用小型乗用車では1クラスから17クラス、自家用軽四輪乗用車では1~3クラスとなっています。
保険料の側面から見ると、クラスの数字が大きい車両は、小さい車両よりも保険料が高いです。過去にそれだけ多くの補償実績があるということになります。任意保険の費用は加入者の年齢によって大きく変化しますが、料率クラスは車両そのものに決められているため一定です。
損害保険料率算出機構のウェブサイトの「型式別料率クラス検索」を使用すると、入力した型式の車両の料率クラスの参考値を確認できます。現在所有している車両とこれから乗りたい車両の料率クラスを比較するのにおすすめです。
料率クラスは毎年更新されるので、2020年と2021年で料率クラスが異なる可能性は十分あります。また、総じて、巷でよく見かける車種であればあるほど料率クラスが高い傾向です。
なお車検証には必ず車両型式が記載されています。自分で確認したことのない方は、一度目を通してみましょう。
人身事故を起こした時の対処方法
交通事故の当事者となった時に最も大切なことは、怪我人を救護すること、二次災害を防ぐこと、警察へ事故の詳細を報告することです。
負傷者の救護や二次被害を防ぐための対応を行う
道路交通法第72条(交通事故の場合の措置)を順守することが基本となります。この法律では、その交通事故の当事者である運転者等(運転手ならびその他乗務員)が負傷者の救護や二次被害を防ぐための対応などを行うことは義務であると定めています。「運転者等」となっているのは、当該事故の運転手が死亡あるいは負傷によって対応できない場合があるからです。
警察に事故に関する報告を行う
当該の交通事故が発生した後、その運転手は警察官へ事故に関する報告をしなければなりません。これも第72条に記述されています。報告しなければならない内容は次のとおりです。
- 当該交通事故の日時・場所
- 死傷者の数 / 負傷者の負傷の程度
- 損壊させた物やその損壊の程度
- 当該交通事故に係る車両の積載物
- 運転者等が講じた措置
これらを報告するタイミングは、事故現場に警察官が到着していればその時です。そうでなければ当該事故発生場所の最寄りの警察署(派出所又は駐在所も含まれる)へ向かいましょう。
交通事故証明書発行のためにも報告は必須
交通事故の事実を証明する書類として交通事故証明書があります。事故が発生したことが事実であると公的に証明することによって、任意保険の補償を受けることができます。
例えば任意保険の加入にあたって保険代理店を利用する人が多いと思いますが、そういった人が実際に交通事故の当事者となった場合には保険代理店が必要な処理を行ってくれることがほとんどで、加入者自らが交通事故証明書申請をすることは滅多になく、実際には担当者と話し合いながら進めることになります。
被害者と加害者のどちらにとっても、人身事故は百害あって一利無しです。刑事・民事・行政処分と最大3つの処分が科されるだけでなく、免許を失ったり、懲役となる可能性もあります。人身事故によって失われるものを理解することが、自然と日頃の運転運転につながります。
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