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中国車VSトヨタ車・品質調査第2弾! 分解して中身を確かめたてみたら…

続・中国のブロガーによる中国車とトヨタRAV4の品質調査

中国の自動車ブロガー「懂车帝(Dongchedi)」は、同国のブログサイト微博(Weibo)に、中国車と日本車を分解して品質調査を行った記事を投稿しています。

20万元(約400万円)以下のSUVという条件のなかから、テストサンプルとして選ばれた車は、中国でベストセラーとなったクロスオーバーSUVのハヴァル ダルゴと、日本で人気のトヨタ RAV4の2台です。

Dongchediはそれぞれの車を過酷な環境下で長期テストを行った後、車を分解して状態を検査し、その結果を動画としてYoutubeで公開しています。

前回の記事はこちらから

日本代表トヨタ RAV4vs中国代表ハヴァル ダルゴ 

©Konstantin/stock.adobe.com
長城汽車 ハヴァル ダルゴ

比較対象となるトヨタ RAV4とハヴァル ダルゴは、同じモノコックボディを採用するSUVであり、価格帯も同じではあるものの、両車のキャラクターは大きく異なります。

トヨタ RAV4は、街乗りからある程度の不整地まで走行できるオールラウンダー型のクロスオーバーSUVであるのに対し、ハヴァル ダルゴは定評あるハルデックス製の電子制御油圧式フルタム4WDを搭載する本格的なオフロードカーとしての性格が持たされています。

さらにテスト車両のRAV4は、日本のXクレードに相当する2WDモデルのようで、肝心のオフロード性能は比較できないとの旨を動画でも釈明しています。

しかし、その他の部分は比較可能です。メーカーの品質試験でなければ行わないような詳細な検査からは、中国車と日本車の違いが見えてきます。パート1動画に引き続き、今回の動画ではエンジンとシャシーについての調査です。

【下回り対決】ラリーカーのようなRAV4の圧勝

©dreamnikon/stock.adobe.com

オフロード走行で欠かせないアンダーパネルの保護領域は明らかにRAV4の方が広く、アンダーフロアはラリーカーのようにほぼ前面がフラットです。それに対して、ダルゴにもエンジン下部とボディサイドにアンダーパネルが設置されているものの、オフロードカーとして前時代的に隙間が目立ちます。

マフラーの配管は、RAV4が2WDであることもあって、より高く直線的に配置されているにの対し、ダルゴはプロペラシャフトを避けるためにマフラーの最下面がフロア高を下回るため、オフロード走行時は路面に引っ掛かけてしまう懸念があります。

また中間パイプ周りの遮熱板もダルゴは極部分的であるのに対し、RAV4はほぼフロントパイプからセンターパイプにかけての広い範囲に遮熱板が設置されており、アンダーフロアの設計はRAV4の方がオフロードカーとして圧倒的に優れた構造をしています。

【サスペンション対決】バネ下荷重が軽いのはRAV4

©vladimircaribb/stock.adobe.com

スプリング以下のサスペンションアームやハブナックル、クロスメンバーなどの総重量を指し示すバネ下重量は、タイヤの路面追従性に大きく影響するパラメーターです。とくにリアサスペンションの動きは乗り心地に直結するといってもよいでしょう。

ダルゴ・RAVV4ともに、フロントサスペンションはどちらもシンプルなマクファーソンストラットを採用しますが、リアサスペンションはRAV4がスチール製のダブルウィッシュボーンで、ダルゴの方はアルミ製のマルチリンクです。

両車のバネ下重量は、RAV4が214.9kgで、ダルゴはリアデフケースとドライブシャフトの重量が加算された234.2kgです。バネ下重量は実重量よりも大きく増幅されて路面追従性に影響するため、2WDと4WDの違いはあるものの、この場合に限っては明らかにRAV4の方が乗り心地がよく軽快に走ることができるでしょう。

【エンジン実馬力対決】公称値に対する実測値では互角?

©pp1mbp/stock.adobe.com

ダルゴに搭載されるエンジンは、最新の2.0L直列4気筒ターボエンジンであるGW4N20型アルミ製エンジンです。バルブリフトやタイミング調整機構搭載されておらず、水冷式インタークーラーがエンジン横にコンパクトにまとめられてい点が特徴であり、吸気レイアウトを短縮し効率を高めていることが伺えます。

ダルゴのエンジンスペックは最高出力211PS/6,000〜6,300rpm、最大トルクは33.2kgf・m/1,500〜4,000rpmであり、シャシーダイナモ計測による実測出力は165.7PSで、公称値に対する実測値の割合は78.5%です。

一方、RAV4に搭載されるのは日本仕様と同じM20A型ではなく、出力や特性がわずかに異なる可変バルブタイミング機構付きのM20D型自然吸気エンジンです。最高出力は171PS/6,600rpm、最大トルクは21.3kgf・m/4,400〜5,000rpm。実馬力は133.2PSで公称値に対して78%でした。

過去のDongchediによる検査では、欧州車のとくにドイツ御三家は軒並み90%以上であるのに対し、実出力の割合は中国も日本も同じレベルのようです。ただし、動画では言及されていませんが、出力計測においてターボエンジンのほうが高い数値が出やすい傾向がある点は一考に値します。

【ボディ剛性対決】ボディ強度はダルゴの勝利

©Shiva3D/stock.adobe.com

動画では、ボディを構成する主要各部の鋼材を切り出し、曲げ強度を比較することでボディ剛性の高さを測定しており、1,400Mpaの力に耐える最高S級から、440Mpa以下の最低D級まででランク付けしています。なお、ピラーの強度試験ではフレームの中間層と内層の両方の強度が測定されています。

Aピラーの比較では、ダルゴの中間層の強度ランクは「S級」で、内層も「S級」です。RAV4は中間層が「S級」で、内層は980Mpa以上の「A級」でした。

Bピラーはダルゴが「S級」と「B級」で 、RAV4は「S級」と「C級」です。Cピラーはどちらの車も「D級」でしたが、リア側の剛性を緩めて直進安定性を高めるのは多くの市販車の共通事項です。。

ルーフの強度は、ダルゴのフロント側が「S級」でリア側が「C級」、  RAV4は前後とも「S級」です。サイドシルはダルゴのフロント側が「S級」でリア側が「A級」、RAV4が前後とも「A級」という結果になりました。

総合判断すると、ダルゴの方がボディ強度自体は高いといえるでしょう。ただし、あくまでこのテストは鋼材自体の強度の良否であり、実際のボディ剛性は車体形状や断面積などによって複雑に変わります。そうであっても、ダルゴにはオフロードカーらしい、しっかりとしたボディ剛性が与えられている証明にはなります。

執筆者プロフィール
伊藤友春
伊藤友春
1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...

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