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手頃な価格で装備は充実…売れない理由は何もない!それでも売れなかった3ドアオシャレクーペ、マツダ エチュード【推し車】

売れない理由が全くわからなかったエチュード

断じてBFファミリアではありません、これがエチュードです!

名車と呼ぶほどではないものの、歴史に何らかの意義を果たしたり、何らかの形で歴史に残ったりという、忘れがたい「銘車」…何も「売れたクルマ」とは限らないわけで、今回は「売れなかったけれども、見るとそんなに悪くない」、マツダ エチュードを紹介します。

売れなかったどころか全く鳴かず飛ばず、スズキ X-90とともに「何のために発売したのかよくわからない、しまいにはメーカーも売っているのを忘れていたのでは」とさえ言われそうなエチュード、もっと売れてもよいくらいにはカッコよかったと思うのですが?

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6代目ファミリアの3ドアスペシャリティ版

これがエチュードのベース、6代目BFファミリア…これが無茶苦茶カッコよく、エチュードがカッコ悪いならわかる

エチュードが発売されたのは1987年1月、2年前に発売されて日本初のフルタイム4WDを設定、1.6リッター4WDターボはWRC(世界ラリー選手権)にも出場していた、6代目BF系ファミリアのモデル半ばに登場した派生車でした。

「3ドアハッチバック」という意味ではファミリア3ドアと同じで、フロントマスクも5代目ファミリア開発時にデザイン案のひとつだった、という説があるくらい、似てはいるもののちょっと違うな…というくらいの顔。

ただし全高は標準的なファミリアの1,390mmより低い1,355mm、全体の印象もAピラー付け根からテール後端まで直線的です。

ブラックアウトしたBピラーCピラーをガラスで包む、「コンシールド」という手法を使ったあたりなど、少し前(1986年12月)にデビューしたダイハツの3ドアスペシャリティクーペ、「リーザ」と似ていました。

エンジンは110馬力のDOHC16バルブエンジン「B6」で、これといったチューンもなく少々寂しさを感じたものの、ファミリアとしては1.5リッターターボに代わる「ちょっとスポーティ系グレード用エンジン」でしたから、当時としては必要十分です。

テールランプは幅広く分厚いエチュード専用でしたから、コンセプトとしては「軽快に走り抜けるファミリア…と思ったが何か違う!と思って振り向けばエチュードだった」など、さりげない美しさの演出に力が注がれたと思われます。

当時のマツダでは先に「ミス・エチュード」もあったくらいで、発売当時はファミリアをベースにうら若き美しい女性のイメージを重ねたクルマとして、相当な期待がかけられたのでしょう。

ヨーロッパでの好調をヒントにした5代目ファミリア

なぜか売れない、鳴かず飛ばずの3年間

これがファミリアに比べてスマートでカッコいいとしか思えないのに売れなかったエチュード…ファミリアの名がつかないのが悪かったか、後継にあたるアスティナは「ファミリアアスティナ」を名乗った

しかし、エチュードはビックリするほど売れませんでした。

ファミリア3ドアハッチバックに同じエンジンを積んだ「スポルト16」に対し、価格は最廉価グレードで少し安いくらい、最上級グレードでも20万と違わず、ロックアップ機構つきの4速ATも設定するなど、装備の充実を考えれば「高くて売れなかった」とは言えません。

むしろファミリアに乗るよりオシャレと思えば売れてしかるべきですが、エチュードはなぜか全く売れず…月販目標3,000台に対して最初の1年で売れたのは約8,000台。

あまりに売れなくて慌てたマツダも、発売翌年には1.5リッターSOHCエンジンの廉価グレードを出しますが、販売は回復どころか落ち込むばかりで、1990年頃におそらく在庫売り尽くしで販売終了するまでに売れたのは、わずか1万台ほどに過ぎません。

これほどまでに売れなかった理由として、「ファミリアとあまりにも変わらないから、違いがさりげなさすぎるから」とよく言われますが、それで価格がやたらと高いこともなく、致命的とは思えません。

WRCに出ているファミリア4WDターボのイメージが強すぎ、見た目だけオシャレではダメだったのか…あるいはクルマ好きでもないフツーの人からすると、「なんか違う名前の、ファミリアみたいなパチモンが売ってる」くらいの認識だったのでしょうか。

あるいはダイハツ リーザのように、フロントマスクからファミリアと全く違えばよかったのでしょうか?

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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