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シトロエン ベルランゴ 3,000km試乗レポ|長距離移動が楽な快適MPV
「変態ですね!」と半ば褒め言葉をいただきながら、 シトロエン ベルランゴ デビュー・エディション に乗って1人で東京から四国お遍路、88の札所を1週間で回り切って参りました!
#ロングドライブ試乗レポート_vol.44
目次
東京~四国八十八箇所“お遍路”を巡って3,000kmを走行
![霊山寺駐車場で撮影されたシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。](https://car-moby-cdn.com/article/wp-content/uploads/2020/02/20184309/citoroen-berlingo_debut_edition_exterior_8-1000x667.jpg)
ベルランゴとはどういうクルマかの解説は後に回して、先に3,000kmを走行した感想からお伝えします。
ベルランゴとは?どんなクルマ?
国内通常販売に先駆けて、ベルランゴ デビューエディションが2019年10月19日にオンライン予約を開始するも受付開始5時間半後に完売、これを受けて急遽生産枠を確保して追加販売を11月30日にするも、これも即完売という人気ぶり。どんなクルマかをご存知ない方へ向けての解説です。
![四国お遍路を巡るシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。](https://car-moby-cdn.com/article/wp-content/uploads/2020/02/21225315/citoroen-berlingo_debut_edition_exterior_5-1000x667.jpg)
試乗車のボディカラーは「サープル」
フランスの自動車メーカー、シトロエンの2列シート5人乗りのMPVが「ベルランゴ」。世界初公開は2018年3月。それ以降、日本の正規輸入社となる、プジョー・シトロエン・ジャポン(現在は社名変更し、グループPSAジャパン)へ日本導入についての問い合わせが無数にあったとか。
![](https://car-moby-cdn.com/article/wp-content/uploads/2020/02/22163447/CITROEN_BERLINGO_DEBUT_EDITION_exterior-1000x667.jpg)
プラットフォームは、プジョー508と同じ「EMP2」を採用。ただ、ベルランゴは本国フランスでは商用車としての扱いもあるため、リアの足回りの関係上、旧型ベルランゴのプラットフォームのリアの一部分を流用した組み合わせとなっているとのこと。
![田んぼの真ん中、青空を背景に撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。](https://car-moby-cdn.com/article/wp-content/uploads/2020/02/21225336/citoroen-berlingo_debut_edition_exterior_4-1000x667.jpg)
本国フランスなどで販売されるベルランゴは、全長が4,403mmの2列シート5人乗り、全長4,753mmの3列シート7人乗り2つのタイプ、フロントマスクなどを変更した商用バンもラインナップ。エンジンも出力違いの1.2Lガソリンと1.5Lターボディーゼルが設定されています。日本導入されるベルランゴは、全長4,403mmの2列シート5人乗りで、1.5Lターボディーゼル、8速AT仕様のモデルのみとなります。
![ベルランゴ・バン](https://car-moby-cdn.com/article/wp-content/uploads/2020/02/20193958/New-Citroen-Berlingo-Van.jpg)
MPVとは?
マルチ・パーパス・ヴィークル。ミニバン、トールワゴンのことであるが、日本ではミニバンというと6人乗り以上の3列シート車のこととすることがよくあるため、本記事ではあえて区別してMPVと記述しています。
![四国第60番札所「横峰寺」の手前のドライブインのような場所で山間を背景に撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。](https://car-moby-cdn.com/article/wp-content/uploads/2020/02/21225901/citoroen-berlingo_debut_edition_exterior_7-1000x667.jpg)
「ドンブラコ」とした乗り心地
![四国霊場第21番 太龍寺の駐車場にて撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。](https://car-moby-cdn.com/article/wp-content/uploads/2020/02/21225400/citoroen-berlingo_debut_edition_exterior_1-1000x667.jpg)
