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ついにフェラーリもSUVを発売!これがSUVブーム終焉の前触れか?
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2000年代初頭に登場したカイエンとX5
ユーザーの価値観を一変させたのは、ポルシェ カイエンとBMW X5です。
ポルシェ、BMWとも、クロカン4WDを開発するノウハウをまったく持たないメーカーでしたが、モノコックボディとインディペンデントサスペンションの知見を活かして、実用性とマルチパーパス(多目的)性、そしてスポーツカーのテイストを併せ持った新しいカテゴリーを創造したわけです。
市場では両モデルとも大ヒットとなり、ポルシェは経営危機から脱却することができました。
その後、各社からもSUVモデルが続々と登場していきます。それらはパッセンジャーがしっかりと乗れて、ラゲッジスペースも広く、車内の快適性、開放感は抜群。かつてはイロモノ扱いだったSUVは、すっかりスタンダードなカテゴリーとなったのです。
もちろんSUV自体が進化したこともありますが、いまやアイポイントの高さや運動性能の悪さを指摘する自動車ジャーナリストはいません。
市場では、さらにコンパクトなサイズで扱いやすく、シルバーエイジでも乗降がしやすいクロスオーバーSUVも活況を呈しています。昨今では、軽のトールワゴンですら、クロスオーバーテイストを纏ったモデルが人気となっています。
しかし、それが広まれば広まるほど、当初ユーザーが感じていたSUVを所有する特別感や満足感が薄れつつあるような気がしています。
2018年、ランボルギーニがウルスを発売
2018年にランボルギーニが「ウルス」を発売した時、やはり今回と同じような印象を抱きました。
ウルスはよくできたSUVで、新しい客層をランボルギーニに誘導しました。いまや同社の全生産数の6割近くが、ウルスで占められています。しかし、多くのユーザーは“あのランボルギーニもSUVに向かうのか”と感じたはずです。
フェラーリがプロサングエをローンチしたことで、主要メーカーのSUVは出揃いました。これは名実ともに、SUVが一般化したことの証し。しかし裏を返せば、かつて“特別感”のあったSUVが、その価値を維持し続けるのが難しくなったと言えます。
今後ユーザーが“ちょっと人とは違う特別なクルマを買いたい”と考えた時に、それを受け入れるカテゴリーはあるのでしょうか。
- 執筆者プロフィール
- 山崎 友貴
- 1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...