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シトロエン ベルランゴ 3,000km試乗レポ|長距離移動が楽な快適MPV

「変態ですね!」と半ば褒め言葉をいただきながら、 シトロエン ベルランゴ デビュー・エディション に乗って1人で東京から四国お遍路、88の札所を1週間で回り切って参りました!

#ロングドライブ試乗レポート_vol.44

東京~四国八十八箇所“お遍路”を巡って3,000kmを走行

霊山寺駐車場で撮影されたシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。
四国第1番札所「霊山寺」の駐車場にて。

ベルランゴとはどういうクルマかの解説は後に回して、先に3,000kmを走行した感想からお伝えします。

  • シトロエンらしい、ソフトでおおらかな乗り心地で快適。
  • 1.5Lディーゼル・ターボはよく走る。
  • 長時間の運転が楽。乗りやすい。
  • シートが良い。
  • 取り回ししやすい。
  • 使い勝手がいい。
  • 燃費が良い。

ベルランゴとは?どんなクルマ?

国内通常販売に先駆けて、ベルランゴ デビューエディションが2019年10月19日にオンライン予約を開始するも受付開始5時間半後に完売、これを受けて急遽生産枠を確保して追加販売を11月30日にするも、これも即完売という人気ぶり。どんなクルマかをご存知ない方へ向けての解説です。

四国お遍路を巡るシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。
四国第54番札所「延命寺」
試乗車のボディカラーは「サープル」

フランスの自動車メーカー、シトロエンの2列シート5人乗りのMPVが「ベルランゴ」。世界初公開は2018年3月。それ以降、日本の正規輸入社となる、プジョー・シトロエン・ジャポン(現在は社名変更し、グループPSAジャパン)へ日本導入についての問い合わせが無数にあったとか。

全長、全高は日産NV200とほぼ同じ。全幅は1,848mmと広め。

プラットフォームは、プジョー508と同じ「EMP2」を採用。ただ、ベルランゴは本国フランスでは商用車としての扱いもあるため、リアの足回りの関係上、旧型ベルランゴのプラットフォームのリアの一部分を流用した組み合わせとなっているとのこと。

田んぼの真ん中、青空を背景に撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。
四国第42番札所「仏木寺」の近く

本国フランスなどで販売されるベルランゴは、全長が4,403mmの2列シート5人乗り、全長4,753mmの3列シート7人乗り2つのタイプ、フロントマスクなどを変更した商用バンもラインナップ。エンジンも出力違いの1.2Lガソリンと1.5Lターボディーゼルが設定されています。日本導入されるベルランゴは、全長4,403mmの2列シート5人乗りで、1.5Lターボディーゼル、8速AT仕様のモデルのみとなります。

ベルランゴ・バン
日本には未導入の本国フランスのベルランゴ・バン。フロントマスクが違います。

MPVとは?

マルチ・パーパス・ヴィークル。ミニバン、トールワゴンのことであるが、日本ではミニバンというと6人乗り以上の3列シート車のこととすることがよくあるため、本記事ではあえて区別してMPVと記述しています。

四国第60番札所「横峰寺」の手前のドライブインのような場所で山間を背景に撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。
冬季は車両通行止めになる林道の先にある四国第60番札所「横峰寺」の手前のドライブインのような場所。

「ドンブラコ」とした乗り心地

四国霊場第21番 太龍寺の駐車場にて撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。
四国第21番札所「太龍寺」

グループPSAジャパンさんでベルランゴをお借りして、数百メートル走ったファーストインプレッションは「ドンブラコとした乗り心地」でした。この乗り心地は、いかにもコンフォート=快適さを追求するシトロエンらしいおおらかな乗り心地です。SUVのC5エアクロスC3エアクロスのサスペンションストロークがたっぷりでソフトな乗り心地と同じライン上にある印象でした。この「ドンブラコ」感を最も味わえるのが、高低差のある歩道から車道へ斜めに横切ってでたとき。ゆったりとゆっくりと大きめの車体が揺れます。揺れるクルマは悪とされることも多いのですが、ベルランゴの揺れ方は「良」です。ただ、乗り心地は人の好みがわかれるところ。しっかりカッチリとしただ、乗り心地を好む方がどう感じるかは、微妙なところでしょう。

シトロエンファンなら、嬉しい乗り心地のはず。ずいぶんと前になりますが、ほんの少しばかり2CVに乗ったときの、ゆらゆらとした乗り心地を思い出し、その血が流れた末裔ではないかと感じました。

