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「4ドアは捨てよう」が大英断だった“最後のインテR”!中古車購入もまだまだ現実的なDC5型・2代目インテグラタイプR【推し車】
考えてみると、最後の「タイプRクーペ」
現時点で「最後のインテグラタイプR」となっている2代目DC5型は、初代DC2(3ドア)/DB8(5ドア)と異なり、純然たる3ドアファストバッククーペとして開発されました。
それもシビックとアコードの中間的な大衆車というポジションを捨てて4ドアの実用モデルはバッサリと切り捨て、タイプRを中心にしたことで結果的に高品質になったビジネスクーペ版「iS(後にタイプS)」を設定という、二段構えのラインナップ。
ホンダ自身、インテグラというクルマをだいぶ割り切った結果ですが、それだけに最後のクーペ型タイプRとしてサーキット走行などでは並々ならぬ実力を発揮し、MOBY編集部がAIに聞いた「30~50代のクルマ好きが気になる過去の名車」の1台でもあります。
シビック上級版からクーペ専用モデルへ
1985年に初代が発売されたホンダ インテグラは、アコードの上級移行でシビックユーザーのステップアップに難を感じた北米からの要望で開発された、「シビックベースで1ランク上の、アコードとの差を埋める車種」で、北米ではアキュラブランドで販売されました。
そのため、3ドアファストバッククーペ、4ドア/5ドア(初代のみ)セダンというラインナップで3代目(1993年)まで販売されたものの、1995年に追加されたタイプRに人気が集中すると、元から地味だったベースモデルは存在意義を問われるほど影が薄くなります。
さらにシビックが7代目EU型(2000年)で車格が上がり、従来シビックが占めていたコンパクトカーのポジションにはフィット(初代2001年)が収まると、インテグラはシビック上級モデルとしての役割を終え、3ドアファストバッククーペ専用車へ一本化されました。
なお、この時にプレリュード(2001年まで販売された5代目)の後継も兼ねて、(少なくとも国内では)ホンダ最後の量販クーペになったのです。
タイプRを中心とした開発
こうして2001年に発売された4代目インテグラは、DC5という型式は同じでも2つのバージョンがあり、1つは「タイプR」、もう1つがセクレタリーカーという海外向け通勤用クーペ、あるいはビジネスクーペとしての役割を持つ「is(後に「タイプS」)」。
ただし、先代モデルと違うのは「is」をベースに強化・高性能モデルとして「タイプR」を作ったのではなく、タイプRありきで開発したことです。
その結果、スペックRでこそない160馬力止まり仕様のK20Aエンジンを積むものの、「is」は廉価モデルとしては異例のクオリティを持つ…むしろ廉価版ではない、とされるモデルになりましたが、当然ながらタイプRではない以上、さしたる需要はありません。
やはり本命はタイプRの方で、R-SPECのK20A型2リッターDOHC i-VTECエンジンは220馬力を発揮して、当然のごとくリッター100馬力オーバー。
プレリュード後継を兼ねて大きく重くなった3ナンバーボディや、プラットフォームが共通のシビック同様にフロントがストラット化された足回りには不満があったものの、総合性能では先代3ドアファストバッククーペのDC2型タイプRを上回る…とされたのです。
旋回性能以外の走りは秀逸だが、社内競合に悩まされる
実際、発売直後からDC5型インテグラタイプRは各種モータースポーツへ出撃して華々しい戦績を残し、小型軽量・ショートホイールベースで圧倒的な旋回性能を誇ったDC2インテグラタイプRの完全な代替にならなかったジムカーナ競技を除き、長く使われました。
ただし、当時のホンダは初代シビックタイプR(EK9)後継として、DC5と同じR-SPECのK20A+6速MTを積む2代目シビックタイプR(EP3)や、同じ2リッターDOHC VTECでも250馬力を発揮するF20Cを積んだS2000など、尖ったモデルが3つもありました。
イギリスから輸入するため、部品の価格や供給体制など維持に不安があるEP3や、超高回転型エンジンのFRオープンスポーツで全く性格が異なるS2000という違いはあったものの、同時代に3台も手頃な価格のホンダスポーツがあっては、ユーザーも迷います。
結局、3台とも同じパイを食い合う形で販売は低迷し、根本的に需要が限られるS2000やインテグラタイプRはその代限りで打ち切り決定、後継はまだ実用モデルとしてベースモデルの需要が見込める、4ドアセダンの3代目シビックタイプR(FD2型)となりました。
先代より多少パワフルでも大きく重くなった不人気モデルの宿命として、中古車価格も初代DC2/DB8型より手頃になっており、「手頃な価格で本格FFスポーツクーペに乗りたい」と考えているユーザーには、今なら案外いい選択肢かもしれません。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...