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マクドナルドが有名だけど…ドライブスルーを世界で最初に導入した業界は?
「ドライブスルー」といえば、まず思い浮かぶのがマクドナルドなどのファストフードチェーンです。車を降りずに商品を受け取れる利便性から、ドライブの道中などに利用した経験のある方も多いでしょう。
今では身近な存在になっているドライブスルーですが、いち早く導入したのは一体どんな企業だったのでしょう。ドライブスルーの歴史や、現在国内にある「変わり種」の店舗について紹介します。
最初のドライブスルーはアメリカの「銀行」
ドライブスルーの起源は、自動車が急速に普及していく1930年前後のアメリカ合衆国にあったと考えられています。広大な国土に車社会が浸透するなか、ドライブスルー型のサービスが広まっていくのは自然なことでした。
しかし、ドライブスルーの設置年に関する明確な記録はほとんど残されておらず、資料によって「どの企業が最初か」についての記載は異なります。
一方で、複数の資料からは、いち早くドライブスルーを取り入れた業界が「銀行」だったことが読み取れます。1920年代後半から1930年代にかけて、テキサス州ダラスのHillcrest State Bankや、ミズーリ州セントルイスのGrand National Bank、ミズーリ州カンザスのCity Center Bank(現UMB Financial Corporation)がドライブスルー型のサービスを開始したという記録が見られます。
車内にいるまま預け入れや引き出し、残高照会などを行えるドライブスルー型ATMは、現在でもアメリカに多く見られるシステムですが、すでに自動車の黎明期にその端緒があったのです。
飲食店初のドライブスルーはマックではない?
飲食店で初めてドライブスルーを導入したのは、テキサス州ダラスを本拠とするKirby’s Pig Stand(現Woodfire Kirby’s)というチェーン店です。アメリカの放送局A&E Television Networks が運営するHISTORY.comによれば、1931年、ロサンゼルスの店舗においてドライブスルー形式が採用されたと記録されています。
同店は1921年に「ドライブイン」形式を初めて導入したことでも知られています。ドライブインの飲食店では、店舗敷地内に停車した車に店員がオーダーを聞き、商品を車内まで届けるシステムがとられます。客側は車内でそのまま食事を済ませることができ、現在でもアメリカの郊外エリアでは珍しくない形態です。
なお、マクドナルドのドライブスルーは意外にも、他のファストフードチェーンに先駆けていたわけではなく、1975年に初めてアリゾナ州シエラビスタの店舗に導入されました。この店舗の近隣に軍事施設が多かったことから、主にセキュリティ面の問題などで車両から降りられない軍関係者に向けたサービスとして展開されていたようです。
ちなみに、日本マクドナルドが初めてドライブスルーを採用したのは1977年のことです。店舗は東京都の「環八高井戸店」ですが、残念ながら1991年に閉店しています。
日本初のドライブスルーはマックではない?
明確な記録として残されているうち、日本においてドライブスルーを導入した時期がもっとも早いのは、東京都の日本橋に本社を置く「山本海苔店」です。同社は1849年創業の老舗店であり、「味附海苔」を創案し宮内省(現在の宮内庁)の御用達を賜っていたことでも知られています。
山本海苔店の公式ページによれば、1965年の本社屋建て替えに伴いドライブスルーが設置され、夜間や雨天時の手土産需要に応えていたとのこと。なお、1991年のビル工事においてドライブスルー設備は撤去されています。
ドライブスルーを導入する意外な店
主にファストフードチェーンに見られるドライブスルー型の店舗ですが、なかには珍しい業種も。とりわけ、群馬県にはドライブスルーが多く存在し、眼鏡ショップの「JINS」やラーメンショップの「幸楽苑」などがドライブスルーのサービスを展開しています。
その他、群馬県にはクリーニング店や薬局、質屋のドライブスルーなどが点在し、かつてはコンビニでもドライブスルー店舗があったといいます。また、2021年と2022年の正月には、「高崎だるま市」のなかで「だるまのドライブスルー販売」が実施されました。
神奈川県の小田原市にはなんと「仏壇」のドライブスルーがあり、SNSなどで頻繁に取り上げられています。ただしこちらは駐車場までの通路にガラスケースが設置され、仏壇が展示される形であり、車に乗ったまま仏壇を購入することはできません。
近年話題を呼んだドライブスルーとしては、株式会社フードサプライが「ドライブスルー八百屋」を東京都大田区や神奈川県横浜市などに展開した例が挙げられます。販売日程は限られていますが、車に乗ったまま野菜やお米のセットを詰め込んでもらうことができ、感染症対策の面でも際立った取り組みとして評価されています。
2020年からは、新型コロナウィルスのPCR検査やワクチン接種をドライブスルー形式で実施する例が各国で見られるようになり、ドライブスルーの新たな利点が注目されています。これから先、これまでにない形態のドライブスルーが登場しても不思議ではないかもしれません。
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- 執筆者プロフィール
- 鹿間羊市
- 1986年生まれ。「車好き以外にもわかりやすい記事」をモットーにするWebライター。90年代国産スポーツをこよなく愛し、R33型スカイラインやAE111型レビンを乗り継ぐが、結婚と子どもの誕生を機にCX-8に乗り換える...