グループPSAジャパンさんでベルランゴをお借りして、数百メートル走ったファーストインプレッションは「ドンブラコとした乗り心地」でした。この乗り心地は、いかにもコンフォート=快適さを追求するシトロエンらしいおおらかな乗り心地です。SUVのC5エアクロス、C3エアクロスのサスペンションストロークがたっぷりでソフトな乗り心地と同じライン上にある印象でした。この「ドンブラコ」感を最も味わえるのが、高低差のある歩道から車道へ斜めに横切ってでたとき。ゆったりとゆっくりと大きめの車体が揺れます。揺れるクルマは悪とされることも多いのですが、ベルランゴの揺れ方は「良」です。ただ、乗り心地は人の好みがわかれるところ。しっかりカッチリとした乗り心地を好む方がどう感じるかは、微妙なところでしょう。
シトロエンファンなら、嬉しい乗り心地のはず。ずいぶんと前になりますが、ほんの少しばかり2CVに乗ったときの、ゆらゆらとした乗り心地を思い出し、その血が流れた末裔ではないかと感じました。
![四国第22番札所「平等寺」で撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。](https://car-moby-cdn.com/article/wp-content/uploads/2020/02/21225421/citoroen-berlingo_debut_edition_exterior_2-1000x667.jpg)
ドンブラコとした乗り心地をさらに快適にしてくれるのが、シート。もとよりシトロエンのクルマは柔らかめでソファーのような座り心地で、家にいる快適さを車内でも、といった傾向があります。特に、リアシートはきちんと3等分して、真ん中に座った人も快適にしているところは注目ポイント。これは、シトロエン C5エアクロスも同じです。
燃費はライバルのカングーに勝利
![シトロエン・ベルランゴ デビューエディションのメーターに表示される燃費の画像9枚をひとまとめにした画像](https://car-moby-cdn.com/article/wp-content/uploads/2020/02/20202322/citroen_berlingo_fuel-efficirncy_1-1000x750.jpg)
グループPSAジャパンから、日本仕様ベルランゴのWLTCモード燃費、JC08モード燃費が現時点出されていないので、カタログ燃費との差異は不明ですが、まとめますと実燃費は次のとおりとなりました。
平均燃費 | 14km/L |
市街地 | 12km/L |
郊外 | 15km/L |
高速道路 | 19km/L |
燃料代が安い軽油ですので、経済性はなかなか良好な数字です。ライバルとなるルノー カングーはハイオク仕様、実燃費をインターネットの情報を調べてまとめたところの数値では、平均燃費が10~12km/Lあたりだったことからすると、総じてベルランゴの方が燃費、燃料代は良好となった結果でした。
![3,084km走行のトリップメーターとトータル燃費14.4kmを示すシトロエン・ベルランゴ デビューエディションのメーター。](https://car-moby-cdn.com/article/wp-content/uploads/2020/02/20203336/citroen_berlingo_fuel-efficirncy_2-1000x750.jpg)
グループPSAジャパンさんへ、ベルランゴを返却した時点での平均時速は22kmで燃費は14.4km/Lでした。東京から四国お遍路の1番札所「霊山寺(りょうざんじ)」のある徳島県鳴門市までは高速道路、それ以降は、市街地2割、山岳路2割、郊外4割、自動車専用道路1割ぐらいの比率です。渋滞はごくわずかしかなく、乗車は1人、たいした荷物はなし(一番重いものが布団)、エアコンはONですが気候的に実質ほぼ稼働なしのヒーターのみの条件です。
よく走るエンジン
![徳島市を流れる吉野川にかかる「潜水橋」で撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。](https://car-moby-cdn.com/article/wp-content/uploads/2020/02/21225433/citoroen-berlingo_debut_edition_exterior_10-1000x667.jpg)
エンジンは、プジョー 308にも搭載されている、直列4気筒1.5Lターボディーゼル、最高出力は130ps、最大トルクは300N・m。車重は公表値がありませんが、筆者調べの推測で1,500kgほど。燃費の項で記しましたが1人乗車で荷物が少ない状態ではありますが、全く不満なくよく走ってくれます。四国お遍路の道中、とんでもない山道がありますが、パワー不足を感じることはありませんでした。たぶん、荷持を満載して5人乗車の高負荷でも、割と走ってくれるのでは?と期待が持てました。市街地ではアクセルを踏み込めば、交通の流れをリードすることもできます。シトロエンのクルマは皆、踏むと速いんですよね。ベルランゴも然り。
![四国第58番札所「仙遊寺」の山門で撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。](https://car-moby-cdn.com/article/wp-content/uploads/2020/02/21225450/citoroen-berlingo_debut_edition_exterior_6-1000x667.jpg)
山道のコーナリングは、車高の高いMPVらしさがでます。快適さ重視の乗り心地とした足回りのため、カーブでは車体がロールしますが不快な感じや不安感はありません。トルクのあるよく走るエンジンのため、峠でも運転する楽しさがあります。
- 執筆者プロフィール
- 宇野 智
- モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...