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「最高のランエボは最新のランエボ」の始まり!WRCでも初優勝したマシン・三菱ランサーエボリューションII【推し車】
ランサーの新境地を開いた「エボ」、IIから本格始動
グループA時代のWRC(世界ラリー選手権)で、国産車としてはファミリアに続きフルタイム4WDターボを投入した三菱 ギャランVR-4は何度か勝利する活躍を見せたものの、競技ベース車としてはやや大きすぎ鈍重。
1992年のモデルチェンジではさらに大きく重くなるのが確定しており、ならばと同年、1クラス下のランサーへギャランVR-4のメカニズムを詰め込んだのがランサーエボリューションI(エボI)でした。
既に1.8リッターターボ4WD車が活躍していたランサーでしたから、グループAホモロゲーションを満たす2,500台は3日で完売、さらに2,500台を追加販売する大人気だったものの、WRCレベルの競技ベース車としてはあまりに急造で物足りません。
そこで三菱は改良を続け、1994年にデビューしたのがエボリューションII(エボII)でした…MOBY編集部がAIに聞いた「30~50代のクルマ好きが気になる名車」にノミネートされているランエボ各車から、今回はエボIIを紹介します。
「ランエボ」として初めて本格的に作り込んだエボII
エボIは確かにギャランVR-4より小型軽量ハイパワー、ギャランでは重すぎ、ランサー(1.8リッターターボ)では決め手に欠けると感じていたユーザーは狂喜して迎え入れたものの、あくまでWRCのグループAマシンとして最低限の要件を満たしたに過ぎません。
すなわち、市販車ベースで大改造を許されないグループAであるがゆえ、最初から2リッターDOHCターボの4G63を詰め込み、ベースのランサーRS/GSRよりローギアードな最終減速比とクロスレシオ化された5速ミッションで操り、剛性の高いボディを使用。
あとはグループAで許された改造でどうにか走ろうというわけで、まずは実績作りと、実戦を通した改良のベースにしようという、未成熟のマシンでした。
その通りに実戦からのフィードバックを施した「エボリューションII」が登場した1994年1月、まだWRCで未勝利だった「ランエボ」は、ようやく本格的なスタートラインに立ったと言ってよいでしょう。
「最高のランエボは最新のランエボ」の始まり
見た目こそエボIから極端に変わっていないエボIIですが、1.8リッターターボのランサーRS/GSRと変わらなかったホイールベースは10mm、トレッドは前15mm/後10mm拡大し、タイヤサイズは195/55R15から205/60R15となって、幅だけでなく大径化。
さらにクロスミッションも2速がローギアード化されて1~2速のクロスレシオ化がさらに進んで低速域からの加速性能がさらに向上、クラッチの改良で耐久性や操作性も向上するなど、ここまで最適化されると基準となる性能はエボIとは全く別物になりました。
さらにRSのみだった機械式LSDがGSRにも装着、4G63ターボも最大トルクはそのままに10馬力アップの260馬力となって、競技ユーザーのみならず一般ユーザーにも嬉しいさまざまな改良が施され、引き続き「作れば売れる」状態が続きます。
ついにWRCでも初優勝
スカイラインGT-Rすら上回るパワーウェイトレシオでこっ速いものの、曲がらない止まらないと急造モデルならではのジャジャ馬ぶりが目立ったエボIに対し、走る曲がる止まるがバランスよくまとまったエボIIは早速WRCでその真価を発揮。
第3戦サファリラリーで篠塚建次郎が総合2位に入るなど、参戦初年度の1994年こそ2位止まりだったものの上位で手応えを得て、1995年第2戦スウェディッシュラリーではついにランエボシリーズ初の総合優勝&1-2フィニッシュ!
三菱にとっても、1992年のアイボリーコーストラリー(コートジボワール)でギャランVR-4が総合優勝して以来の勝利で、エボIII以降の快進撃につなげていったのです。
ランサーへギャランVR-4のメカニズムを詰め込み、とにもかくにもWRCへと出撃したランサーエボリューションですが、ランサーとしてのデータをフィードバックしたエボIIからが、本格的なエボリューションモデルと言ってもよいでしょう。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...