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シトロエン トラクシオン アバン
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【シトロエン トラクシオンアヴァン】20世紀の車にも選出された前輪駆動の先駆車

トラクシオンアヴァン 新興メーカーが将来を託したエポック・モデル

シトロエン トラクシオン アバン
画像は11CVモデル レジェとなる「11B L」

トラクシオンアヴァンのデビューは1934年。欧州での大衆車普及を目指し1919年に創設されたシトロエンは当時、勢いのある新興メーカーといった位置づけでした。1931年に渡米し、ボディメーカーの前輪駆動プロトタイプを目の当たりにしたアンドレ・シトロエンは、自社の将来を託す技術は前輪駆動であるとひらめき、あらたに加わった天才技師ルフェーブルに、これらを網羅したイノベーター(革新者)・シトロエンにふさわしい次期モデルの開発を厳命。その量産化モデルがトラクシオンアヴァンなのです。

シトロエン トラクシオン アバン

トラクシオンアヴァンの展示パネルには、アヴァンギャルドを体現したモデルこそが同車だと書かれていた。一見するとオーソドックスなスタイルはフラミニオ・ベルトーニが担当。しかし、盛り込まれた新技術は多彩でその筆頭には前輪駆動とモノコックボディがあげられ、FFは普及まで40年をリード。モノコックはいち早い軽量化・低床化を実現したとあった。また、有名な逸話として戦時中はレジスタンスに活用されたことも書かれていた。

通称にまでなった「トラクシオンアヴァン」とは車の技術用語から

シトロエン トラクシオン アバン
外見は独立フェンダーを持ち今までのモデルを継承したクラシック
シトロエン トラクシオン アバン

開発期間わずか2年弱という驚異的なスピードで完成したトラクシオンアヴァン。しかし、この名は実は通称で、フランス語で「前輪駆動」を意味する車の技術用語。1930年代と言えば、多くの車が駆動方式に後輪駆動を採用するなか、最先端の前輪駆動を採用したシトロエンモデルは衝撃をもって広まり、このモデルを指すときにはその用語トラクシオンアヴァンとして通用するまでとなったのです。

トラクシオンアヴァンは、当初は7CVモデルとしてデビュー。ボディタイプにはカブリオレ・クーペ・ベルリーヌ(セダン)などをラインナップ。その後、11CVモデルを追加し、コンパクトなレジェと通常クラスのノルマルや3列シートのファミリアルが登場。タイプにはカブリオレ・クーペ・ベルリーヌなどがラインナップ。さらに、11には商用車タイプのコメルシアルも展開されました。

シトロエン トラクシオン アバン

予定では1934年10月に、V型8気筒搭載の22CVモデルの発表を予定していたシトロエンでしたが、技術的な問題発生や経営権がミシュランに移動したことにより発表を断念。あらたに6気筒を搭載する15 Sixとし、カブリオレ・ベルリーヌ・ファミリアルなどがラインナップ。15 Sixは優れた走行性能を持つことで知られ、1940年代にはフランス大統領の公用車としても採用されました。

トラクシオンアヴァン 中身は超先鋭!COTCの25台にも選出

シトロエン トラクシオン アバン
シフトレバーはダッシュボードに装着され、足元の自由度は高い

他メーカーのデザインが当時トレンドであった流線形スタイルへと変貌するなか、敢えてクラシックスタイルを継承したトラクシオンアヴァン。しかし、その中身に採用された技術はどれも独創的で超先鋭的。その後の代名詞にもなった前輪駆動やいち早いモノコック構造の採用は、操縦安定性や低床化・空間の広さを実現しただけでなく、ラインでの効率化・量産化が図られる画期的なものでした。さらに、4輪油圧ブレーキ、前輪にはトーションバー・スプリングによるダブルウィッシュボーン独立懸架が採用されました。

7CVモデルのエンジンは直列4気筒OHVで、7Aから7B、7Cへと変遷していき、7Cの最高出力は36hpとしました。また、スポーツタイプの7Sも存在し、最高出力は46hpとしています。11CVモデルのエンジンは直列4気筒OHVで、最高出力は56hp。15CV Sixのエンジンは直列6気筒OHVで最高出力は77hpを達成しています。

シトロエン トラクシオン アバン

トラクシオンアヴァンがその後の自動車の製造・技術に与えた影響は非常に大きく、また、シトロエンが世界的メーカーとして認知されるエポックモデルともなりました。それを証明するように、1999年に発表された20世紀にもっとも影響力を与えた車を選ぶ賞「カー・オブ・ザ・センチュリー(COTC)」の25台に選出されています。

シトロエン トラクシオンアヴァンのスペック詳細

下記のスペックは1934年式トラクシオンアヴァン 7Sのものとしています。

  • エンジン:直列4気筒OHV
  • 最高出力:36hp/3,800rpm
  • 最大トルク:-
  • ボディサイズ:全長 4,450mm 全幅 1,680mm 全高 1,540mm ホイールベース 2,910mm
  • 車両重量:900kg
  • トランスミッション:3速MT
  • 駆動方式:FF
  • 乗車定員:2~5人
  • 新車時車両価格:-
シトロエン トラクシオン アバン

*本記事の画像は2019年8月に開催されたシトロエン創立100周年イベント「シトロエン・センティナリー・ギャザリング」にて撮影。

※参考文献:オクタン日本版特別編集 “シトロエン オリジンズ 1919-2019”(世界文化社)

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この記事の執筆者
石黒 真理

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