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今さら聞けないボンネットの開け方&閉め方|意味と役割についても
ボンネットの開け方や閉め方を誤ると、ボンネットを破損させてしまうことがあります。とくに近年の車のボンネットは、指の力だけで簡単に凹んでしまうほど柔らかく、指定された開閉方法を守らなければトラブルになりかねません。ボンネットの正しい開閉方法や扱う際の注意点に加え、ボンネットの役割や正しい名称などを解説します。
ボンネットの役割
車の前端を覆うボンネットは、エンジンルームを風雨などから保護するための蓋としての機能のみならず、低減やエンジンノイズの遮音やエンジンルーム内の保温、衝突した際の緩衝材としての役割が持たされています。
「ボンネット」の呼称はイギリス英語であり、アメリカ英語では「エンジンフード」と呼ばれます。日本では、ボンネットと呼ばれるのが一般的です。
エンジンがないのにボンネットがある車も
モーターで走行する電気自動車(EV)や、エンジンが車体中央に搭載されたミッドシップレイアウト(MR)車、後輪よりも後ろに搭載されたリアエンジン(RR)車のフロント部にはエンジンがありません。
しかし、これらの車にはフロント部にエンジンが搭載されていないにもかかわらず車体前方にはボンネットが設けられています。
ボンネットはエンジンフードと同義であるものの、機械に備わる覆い全般を指す言葉であるため、厳密にはエンジンの有無を問いません。そのためMRやRR、EVに備わるフロントベイの蓋を指してエンジンフードと呼ぶのは間違いですが、ボンネットと呼ぶのは間違いではありません。
これらの車のボンネット内にはエンジンはなくとも、ラジエターやブレーキ・パワステ機構、補機バッテリーや電源制御装置などが収められるとともに、衝突時の衝撃を吸収するクラッシャブルゾーンとして機能します。日本では車種や形状を問わず、ボンネット=フロントフードがおおよその共通認識です。
ボンネットの開け方
一般的な車ではボンネットを開けるために、3つのステップを踏む必要があります。
STEP1.車内のボンネットオープナーを操作する
運転席足元などにあるボンネットオープンレバーを引くと、一次ロックが解除されボンネットが持ち上がり半開きになります。ただし、この状態ではフックによる2次ロックがかかっているためボンネットは開放できません。
STEP2.キャッチレバーを操作しながらボンネットを持ち上げる
車の前方に立ち、半開きになったボンネット前端の隙間に手を入れてボンネットキャッチ部レバーを押し上げる、もしくは左右に動かすとフックが外れます。レバーを操作しながら持ち上げることでボンネットを開放することができます。キャッチレバーの位置は、おもにボンネットの前端中央部にあります。
STEP3.ステーでボンネットを保持する
片手でボンネットを保持しながら、エンジンルーム内の前方もしくは脇にあるボンネットステーをクランプから外して立てます。ステーの先端を指定されてた穴に差し込み、つっかえ棒としてボンネットを支えることでボンネットを開けたままにすることができます。
ボンネットを開ける際の注意点
ワイパーを起こした状態でボンネットを開けない
ワイパーを起こした状態でボンネットを開けると、干渉してワイパーアームが破損する恐れがあります。またボンネット側にもキズなどが付くため、必ずワイパーが寝ている状態であることを確認してからボンネットを開けてください。
ボンネットダンパー式はステーがない
一部の車はガスダンパーでボンネットを支える構造をしており、このような車にはボンネットステーが存在しません。ボンネットダンパー式の場合は、ほとんど力を入れずともボンネットが持ち上げられるメリットがあります。
ただし、ガスダンパーが劣化するとボンネットの重量を支えきれずに保持できなくなるため、自重で下がるようになったらダンパーの交換が必要になります。
風が強い日はなるべくボンネットを開けない
風が強い日は、風圧によってステーが外れてしまう危険があります。また、ボンネットダンパー式の車であっても風向きによっては風圧でボンネットが意図せず閉まってしまう恐れがあります。
万が一作業中にボンネットが下がるとケガの恐れがあるため、風が強い日はなるべくボンネットを開ける作業は避けるのが賢明です。もしくはガレージなど風を避けられる建物内で作業をしましょう。
ダブルキャッチ(ダブルロック)ボンネットに注意
車体剛性や衝突安全性向上のために、複数のボンネットキャッチが設けられている車があります。ダブルキャッチもしくはダブルロックと呼ばれるこのような車の場合は、左右両側のボンネットキャッチレバーを同時に操作しながら持ち上げる必要があります。
日産 R35型GT-RやZ34型フェアレディZ、レクサスの一部に加え、一部の輸入車などがダブルキャッチを採用しています。
車種によって開け方が異なる場合も
車種によってはボンネットの開け方が異なる場合があります。車内から操作し、外からボンネットを持ち上げる行程はほとんど車も同じであるものの、開閉レバーの正確な位置は車によって異なります。
