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ストレート式のAT車のシフトレバー
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コラムシフトとは?なくなった理由や当時の使い方を紹介

コラムシフトの車、すっかり絶滅した?

ストレート式のAT車のシフトレバー
©あんみつ姫/stock.adobe.com

現在の車のシフトレバーは、膝のすぐ横にレバーが配置されている「フロアシフト」が主流です。しかしかつては「コラムシフト」を採用している車も多く見られました。

コラムシフトとは、ウインカーやワイパーの操作レバーと同じように、ハンドルの付け根部分(ステアリングシャフト)にシフトレバーが配置されているものです。

最近はコラムシフトを採用する車が少なくなってきました。筆者が確認したところ、2023年時点でコラムシフトを採用した車(新車)はほとんどありませんでした。

なぜ、コラムシフトが少なくなってきているのでしょうか。

「扱いにくさ」がデメリット?メーカーの工夫も

コラムシフトを採用したメルセデス・ベンツ「GLC 220d」
コラムシフトを採用したメルセデス・ベンツ「GLC 220d」

1990年代以降、コラムシフトはミニバンやコンパクトカーなどに多く採用されてきました。

コラムシフトのメリットには、ハンドルとの距離が近く、素早い操作が可能である、運転席と助手席の空間(座面・足元)が広くなる、フロントシートをソファシートにできることなどがあります。

一方でデメリットには、いま何速に入っているのかギアのポジションを確認しにくい、ウインカーやワイパーを操作する際、手が当たるなど操作しにくいことが挙げられます。

特に「扱いにくさ」が挙げられるコラムシフトは、その欠点を解消したものも登場しています。

2016年頃にメルセデス・ベンツから登場した車種に、指先だけで操作できるコラムシフトを採用したものがありました。筆者は、コラムシフトを採用したAクラスに乗車したことがあります。

はじめは操作に戸惑いましたが、レバーを下に操作するとDに、上に操作するとN、Pに入ります。慣れればウインカーを出すようにスムーズに操作することができました。

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MT車のコラムシフトは操作ミスが起こりやすい

コラムシフトを操作する人

かつてコラムシフトを採用した教習車で技能教習を行ったことがある現役教習指導員に話を聞きました。

「シフトレバーの位置については、操作に対する慣れが大きいため、必ずしもフロアシフトの方が操作しやすいとは言い切れません。しかし、教習所で実施したアンケートで多かったのは『フロアシフトの方がいい』という声でした。

フロアシフトの方がいい理由を聞くと、『ギアを見ても何速に入っているのかわからない』『教本の解説(基本はフロアシフトの操作方法を解説)とは異なっていてわかりにくい』とのこと。

ギアのポジションを確認しにくいというデメリットについても、AT車であればメーターのインジケーターに表示されるため、慣れればコラムシフトでも問題なく確認できるようになります。

しかし、シフトレバーそのものを目視してもフロアシフトのように何速になっているかはわかりません。

さらに経験上、MT車のコラムシフトは操作ミスが起こりやすいことも確かです。とある教習生は『頻繁にギア操作を行うことに加えて、ウインカーやワイパーの操作レバーに手が当たって焦ってしまう。』と話していました。

また、コラムシフトはメーカーや車種によって力加減が異なります。MT車では2速にしたつもりが4速に入ってしまったり、AT車でもPに入れたつもりがRになってしまうこともありました。」

このように、コラムシフトは慣れるまでに、かなりの時間を要する可能性があるようです。

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コラムシフトが減少している理由は?

MT車のシフトノブ
©chihana/stock.adobe.com

パドルシフトの採用、オーディオスイッチの搭載など、ステアリングにはさまざまな操作機器が取り付けられるようになりました。

筆者の所有する車にもパドルシフトや、オートクルーズコントロールのスイッチ、オーディオのボリューム調整スイッチ、受話ボタンなどが取り付けられています。

ハンドルまわりのレバーやスイッチ類が増えたことで、操作がより煩雑になってきたとも感じます。それらの操作時に干渉しないためにも、コラムシフトは徐々に減少していき、現在ではフロアシフトが主流になっています。

しかし、コラムシフト採用車が減少している理由は、使いにくさだけではないようです。

「電子化が進んだことも、コラムシフトの減少につながっています」と話すのは、都内の国産自動車メーカーに勤務する販売員です。

「車の電子化によって、これまでのようにレバーを用いて物理的にギアを変速させる必要はなくなりました。スイッチの切り替えだけで、変速可能です。

電子化によって、またAT車の普及によって、シフトレバーを頻繁に操作することは極端に減ったと言っていいでしょう。

設置場所が自由になったからこそ、シフトレバーはより小さく、操作しやすい場所に配置されるようになりました。AT車であれば、頻繁にシフトレバーを操作することもないので、直感的な操作を求められなくなったともいえるでしょう。」

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パネルシフト採用車種が急増したことも要因のひとつ

AT車のパネルシフト

しかし、フロアシフトでは運転席と助手席をつなげたソファシートのようなレイアウトは不可能です。

昨今は、軽自動車であっても広い車内を有することが大前提ともなっており、ゆったりした前席はユーザーにとっても大きな魅力。そこで登場したのが「パネルシフト」です。

パネルシフトは、インパネ部分にシフトレバーを配置したタイプです。これにより、フロアシフトよりも座席を広く確保でき、エアコンを操作するかのようにシフトチェンジが可能になりました。

パネルシフトは、コラムシフト同様に座席の広さを確保できます。さらに降車しなくても後席へ移動しやすい座席レイアウトも可能です。

現在、ミニバンや軽自動車(軽ハイトワゴン)など、室内空間を重視した車種にパネルシフトが多く採用されています。当社で扱っている車種の多くは(セダンやスポーツカーを除いて)パネルシフトを採用しています。」

シフトレバーは、これまでの「ギアを変えるためのレバー」から「電子的なスイッチ」、いわゆるスイッチシフトに置き換わってきています。簡単に押せてしまうスイッチだからこそ、押しやすいか、誤操作はしにくいか、こうした点を踏まえて車を選ぶ時代になっているのです。

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執筆者プロフィール
室井大和
室井大和
1982年生まれ。ライター歴6年、自動車業界9年。合わせて約15年。雑誌編集、記者、指定自動車教習所員資格保有。愛車はスズキスイフトスポーツ(33型)、BMW323i(E90型)、ジムニー(JB23型)。車はセダンではじ...

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