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三菱ジープの歴史と現在の中古車価格は?維持費やカスタムについても【日本の名車】
目次
三菱ジープってどんな車?
三菱ジープとは、1953年から1998年まで販売されていた四輪駆動車です。ショート(前席/前+後席=2/4人乗り)、ミドル(3/5・3/7・2/6人乗り)、ロング(3/9・3/6・2/5・5/7人乗り)とサイズよって3つに分けられます。
とりわけ主流のショートサイズは、マニアのあいだでは「50系」と呼ばれ広く親しまれています。また、ミドルの「73式小型トラック」と呼ばれるタイプは陸上自衛隊の軍用車両として採用されました。
三菱ジープの販売元・三菱自動車工業ってどんな会社?
三菱自動車工業は戦前からの歴史を持つ日本の自動車メーカーのひとつです。
1870年、海運会社「九十九商会」としてスタートした同社は、社名変更等を経て1950年、過度経済力集中排除法により「東日本重工業」「中日本重工業」「西日本重工業」の3社に分割されました。
このとき自動車部門を割り当てられたのが「中日本重工業」。三菱ジープ誕生時の社名です。そして時を経ること14年、分割された3社は再び合併し「三菱重工業」となります。
その後1970年にクライスラーと合弁事業に関する契約を締結し、同じ年に自動車部門が「三菱自動車工業」として独立します。この資本提携は1993年まで続き、2000年からはダイムラー・クライスラー(現ダイムラー)と資本提携関係になりましたが、その年に三菱自動車工業の「リコール隠し」が発覚。自動車売り上げは激減し、2005年に提携は解消されました。
なお、クライスラーとは技術面における提携が2009年まで続けられています。
三菱自動車の歴史についてはこちら
三菱ジープ・46年間の歴史
軍用車両としての活躍
朝鮮戦争の始まった1950年、アメリカ政府は日本におけるジープのノックダウン生産(部品の状態で輸入し、販売先で組み立てる生産法)を決定しました。
このジープとは、もちろん軍用車両としてのジープです。補給基地である日本で組み立てることで、朝鮮半島への調達を安価に行う狙いがありました。
このときに提携先の自動車メーカーとして選ばれたのが中日本重工業、のちの三菱重工業です。そして、販売は倉敷フレイザーモータースに決定しました。ジープ製造元のウイリスオーバーランドが、日本で販売するために1949年に設立していた会社です。
ノックダウン生産とは?詳しくはこちら
三菱ジープの国産化
1953年、「三菱ジープ」の生産が開始されます。
左ハンドルからのスタートでしたが、間もなく通商産業省の指導を受け、右ハンドルに変更されます。そしてその年の7月、早くも三菱ジープに国産化の認可が下りました。
当時、ウイリスオーバーランドはジープの生産において9ヶ国の企業と提携関係にありましたが、製造と販売の権利を供与したのはこれが初めてでした。共産主義の広がりがソビエト連邦から中国へ、そして朝鮮半島をも呑み込むかという情勢の中、アメリカ政府からすれば日本という国は「防共」における砦でした。
三菱ジープの国産化には、そういった政治的思惑が介入しているのです。
三菱パジェロの登場とジープの終売
1954年、国産化はエンジンにもおよび(量産は1955年から)、その新しいエンジンは「日本製ハリケーン」の意味で「JH4型」と命名されました。
1973年、それまで、陸上自衛隊が採用していたショートホイールベースの「J54-A」に代わり、ミドルホイールベースの「J24A」73式小型トラックが登場します。
以降、陸上自衛隊では長くジープが使われていましたが、1996年、排ガス規制などの理由から、1982年に登場していた「三菱パジェロ」をベースとした小型トラックが採用されました。すでにジープとは異なる車種でしたが、「73式」の呼称は受け継がれます。
それからわずか2年後、1998年に生産終了が決定。46年間という長い年月をかけて鍛え抜かれてきた三菱ジープの歴史に幕を下ろしました。
【三菱ジープの歴代モデル】J55型 最終記念限定生産車
エンジン:直列4気筒OHCICターボ(ディーゼル)
最高出力:100ps
最大トルク:22.5kg・m
1998年に三菱ジープの生産終了が決定され、最終記念限定生産車として300台が限定生産されました。
車体はこれまでにない特別な色・ベージュを採用し、1~300までのナンバーを示すプラークが助手席側に付けられました。