また、BMWはボンネットキャッチレバーがなく、車内の開閉レバーを2回操作して開ける必要があります。テスラは車内に開閉レバーが存在せず、タッチパネル操作が必要です。古いアメ車は開閉レバーが車外にあります。
このように特殊な操作が必要な車種もあるため、車を乗り換えた際は取扱説明書でボンネットの開け方を確認しておきましょう。
ボンネットの閉め方
ボンネットの閉め方には、落下させる方法と手で押す方法の2種類があります。車によってどちらかの方法が指定されている場合があるため、事前に正しい方法を確認をしておきましょう。
落下させて閉める車の場合は、ボンネットを20〜30cmの高さまで持ち上げ、そこから落とすようにボンネットを閉めます。
一方、ボンネットダンパー付きの車や、アルミや樹脂などの軽量ボンネットでは、ボンネットの自重だけでは確実なロックができない場合があるため、一般的に手で押し付ける方法が用いられます。
ボンネットを閉じる前にはエンジンルームに工具などを置き忘れていないことを確認し、ステーがある車はクランプにしっかりと納めてからボンネットを降ろします。指を挟まないように気をつけ、一度閉めたら軽い力でボンネットを持ち上げて、確実に締まっていることを確認しましょう。
近年の車は指で押しただけでボンネットが凹んでしまう
過度な力をかけたり、押す場所を間違えるとボンネットを破損させてしまう場合があります。とくに近年の車のボンネットは歩行者保護の観点から鋼板が薄く、手で押し閉めると簡単に凹んでしまうため、落とすように閉める方法が推奨されています。
手で押し付けて閉めるよう指示されている車でも、ボンネットキャッチの裏側部分や、フレームが通った丈夫な部分に手をかけて、適度な力加減で閉めるようにしましょう。いずれの方法であっても、ボンネットが確実にロックされていることが肝心です。
ボンネットを開けっ放しで走行するとどうなる?
ボンネットを半ロックや開けっ放しで走行すると、走行中にボンネットが風圧で開き、前方視界が遮られる恐れがあるため大変危険です。
低速走行ではそれほど問題にはならないものの、高速走行をすると高まる風圧によって確実にボンネットが浮き上がります。強度に劣る軽量なボンネットでは、速度によってはちぎれ飛び、人や家屋、車にぶつかって損害賠償を求められることもあります。
また、雨天時には半開きボンネットから雨が入り込みエンジンルームを汚します。エンジン周りに耐水性は備わっているものの、ボンネットの開けっ放しや半開きはエンジン故障の原因にもなりかねません。
ボンネットの開けっ放し走行の罰則は?
ドアの半ロックの場合は「転落等防止措置義務違反」で罰せられますが、ボンネットの場合は罰則規定がないため違反には問われません。しかし、場合によっては「安全運転義務違反」に該当し、違反点数2点・普通車9,000円の罰金が課せられることがあります。
エンジン周りのメンテナンス後はもちろん、給油レバーと間違えてボンネットを開けてしまうこともあり、そのまま気づかず走行をすると重篤な交通事故に発展する恐れがあります。ボンネットは確実にロックされていることを確認しましょう。
冬場はボンネットに猫が入り込む場合も
暖かい場所や狭い場所を好む傾向にある猫は、駐車中の車のボンネットの上に乗ってしまうことがあります。さらに体が小さい猫だとエンジンルームにまで入り込んでしまうことも珍しくありません。
また、しばらく使われていない車は、鳥やネズミがエンジンルーム内に巣をつくってしまうこともあります。エンジンルームに猫などの動物が入ったままエンジンをかけてしまうと、パニック状態に陥らせたり、駆動ベルトに巻き込んでしまう恐れがあります。
とくに寒い冬場は車に乗り込む前に、いるかもしれない猫や他の動物に対して、ボンネットをバンバンと叩き、これから運転することを知らせてあげましょう。この行為は「猫バンバン」と呼ばれています。
ボンネットの塗装や修理はできる?
ボンネット修理は専門業者に依頼しよう
稀にボンネット周りも故障します。ヒンジやキャッチロックの動きが渋くなったり、開閉ワイヤーの切断やボンネットダンパーの劣化など、開かない・閉まらないなどのトラブルが起こります。
原因が明確である場合は自分で修理できる場合が多いものの、重要箇所であるため確実な修理が求められます。ボンネットの開閉トラブルが起こった場合は、速やかに専門業者に修理依頼しましょう。
DIYでボンネット塗装する際は練習を積むと安心
車の前方にあるボンネットは、飛び石などでキズが付きやすい箇所です。また、紫外線や雨風、鳥の排泄物などに加え、エンジンが発する熱による塗装の劣化も起こります。
ボンネットは車のなかでも非常に目立つ箇所であるため、可能な限りキレイに仕上げたい場所。DIYで塗装する際は、いきなり本番を迎えるのではなく、何度か練習を行ってから取り掛かるのがおすすめです。
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- 執筆者プロフィール
- 伊藤友春
- 1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...