四国第22番札所「平等寺」で撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。
四国第22番札所「平等寺」

ドンブラコとした乗り心地をさらに快適にしてくれるのが、シート。もとよりシトロエンのクルマは柔らかめでソファーのような座り心地で、家にいる快適さを車内でも、といった傾向があります。特に、リアシートはきちんと3等分して、真ん中に座った人も快適にしているところは注目ポイント。これは、シトロエン C5エアクロスも同じです。

燃費はライバルのカングーに勝利

シトロエン・ベルランゴ デビューエディションのメーターに表示される燃費の画像9枚をひとまとめにした画像
四角のメーターの3つ並ぶ数値のセンターが燃費。右が走行距離、左が平均時速。

グループPSAジャパンから、日本仕様ベルランゴのWLTCモード燃費、JC08モード燃費が現時点出されていないので、カタログ燃費との差異は不明ですが、まとめますと実燃費は次のとおりとなりました。

平均燃費14km/L
市街地12km/L
郊外15km/L
高速道路19km/L

燃料代が安い軽油ですので、経済性はなかなか良好な数字です。ライバルとなるルノー カングーはハイオク仕様、実燃費をインターネットの情報を調べてまとめたところの数値では、平均燃費が10~12km/Lあたりだったことからすると、総じてベルランゴの方が燃費、燃料代は良好となった結果でした。

3,084km走行のトリップメーターとトータル燃費14.4kmを示すシトロエン・ベルランゴ デビューエディションのメーター。
ベルランゴをお返しした時点での数値。

グループPSAジャパンさんへ、ベルランゴを返却した時点での平均時速は22kmで燃費は14.4km/Lでした。東京から四国お遍路の1番札所「霊山寺(りょうざんじ)」のある徳島県鳴門市までは高速道路、それ以降は、市街地2割、山岳路2割、郊外4割、自動車専用道路1割ぐらいの比率です。渋滞はごくわずかしかなく、乗車は1人、たいした荷物はなし(一番重いものが布団)、エアコンはONですが気候的に実質ほぼ稼働なしのヒーターのみの条件です。

よく走るエンジン

徳島市を流れる吉野川にかかる「潜水橋」で撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。
徳島市を流れる吉野川にかかる「潜水橋」。増水すると橋が“潜水”する構造。

エンジンは、プジョー 308にも搭載されている、直列4気筒1.5Lターボディーゼル、最高出力は130ps、最大トルクは300N・m。車重は公表値がありませんが、筆者調べの推測で1,500kgほど。燃費の項で記しましたが1人乗車で荷物が少ない状態ではありますが、全く不満なくよく走ってくれます。四国お遍路の道中、とんでもない山道がありますが、パワー不足を感じることはありませんでした。たぶん、荷持を満載して5人乗車の高負荷でも、割と走ってくれるのでは?と期待が持てました。市街地ではアクセルを踏み込めば、交通の流れをリードすることもできます。シトロエンのクルマは皆、踏むと速いんですよね。ベルランゴも然り。

四国第58番札所「仙遊寺」の山門で撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。
四国第58番札所「仙遊寺」の山門

山道のコーナリングは、車高の高いMPVらしさがでます。快適さ重視の乗り心地とした足回りのため、カーブでは車体がロールしますが不快な感じや不安感はありません。トルクのあるよく走るエンジンのため、峠でも運転する楽しさがあります。

長時間乗っても疲れ知らず。先進安全技術も搭載。

四国第10番札所「切幡寺」で撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。
四国第10番札所「切幡寺」

「疲れ知らず」は物理的にありえない誇張表現ではありますが、四国お遍路を6日間で周り切れたのは、ベルランゴのおかげだったのかもしれません。この点もシトロエンらしさを強く感じたところ。総じてシトロエンのクルマは長距離移動が楽です。商用車の設定もあるベルランゴ、仕事で丸一日乗りっぱなしのシチュエーションはごくありふれたものでしょう。このあたりを意識してのことでしょうか、長距離・長距離移動が思っていた以上に楽であったことは特筆すべき点でした。

四国第35番札所「清瀧寺」で撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。
四国第35番札所「清瀧寺」