【三菱ジープの歴代モデル】73式小型トラック
1973年~1997年の24年間、三菱自動車が自衛隊向けにライセンス生産を行っていた軍用車です。
市販型三菱ジープのミドルホイールベースモデルであるJ-20系が三菱パジェロの登場で生産中止になると、ショートホイールベースのJ-50系のみが供給されていました。
J-50系の生産も終了した現在、自衛隊での運用は最終形を残し新型(パジェロベースのトラック)に移行しています。
三菱ジープ・購入のすすめ
ひとくちに三菱ジープといってもその種類は多く、購入する際にどれを選べばいいのか迷うかもしれません。
まず、先にも触れたように、三菱ジープの主流は「50系」であるショートサイズのモデルです。三菱ジープではアウトドアを楽しむことが主な目的になると思います。1人、ないしは2人でそれをするのであれば、50系で充分でしょう。コンパクトな分、燃費もよくなります。
それより少し大きい20系は、ときどきゴルフ場などでも見かけます。荷物が多い、もしくは大きな荷物を運ぶ目的があるのであれば20系をおすすめします。
30系や40系といったロングサイズは、大人数で出かけるのに活躍します。
大きな車体の扱いに自信のある方は、このサイズに挑戦するのも良いかもしれません。
三菱ジープの燃費と中古車価格
□J44(MT/軽油)4WD:約9.73km/L(実燃費)
□J55(MT/軽油)4WDターボ:約11.62km/L(実燃費)
□J58(MT/レギュラー)4WD:約7.39km/L(実燃費)
三菱ジープのオーナーの燃費評価もあまり良くありませんが、元々燃費を重視している車両ではないため、妥当な評価ではないでしょうか?
三菱ジープは外装やエンジン性能といった男のロマン仕様になっています。そのため、購入する方も燃費をあまり意識していないようです。
三菱ジープの現在の中古車価格
- 最新「三菱 ジープ」中古車情報
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本日の在庫数 102台 平均価格 192万円 支払総額 67~422万円
三菱ジープの維持費と評価
【例】三菱ジープ KB-J55 4WD 最終生産記念車 2.7D 4MTの維持費
※2017年2月時点
□自動車税:58,600円/年(2,659cc)
□自動車重量税:37,800円/年(1,370kg)
□自賠責保険:17,270円/年
上記のほかに任意保険が30,000円から40,000円程度、それに加えて燃料費といったところでしょうか。自動車税や自動車重量税が高めなのは、初年度登録から18年以上経過しているためです。三菱ジープのほとんどは重課税の対象になるため、覚悟が必要です。
また、生産が終了している車種の購入に際して気になるのが修理費用です。三菱ジープもすでに希少な車種といえるため、ディーゼルの噴射ポンプやオルタネーターなど、修理が高額になる部品もあるようです。
三菱ジープの評価
良い評価としては、外観がかっこいい、また街中で同じ車と出会うことが少ないという点を挙げる声があります。一方、悪い評価としては、小回りがあまりきかないという点が挙げられています。
そして総合評価としては、パワーがあるためアウトドアにピッタリな車だというものが見られます。
三菱ジープのカスタム紹介
最後に、オーナーの思い思いの形にカスタムされた三菱ジープをいくつか紹介します。
イメージをがらりと変えるには、まず塗装がおすすめ。スプレー缶を使い、自分で行うこともできます。
また、三菱ジープのカスタムによく見られるのがランプガードの取り付け。これが付いているだけで、各段に軍用車らしくなります。
タイヤの交換も見逃せません。走りの変化だけでなく、かっこよさもタイヤの種類や大きさに大きく左右されますよ。
三菱ジープは乗るほどに愛着の湧く名車
今回は三菱ジープの歴史を中心に、維持費やカスタムについて紹介しました。現在の中古車価格や燃費なども参考になったでしょうか?
三菱ジープは公道を走っていると「おっ」と振り返ってしまうようなかっこいい車ですが、歴史もほかにはないものを持っています。また、オリジナルのデザインも非常に光るものがありますが、カスタムされたものには特別なこだわりが感じられました。
乗れば乗るほど愛着の湧く三菱ジープ、興味のある方はぜひ中古車を探してみてください!
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...