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レジェンド 試乗レポ|ホンダらしさ満開!走りの高級セダン
#ロングドライブレポート Vol.47
ホンダのフラッグシップ・セダン「レジェンド」
そもそもセダンがマイノリティになり、高級セダンはドイツ御三家かトヨタ・クラウンでほぼ占められているところではございますが、ここでご紹介したいのは、ホンダのフラッグシップ・セダン「レジェンド」であります。先に車両本体価格をお伝えしますと、税込720万5,000円でございます。ホンダさんには失礼を承知でお伝えしますと、このレジェンド、売れていません。2020年1月の新車販売台数は、17台。比較してはいけませんが N-BOXは1万8,830台、トヨタ・センチュリーが奇しくも同じ17台。しかし、売れてないクルマが悪いわけでは決してありません。逆に最も売れてるクルマが最高に良いとも限りません。ホンダ・レジェンドは、直近の過去1年で総計100車種ほどのクルマに乗った筆者からして見れば、かなり良いクルマでありました。
前置きが長くなりましたが恒例により、試乗レポートの結論から先に箇条書きでお伝えし詳細を後述していきます。
- 走りがダントツに良い。速い。よく曲がる。
- 乗り心地が大変によろしい。
- 室内空間はアメ車っぽい。
- でかい。
- 燃費が良い(走りとでかさを考慮)
堂々のボディ
まずは、レジェンドを全方向でご覧ください。
ご覧の通り、堂々のボディサイズ。クルマというものは全長は5mを超えると「でかっ」となります。全幅は国内の道路事情ではギリギリセーフかアウトの瀬戸際の1,9mをちょい切ります。最小回転半径は6.0m。クルマというものは最小回転半径5,5mを超えると小路や狭い駐車場では取り回しにちょいと工夫が必要となります。でもいいんです。レジェンドは。
フロントマスクのデザインに好みが分かれそうですが、そこまでオラオラした顔ではなくとも迫力があり、普通におとなしく走っていても道を譲ってくれることがしばしば。ヘッドライトの中に球がたくさんある昆虫的な「複眼ヘッドライト」はホンダのアイデンティ。迫力を加えています。
AWD・モーターの加速で最高の走り
ホンダがつくるクルマは、基本的にどのクルマもよく走ります。特にエンジンは走り好きな人のハートをきちんと掴んでくれます。ハイブリッドでも然り。エンジンが高回転になると、とても気持ちの良いホンダ独特の「QueWAHHHHHHHHHHAAAAAN!」(いつも擬態語が変ですみません。なんとなく、クワーンという頭にKではないQ的な音が入るんです。筆者の耳では。)高回転で回ってまーす!とちょいと高めのエンジン音は「高級セダンですか?」お尋ねしたくなります。
エンジンは、3.5LのV6で最高出力314ps、モーターはフロント1基、リア2基でエンジンと合わせたシステム総合出力は、436ps!スポーツカークラスの数値です。
SPORT HYBRID SH-AWD
特筆すべきは、後輪をモーター、前輪をエンジンの駆動力で走行状況に合わせて配分する「SPORT HYBRID SH-AWD」のすばらしさ。ホンダ・レジェンドの公式WEBサイトでは、“「意のまま」の究極をめざした”と書かれています。まさに、その通り。高速域での加速は、前輪駆動となり引っ張られるような感覚で加速、停止状態からのフル加速では、四輪で地面を蹴ってガツンと加速、低中速では後輪駆動でFRのような感覚と状況に応じて変容、どのパターンでも気持ちの良い走りで、その走行フィーリングの変化も楽しめます。さらに、後輪はタイヤ1個につき1つのモーターが独立して配置されており、左右の駆動力分配は0-100のフルマックスの範囲となっています。これは、後輪の駆動力で車の進行方向を曲げることも可能となっています。
乗り心地も良き。
乗り心地は、フワフワソフト系ではなく、しっかり系。硬いという感じではなく「しっかり」。路面からの衝撃は吸収しますが、乗員への衝撃を与えないことに徹し、クルマは地面にしっかりと這わせる、といった印象です。山道でちょっとオーバースピードでカーブに入ったときの揺れなさ感、安定感はスポーツカー的な印象すらありました。なかなかよくできた足回りです。
燃費も良き。
自動車重量税がぎりぎり2トン以下の区分に収まる1,990kgの重量級でスポーツカー並みのシステム総合出力436psを発するハイブリッドエンジンを搭載していながら、一般的な市街地走行では10km/L前後という良い成績です。高速道路では14、15km/L、状況によってはもう少し伸びてくれるでしょう。
大ぶりな室内空間でアメ車のような雰囲気
ホンダ・レジェンドは北米市場に狙いを定めているセダンですので、当たり前といえばそれまでですが、「The American」の一歩手前ぐらいの感覚でした。車体が大きい分当然ですが室内空間は大きく取れ、それに伴って大きめのシートが備わる……アメ車のセダンとこの点は共通です。試乗車の内装は実際の大きさよりも大きく見える膨張色の白系でしたから、なおさら広大な室内空間を感じました。ゆとりがあるってことはいいことです。長時間の運転では、姿勢変化の幅に余裕が生まれるので疲れにくいというメリットも。
マイノリティだけどきちんと個性が主張できている
ホンダ・レジェンドは「走りの高級セダン」として国産車では唯一無二の存在となっています。ホンダらしさをしっかりとレジェンドに詰め込んで表現した、きちんとした個性を発するクルマでした。
撮影・文:MOBY編集部 宇野 智
試乗車のスペック一覧
全長 | 5,030mm |
全幅 | 1,890mm |
全高 | 1,480mm |
ホイールベース | 2,850mm |
車両重量 | 1,990kg |
乗車定員 | 5名 |
エンジン | V型6気筒SOHC直噴 NA(自然吸気) |
排気量 | 3,471cc |
最高出力 | 231kW[314ps]/6,500rpm |
最大トルク | 371N・m[37.8kgf・m]/4,700rpm |
モーター最高出力 | 前:35kW[48ps]/3,000rpm 後:27kW[37ps]/4,000rpm✕2基 |
モーター最大トルク | 前:148kW[15.1kgf·m]/500-2,000rpm 後:73kW[7.4kgf·m]/0-2,000rpm✕2基 |
駆動方式 | AWD |
トランスミッション | 7速AT |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン |
燃費 | JC08モード燃費:16.4km/L |
新車車両価格 | 税込7,205,000円 |
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- 執筆者プロフィール
- 宇野 智
- モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...