トルクのある1.5Lディーゼル・ターボに、8速ATの相性が良かったのも長時間の運転を疲れさせない要素。このクラスのクルマにしては、8速ATは珍しい。山道も高速道路の巡航も不自由しません。ちなみに、パドルシフトが付いています。山道のカーブで1速落としてアクセルオンでコーナリングできます。

前車追従のアクティブ・クルーズ・コントロール、車線逸脱防止支援システムも備わり、標準的な先進安全技術系は装備され、安全と楽な運転をサポートしています。

車中泊にも最適。不満なし

四国第30番札所「善楽寺」で撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。
四国第30番札所「善楽寺」

四国お遍路3,000km走破は5泊6日の旅となりました。5泊ともに車中泊での旅です。後部座席を畳み込み、お値段以上のニトリ製のシングルサイズの敷布団をひくと、20cmほど室内長が足りません。ニトリ製シングルサイズ敷布団の全長は2,100mm。実質有効室内長は1,800mm強程度といったところです。身長180cmの筆者でぎりぎり足を伸ばして寝られる空間ができます。室内の高さも車中泊には重要な要素。車内での着替えにストレッチ運動をするかのような姿勢を取る必要がありません。個人差はありますが、2人乗っての車中泊もできなくはなさそうです。

シトロエン・ベルランゴ デビューエディションのラゲッジスペース、シート分割4パターン
助手席を倒せば2.5mほどの長尺物も積載可。

開放的なインテリアと豊富な収納スペース

シトロエン・ベルランゴ デビューエディションのガラスサンルーフとリアゲート
面積の大きいガラスサンルーフ。ルーフを縦断するような、すりガラス状の樹脂パネル内にはLEDのアンビエントライトが点灯。昼間の明るさと夜間の演出を兼ねる。さらに、そこにモノを置くこともできる。リアゲートは通常の開け方とガラスハッチのみの開閉の2通りが可能。(グループPSAジャパン広報画像)
シトロエン・ベルランゴ デビューエディションのインパネ
こちらも広報画像で失礼します。(撮影したはずなのですが…)日本仕様は右ハンドル。ATシフトはダイヤル式。慣れると使いやすい
シトロエン・ベルランゴ デビューエディションの室内ルーフボックス
Tシャツ4枚、厚手のパーカー4枚、下着4枚、靴下4足、スウェット1着 を飲み込んだ。

5泊6日の車中泊を支えてくれたのは、ラゲッジスペースの天井に取付けられた収納ボックス。ここに4泊分の着替えを収納しました。(途中、一度、コインランドリーのお世話になっています)

シトロエン・ベルランゴ デビューエディションの後席

ベルランゴは後席に力を入れたつくりに。見た目ではっきりとわかる3人用のリアシートを装備し3分割で折り畳めてフレキシブルに積載スペースをつくることができます。

シトロエン・ベルランゴ デビューエディションの後席シートアレンジ4タイプ
フルフラット時、後席部分に若干の傾斜がつくが、布団を敷いて寝るには苦痛ではない。
シトロエン・ベルランゴ デビューエディションのラゲッジスペース
ラゲッジスペースにはAC12V電源、小物入れ、荷物を固定するフック受けなどを装備

The コンフォート MPV

吉野川にかかる潜水橋を背景に撮影したシトロエン・ベルランゴ デビューエディション。

見出しそのまま、コンフォート=快適なMPV。これがシトロエン・ベルランゴで3,000km走ったインプレッションのひとこと統括。長時間運転の疲れにくさ、走りと燃費のよさ、使い勝手のよさとトータルバランスに優れたクルマでした。

さて、気になるのはベルランゴの日本導入と時期を同じくして、同型のプジョー版「リフター」の乗り味がどうなのかがとても気になるところです。リフターもいつか試乗レポをお届けします。

試乗車のスペック・価格

全長4,403mm
全幅1,848mm
全高1,844mm
ホイールベース2,785mm
車両重量未公表
乗車定員5名
エンジン直列4気筒DOHC ディーゼル・ターボ
排気量1,498mm
最高出力96kW[130ps]/3750rpm
最大トルク300N・m/1750rpm
駆動方式前輪駆動(FF)
トランスミッション8速AT
使用燃料軽油
燃費未公表
新車車両価格税込3,250,000円

※シトロエン ベルランゴ デビューエディションは販売終了。正規導入は2020年秋頃の予定とのこと。

CITROËN 公式WEBサイト(グループPSAジャパン)

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この記事の執筆者
MOBY編集部 宇野 智