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【シトロエン GSビロトール】生産台数847台!ロータリーエンジン搭載の芸術作品
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小型でも侮れない!シトロエン GS
ヨーロッパでの大衆車普及を目指し創設されたシトロエンにとって、超小型車Ami(アミ)と高級車DSとの間に位置する1Lクラスの開発は長年の懸案事項とも言えました。その穴を埋めるべく誕生したのが「GS」です。
GSは、1970年のパリサロンにてデビュー。当初は排気量1.0Lとし、その後1.2L、1.3Lと段階的にアップさせていきます。エンジンは通常モデルは空冷水平対向4気筒SOHCの通称フラット4。DSで衝撃を与えた油圧システム・ハイドロニューマチックも装備する侮れない小型車となりました。
解説によると、GSはエンジンよりも大きい車体を空力的ボディとすることで高速航行を可能にしたと記載されています。
さらに、水平対向エンジンのおかげで回転がスムーズで滑らかな走りを賞賛され、ドーム型のファストバックは空力性能の良さから後のシトロエンのトレードマークともなったとのこと。デザイナーにロベール・オプロンを迎え、1973年にはRE搭載の「ビロトール」を発表しました。
1979年にはGSAに進化も果たし、抜群の室内空間を誇ったと言われています。
アンダーパワーへの対抗策として登場したGS ビロトール
小型車でありながら余裕のある室内空間に、DSゆずりのしなやかな乗り心地も実現し、最も進んだモデルとしてシトロエン初のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーにも輝いたGS。
しかし、唯一の弱点とされたのがパワー不足でした。そこで、シトロエンは当時パワフルと高評価のロータリーエンジンに着眼。先駆メーカーNSUとエンジンを共同開発し、ビロトールが誕生することとなりました。
GS ビロトールは1973年に販売が開始。GS通常モデルとの差別化を図り、専用色となるスカラベ(玉虫色)を設定。フロントグリルのダブルシェブロンはゴールドとしています。さらにエアインテーク、フロント・リアにはオーバーフェンダーが設けられ、CX用14インチホイールが装備。
サイドにはホワイト系ラインが引かれ、ルーフとボディで色分けとなる2トンカラーも設定。内装もシートは前席をヘッドレスト一体型とし、スポーティに仕上げられました。
GS ビロトール最高速は175km/hを達成するも、悲運で短命に。
GSビロトールのエンジンにはGS唯一となる水冷2ローター仕様の497.5cc×2が採用。弱点とされたアンダーパワーを解消し、最高出力は107ps、最高速度は175km/hを達成。サスペンションはハイドロニューマチック、トランスミッションは3速ATとなるCマチックが採用されています。
GSビロトールはデビューからわずか2年となる1974年、847台を製造したのみで残念ながら生産終了となってしまいました。
GSビロトールに添えられたパネルには、ビロトールに搭載されたロータリーエンジンは実装テストモデルとなったM35のデータを元にしたとありました。
しかし、スムーズな吹け上がりとハイドロの乗り心地を実現したビロトールでありながら、発売年に巻き起こるオイルショックと信頼性の低さから生産継続を断念。販売された847台の大半も回収されることにより失われたとも記載されています。
GS ビロトールは現存するだけで価値あり
シトロエン GS ビロトールは、生産台数でさえ847台の稀少車であるのに加え、大半が回収され失われたこともあって現存するだけで価値があり、出回ることはほぼないでしょう。
また、今ではGSの通常モデルも流通個体は少なくなっているのが現状。現在はGS パラスが流通しているようです。 (2021年3月時点)
シトロエン GS ビロトールのスペック詳細
ボディサイズ | 全長 | 4,120mm |
---|---|---|
全幅 | 1,644mm | |
全高 | 1,370mm | |
ホイールベース | 2,550mm | |
車両重量 | 1,170kg | |
乗車定員 | 5名 | |
エンジン | 水冷2ローター | |
排気量 | 497.5cc×2 | |
最高出力 | 13.1kW[83.0PS] | |
最大トルク | 82N·m(4.2kg・m)/3,000rpm | |
トランスミッション | 3速AT | |
駆動方式 | FF |
*本記事の画像は2019年8月に開催されたシトロエン創立100周年イベント「シトロエン・センティナリー・ギャザリング」にて撮影。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...