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過去は「年間販売0台」記録…「ヒョンデ」こと現代自動車が日本再参入する理由

「ヒョンデ」という自動車メーカーをご存知でしょうか?ヒョンデとは、過去に日本でも販売していた韓国自動車メーカー・ヒュンダイの現地発音。

そのヒョンデが水素燃料電池車をひっさげて、再び日本市場参入を画策しています。なぜ今になって、日本への再参入を計画しているのでしょうか。

現代自動車「ヒュンダイ」改め「ヒョンデ」とは?

©Alexandr Blinov/stock.adobe.com

「ヒュンダイ」の名前なら聞き覚えのある方も多いでしょう。1967年に創業した現代自動車ことヒュンダイは、韓国最大手の自動車メーカーであり、2020年に社名を現地読みの「ヒョンデ」に統一しました。

ヒュンダイとして日本で販売していた当時は、サッカー日韓ワールドカップ2002や、韓流ブームの盛り上がりを見せていた時期。ヒュンダイはXGやソナタといった車種を販売していました。しかし「冬のソナタ」で主演を務めたペ・ヨンジュン氏をTVCMに起用するも、日本での自動車の販売は振るわず、2010年には完全撤退を強いられた過去があります。

しかしヒョンデの世界的な評価は高く、現在では自動車メーカーの売上販売台数5位の大企業にまで成長。2019年には2車種で北米カーオブザイヤーを受賞し、さらに欧州でのシェアはトヨタを上回るともいわれています。

そして、近年ヒョンデが力を入れているのは電気自動車(EV)と水素燃料電池車(FCV)です。FCVの開発に着手した時期は遅かったものの、ヒョンデは初代トヨタ MIRAIよりも1年早くFCVの販売を始め、2018年には第二世代となるNEXO(ネッソ)を発売しました。

ホンダ クラリティ FUEL CELLが2021年9月に販売を終了したため、現在世界で販売されているFCVは、トヨタ MIRAIとヒョンデ NEXOのみ。2020年12月に新型MIRAIが登場するまでは、FCV世界シェアの7割をヒョンデのNEXOが占めていました。

ヒョンデが日本へ再参入した背景には、このFCV・NEXOの存在があったのです。

ヒョンデ NEXO(ネッソ)ってどんな車?

ヒョンデ NEXOは、ミドルクラスSUV型の水素燃料電池車。読み方は「ネッソ」もしくは「ネクソ」です。

ボディサイズは全長4,670×全幅1,860×全高1,640mmであり、トヨタ RAV4と同じくらいのサイズ感。スタイリングや雰囲気には、かつてのヒュンダイのような安かろう悪かろうという印象は一切なく、欧州プレミアムカーにも劣らない洗練された内外装が与えられています。

気になるNEXOの最大航続距離はWLTCモードで820kmです。2代目トヨタ MIRAIの廉価グレードの750kmを上回るも、上級グレードの850kmには及びません。空気抵抗が大きなSUVということもあり、NEXOよりもセダンボディのMIRAIのほうがエネルギー効率には優れています。

それに引き替え、SUVボディのNEXOは日常での使い勝手の良さが強みです。水素タンクが場所を占有するため一般的なガソリン車に比べて床面が高いものの、ほぼフルフラット。

水素タンクを守るためにボディは非常に強固なうえ、世界基準の運転支援システムが搭載されているためNEXOの安全性は十分といえるでしょう。ドライバーが乗っていなくてもリモコンキーだけで自動駐車を作動させられる最新の自動駐車機能も搭載されています。

NEXOの日本への導入は検討段階のため、まだ販売も開始されていません。しかしすでに型式認証は取得され、日本でも数台が走行しているため、CEV補助金対象車リストには加えられています。

日本での正式な販売価格は不明ですが、CEV補助金対象車リストに掲載されたNEXOの車両価格は税抜きで706万円です。

なぜいまさら? ヒョンデの日本再参入計画

ヒョンデに日本でNEXOを販売する意図があるのは明確でしょう。しかし、なぜ今になって日本市場へ再参入したのでしょうか?その理由は、日本が現状もっとも水素ステーションが整備されている国だからです。

FCV販売台数をのばす鍵は水素ステーションの整備にあります。

一般社団法人次世代自動車振興センターの調べによれば、2021年9月現在、日本の水素ステーションは4大都市圏を中心に155箇所が開業しており、FCVがもっとも普及している韓国よりも多くの水素ステーションが稼働しています。

さらにENEOSは、2022年春から既存の給油所での水素充塡サービスを開始予定。LPガスでトップシェアの岩谷産業も簡易型水素ステーションの建設を進める予定だといいます。

そのほかの国ではEV化が主流で、水素インフラはまだまだ発展途上です。アメリカでも水素ステーションの整備は進んでいるものの、トラックやバスなどの大型車での利用が主体。欧州では、自動車よりも鉄道やフェリーなどでの利用を積極的に行っています。中国やオーストラリアは、ようやく本腰を入れて水素インフラの整備を始めたところです。

現状唯一の水素燃料電池車のSUVを、水素先進国である日本に売り込むというヒョンデの判断は、堅実で正しい戦略といえるでしょう。

しかし日本の自動車市場は甘くない!

しかし、ヒョンデ再参入のもっとも大きな障害となっているのはトヨタです。FCVが本格的に普及する兆しを見せれば、トヨタは本腰を入れてFCVラインアップを拡充させるでしょう。

古くからFCVの技術開発を行っていたホンダや日産も見過ごすはずはありません。まだ未開拓に近い状態のFCV市場とはいえ、トヨタとホンダ、日産を擁する日本でヒョンデが勝ち上がるのは容易ではないでしょう。

車の販売は、ブランドイメージが大きく影響します。FCVの先進メーカーとはいえ、過去に撤退したヒョンデの日本における知名度の低さは致命的。今後、早い段階で「FCVといえばヒョンデ」のイメージを上手く日本人に定着させることができれば、日本での販路拡大の追い風になるかもしれません。

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執筆者プロフィール
伊藤友春
伊藤友春
1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...
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