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【シトロエン XM】大統領も乗った!進化したフラッグシップ
目次
新生フラッグシップ「XM」洗練された空力ボディ
シトロエン XMは1989年のデビュー。誕生以来15年のあいだその座にあったCXの後を継ぐフラッグシップとして誕生しました。
XMは1976年にPSAとしてあらたにスタートを切っていたシトロエンにとって、新体制下初となる待望の旗艦モデルでした。
デザインを担当したのは、イタリアのカロッツェリア・ベルトーネ。プジョー605をベースとしながら、洗練された空力的ボディを採用し、新生シトロエンを印象付けるフラッグシップ誕生となりました。
シトロエンでは「BX」もデザインを担当したベルトーネ。デザインコンペでベルトーネのマルク・デシャンのスケッチが採用されたのは、スタイリングはCXの特徴を継ぐのが妥当との声もありながら、BXとの共通性が評価されたからだとも言われているのこと。
しかし、直線で構成されているとはいえ、XMはシトロエン伝統のファストバックを継ぎ、えもいわれぬエキゾッチックな雰囲気を醸しているそうです。
ハッチバックながらセダンを思わせるシルエット
XMのボディデザインは、極めて低いノーズを持つウェッジシェイプ(くさび型)に仕上げられ、見るからに空力の高さを物語るスタイリングになっています。
ウインドウは左右3つずつとなる6ライト・ウインドウを採用。さらに最後尾を段付きとすることでフラッグシップには珍しいハッチバック・スタイルとしながら、セダンを思わせる重厚感もプラス。また、後席と荷室はガラス板で仕切られ、外気を遮断し気密性を確保しました。
XMのボディサイズは全長を4,710mm、ホイールベースを2,850mmとし、CXより拡大。ボディバリエーションは、ハッチバックとステーションワゴンのブレークがラインナップしました。
日本では、標準グレードの「XM」、上級グレードの「XM-X」、エントリーグレードの「XM-S」、ステーションワゴンの「ブレーク」が展開。その後ハッチバックが「エクスクルーシブ」のモノグレードとなり販売されることとなりました。
XMは本格派高速ツアラー。大統領専用車にも採用
シトロエン XMのサスペンションには、ハイドロニューマチックを進化させ電子制御化した「ハイドラクティブ」が採用されました。路面状況や速度によりサスペンションの硬さが調整可能となり、前輪はストラット、後輪がトレーリングアームとしました。
エンジンは当初ガソリン仕様が2.0Lに直列4気筒SOHCのキャブ仕様とインジェクション仕様、3.0LはV型6気筒SOHCとし、ディーゼル仕様では2.1Lが直列4気筒SOHC、2.5Lが直列4気筒SOHCターボとしました。
その後、ガソリン仕様に3.0L V型6気筒DOHC 24バルブが追加され、最高出力が200hpを達成。2.0L 直列4気筒モデルにもターボ付きが追加されました。駆動方式は全モデルにFFが採用されています。
1994年にはマイナーチェンジを実施。外装ではダブルシェブロン・バッジがフロントグリルのセンターに移動に。
ブランドロゴも「XM」から「Xm」に変更となり、内装ではステアリングの1本スポークが廃止されました。さらにサスペンションシステムのハイドラクティブも「ハイドラクティブⅡ」へと進化しています。
当初は電気系トラブルに見舞われることもあったXMでしたが、改善・刷新により性能は安定化。高速・長距離航行ではその実力をいかんなく発揮できる高速ツアラーと評価されました。
また、歴代フラッグシップの伝統にのっとり、フランソワ・ミッテラン、ジャック・シラク在任時のフランス大統領専用車としても活躍しています。
シトロエン XMの中古車はチェックを念入りに!
XMは一般的に初期型にトラブルが多いと言われるモデル。購入される場合には十分にチェックすることがおすすめです。中古車価格は90万から150万円となっています。(2019年11月時点)
- 最新「XM」中古車情報
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本日の在庫数 4台 平均価格 1,681万円 支払総額 1,443~2,250万円
シトロエン XMのスペック詳細
下記のスペックは1998年日本発売のXM エクスクルーシブのものとしています。
- エンジン:V型6気筒DOHC
- 最高出力:190ps/5,500rpm
- 最大トルク:27.7kg・m/4,400rpm
- ボディサイズ:全長 4,710mm 全幅 1,795mm 全高 1,395mm ホイールベース 2,850mm
- 車両重量:1,580kg
- トランスミッション:4速AT
- 駆動方式:FF
- 乗車定員:5人
- 新車時車両価格:530万円
*本記事の画像は2019年8月に開催されたシトロエン創立100周年イベント「シトロエン・センティナリー・ギャザリング」にて撮影。
※参考文献:オクタン日本版特別編集 “シトロエン オリジンズ 1919-2019”(世界文化社)
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- 執筆者プロフィール
- 石黒 真理