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「ロータリーと言えばFR」な中に登場した美しい変わり種!“Rotary-EV”登場にも役立った?マツダ ルーチェロータリークーペ【推し車】
生産期間1年足らずの短命車に
しかし結論から言うと、ルーチェロータリークーペは市場へ受け入れられずに、発売からわずか8カ月後の1970年6月には生産中止、その後は1972年まで在庫をほそぼそと売ったものの、13Aロータリーともども一代限りで終わりました。
175万円という価格は現在の物価でいうと641万円、現行モデルでは日産のRZ34フェアレディZ バージョンSくらいでしょうか。
まだハンドメイド時代のいすゞ 117クーペ(1968年発売)が172万円でしたから、クラウンよりよほど高価といっても、少量生産のクーペとして考えれば、かつ貴重なロータリークーペと思えば、高価すぎたのが短命の理由とは思えません。
どちらかといえば、フロントオーバーハングに積んだ13Aロータリーの重量過大、12Aや13Bと違って厚みを増した排気量アップではなく、完全別設計だった13Aの高コスト体質や耐久性不足、冷却性能によるオーバーヒート多発という問題の方が大きかったようです。
考え方としては、補機類込みだと意外に重い大排気量ロータリーと駆動系をフロントに集約、直進安定性が高く高速巡航性能の高いグランツーリスモ的に売りたかったのかもしれず、それに合わせて内装やエアコン、パワステなど装備品も豪勢でした。
しかし足回りなどセッティングが煮詰め切れておらず、熟成不足でエンジンから駆動系まで耐久性もなくと、商品として出すには急ぎすぎたかもしれません。
「車検に通せない…」たったひとつの部品が命取りになることも
e-SKYACTIV R-EV開発で掘り出された13A
「美人薄命」とまで言われて早々に廃止されたルーチェロータリークーペですが、搭載された13Aエンジンは数十年の時を経て、思わぬところで注目されました。
MX-30ロータリーEVでデビューした、e-SKYACTIV R-EVの8Cロータリーの開発に、13Aが参考になったと明らかになったのです。
10A〜13Bより大きく平たく作られた13Aの寸法が、8C開発初期の計算値と非常に近かった程度ですが、「昔作ったデータがあるなら」と、開発に役立ちました。
だからといって「8Cは現代によみがえった13Aのシングルローター版」というわけではありませんが、ロータリーエンジンへ長年にわたりしぶとく携わってきた、マツダらしいエピソードと言えるのではないでしょうか?
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...