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「SUVなのに”WAGON”」「トヨタは作ってない」ハイラックスサーフの初代モデルを振り返る【推し車】
目次
ピックアップベースSUVのヒット作、ハイラックスサーフ
SUVはザックリ分ければ3種類あり、1つ目は元祖クロカンたるジープや、その同カテゴリー車から発展したクロカン(クロスカントリー)車、2つ目はピックアップトラックなどのフルキャブ版、3つ目が乗用車と同じフルモノコックのクロスオーバーSUVです。
ランドクルーザープラドへ統合される形で、今は日本国内で販売していないハイラックスサーフは、ハイラックスのピックアップトラック版をフルキャブ化した2つ目のパターンで、1980~90年代のRVブームでは日産 テラノともども人気モデルでした。
ダブルキャブピックアップトラック版の「ハイラックス」は日本国内でも販売を再開しているものの、海外では今も5代目が「4ランナー」の名で販売中のハイラックスサーフはよほど需要がない(RAV4でコト足りる)と思われているのか、復活しそうな噂もありません。
一体どんなクルマだったのか、原点たる初代モデルから振り返ります。
- 最新「ハイラックスサーフ」中古車情報
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本日の在庫数 486台 平均価格 221万円 支払総額 98~700万円
初代のキーワードは「アメリカ」
「これこそ、待ちに待ったアメリカだ」、初代ハイラックスが1984年5月に発売当時のカタログを開くと、このキャッチコピーを筆頭に「PURE AMERICAN SPIRIT」「AMERIKAN OFFROAD MACHINE」と、ひたすら「アメリカ」を強調してきます。
そもそも4WDピックアップのワゴン化、現在でいうSUVへの仕立て直しはアメリカ西海岸で流行っていた文化で、トヨタもコーチビルダー(架装メーカー)へハイラックスの車体を提供しているうち、自社開発でも商売になると考えたようで、まずは1983年に北米で発売。
翌年には日本でも発売しますが、冒頭のように「これぞアメリカで流行している最先端だ!」という自信に溢れており、実際に日本でも1970年代末から、商用車やオフローダーをカスタムしてオシャレに乗るRVブームが始まっていたので、うまく時代に乗りました。
RVブーム全盛期で花開く、高い走破性と豪華内外装の融合
発売当時のプレスリリースでも、レジャーユースを背景に需要が拡大傾向の4WDへ、さらに多用途性や快適性を求める市場の要請にハイラックス4WDベースで応え、「広い居住空間と、荷室スペースを確保したレジャー志向の多目的四輪駆動車」と、意図が明確です。
ハイラックスはもともと、小型ボンネットトラックの設計・開発に手慣れた日野自動車が、最大のライバル、日産 ダットサントラックへの対抗馬をトヨタに任されたもので、3代目(1978年)で走破性も高い評価を得たスポーティな4WDオフローダーピックアップも登場。
4代目をベースに豪華内外装を与えたのが初代ハイラックスサーフで、アメリカ西海岸の現地コーチビルダーが作った伝統もそのままに、代を重ね(海外では)現在も販売されるワゴン型SUVの始祖となったのです。
現在のRAV4などと逆のシティオフローダー風クロカンだった
ルーフまで回り込むリヤクォーターウィンドウや、運転席からも操作できるバックドアパワーウィンドウを持つFRP製の後部キャビンに安っぽさはなく、2代目から追加される5ドアやメタルトップはまだありません。
ファブリック表皮のシートや、カーペット製リヤデッキマットなど、現在の撥水シートを採用したアウトドア系SUVと比べれば、レジャーより普段の満足感が優先。
カタログでも、「いつも爽やかなアメリカの風が吹き抜ける」と、車内での非現実感をアピール、後の日産パイクカー「パオ」や「ラシーン」との共通項や、現在のクロスオーバーSUVへ続くシティオフローダー的要素も感じさせます。
ただし初期型の足回りはハイラックスそのもので操縦性や快適性が良好とは言えず、フロントをダブルウィッシュボーン独立懸架へ変更、5ナンバー登録のワゴンや4速AT追加、走行中でも4WDのハイ/ロー切替を可能にするなど、改良を続けました。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...