更新
新型ダイハツ タフト 試乗レポ&隅々撮影42枚 – ターボとNAどっちがいい?
例年通りならとっくに梅雨明けしているはずの時期の長雨に加えてのコロナ禍、もともとは木更津で開催予定だった試乗会が感染拡大防止のため急遽、都内に場所を変えての開催となりました。短い試乗時間でしたが、筆者が感じた新型ダイハツ タフトの魅力をお届けします。
新型タフトとは?デビューまでをおさらい
ご存知の方はお読み飛ばしを。「タフトってどんなクルマだっけ?」を簡単におさらいします。
新型タフトのコンセプトモデルを世界初披露したのが、2020年1月開催の東京オートサロン。2019年にフルモデルチェンジした「タント」が採用した新設計「DNGA」プラットフォームを使った軽SUV。カクカクしたわかりやすいワイルドなデザインで注目され、市販化への期待が高まったものでした。その後の4月1日にダイハツは新型タフトの予約受注を開始、6月から発売予定と発表。
タフトの特徴は、前述したDNGAプラットフォームを採用した安定感ある走りと、ワイルドな軽SUVでのあることのほか、最大級の開口部を持つガラスサンルーフを全車に装備したこと、ダイハツ初となる全車速対応ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)、ハンドル操作支援などの先進技術を採用したことなどとなっています。
ターボとNAに試乗
試乗コースは両車とも、お台場の街を少し走ってから首都高速台場インターへ。C1(環状1号)を内回りで1周してから台場インターへ戻るコース。C1はそこそこ渋滞するので、ACCのテストを中心に、短い距離ですが台場インターからレインボーブリッジで高速域の走りなどを体感してきました。
試乗車2モデルは共に2WD/FF、ターボかNA(自然吸気)の違いのみ。乗った瞬間に感じれたのがボディのしっかり感。タフな印象です。新型タントもそうでしたが、新しいDNGAプラットフォームはボディ剛性がしっかりとしています。
「ボディ剛性とは何?」
人間に例えるなら、骨太で筋肉もりもりのガタイの良い人がボディ剛性の高い人。逆に筋肉がない華奢な人がボディ剛性の低い人。お父さんのボディ剛性が高いと、肩車してもらう子どもは安心して楽しめます。
室内は運転席、後席とも広く特に開口部が大きいサンルーフ「スカイフィールトップ」のおかげで開放感たっぷり。軽ハイトワゴンと比べるとフロントウィンドウの面積が小さいので、これが一瞬気になる感はありますが、すぐに慣れて違和感はなくなります。
NAエンジンは、平坦な街中の道なら不自由しません。ちょっと前の軽自動車でターボが付いていないと走りが物足りないとよく言われますが、今の軽自動車は進化したものです。NAでもよく走りターボとの開きが小さくなった印象です。今回の試乗でターボがあった方が良いと感じた走行シーンは、高速道路の登り坂(台場料金所からレインボーブリッジへ向かう坂)ぐらい。実際の生活シーンでターボがあった方が良いと思ったのは、山岳地帯にお住まいの方、高速道路の利用が多い方、大人3、4人の乗車や重い荷物をよく乗せる方。そうでなければ、価格の安いNAモデルを購入して問題はなさそうです。
NA車とターボ車のパワートレインの違いで顕著なのは、ギア付きのCVTかどうか。ターボ車には世界初のスプリットギアを採用した「D-CVT」を搭載。(D-CVTについて詳しくはこちらの記事で解説しています)走りを重視したい方はターボを選ぶと良いでしょう。
実燃費の計測は短い試乗コースでしたので実施していませんが、カタログ数値では、NA/2WDで20.2km/L、ターボ/2WDで20.5km/L(いずれもWLTCモード燃費)で大差ありません。実燃費においては、ターボ車でアクセルを踏みまくった走りをしなければ、経済的に大差が出るような違いはないかと思われます。
ACCをC1で試してみたところ、特に問題なし。完全に停止するような渋滞から、30〜60km/hの変化のある流れに乗って走るシーンで、前車との車間距離やブレーキの効かせ方に危険や違和感は特に感じませんでした。新型タフトには、ダイハツ初の電動パーキングブレーキが採用され、これによって全車速対応ACCになったのですが、首都高のような停止の多い渋滞では重宝。完全停止から3秒以内であれば、前車発進時に自動で再発進してくれます。
LKC(レーンキープコントロール)を試してみました。これは60km/h以上でACCを設定中に車線の中央を走るようハンドル操作をアシストしてくれるものですが、カーブの多い首都高速は苦手なよう。ちょっとおせっかいな感じのハンドル操作アシストが入ります。長い直線では試していませんが、東名高速道路のようなカーブがゆるやかで直線が長く長距離を走るときには重宝しそう。あってはならないですが、うっかり居眠りしてしまったとき、LKCをONにしておけば事故を未然に防ぐことができるでしょう。
毎日の生活がアクティブになる軽SUV。価格設定は◎
新型タフトの試乗会でつくづく感じたのは、最近の軽自動車の進化、進歩。先進安全技術「スマアシ」の最新版は、登録車(普通車)と基本機能、仕様に遜色ないですし、走りの質感も街乗りなら十分。軽自動車のエンジン排気量、車体の大きさといったクルマには厳しい制約、そして価格などからくる物足りなさが解消されたとは言い切れないところは当然ありますが、ネガティブな要素を拾い上げても、一般消費者の方々には、重箱の隅をつつくようなものと筆者はお伝えしたい。(1点だけ特にきになったのが、NA車が「ヒュイーン」というターボ的な音。静かなところだと気になるかも)
価格設定にも注目したいですね。ダイハツさんは「良品廉価」をモットーにクルマを開発。タフトの最安価グレードは、NA/2WDの「X」の税込135.3万円。一番下のグレードだからといって卑下するような要素はこれと言ってなく、付いてないのは、ACC、LKCぐらい。メータ周りでタコメーターがない、インフォメーションディスプレイではないといった違いがある程度で、外見上の大きな違いはLEDフォグランプがないぐらい。高速道路に乗らないよ、雪道も走らないよって方なら最安価グレード2WDで問題ないでしょう。
全車、サポカー対象のスマアシがついて、大開口サンルーフ「スカイフィールトップ」が付いています。ちなみに、2WDと4WDの価格差は全グレードで約13万、「G」グレードのターボとNAの価格差は約12万円。ちなみに、ライバルのスズキ ハスラーよりの気持ちお安くなっています。
タフトに乗ると、そのまま海や山へ出かけたくなってしまう、そんなアクティブな気分にさせてくれるクルマでした。
試乗レポートはここまで。ここからは本文中に掲載しきれなかった画像をご覧ください。
ダイハツおすすめのパッケージ
試乗会場には、撮影用車両としてダイハツがおすすめする3つのパッケージモデルが準備されていました。
アナザースタイルパッケージ/マッドスタイル
アナザースタイルパッケージ/チルアウトスタイル
アナザースタイルパッケージ/クロムスタイル
ダイハツ タフトの仕様、装備詳細: 公式HP
- 執筆者プロフィール
- 宇野 智
- モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...