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ドライブ時は注意!ブレーキ故障車退避所とは?ダウンヒルでの注意点
長い山道で「ブレーキ故障車待避所」という表示や坂を見たことはありませんか?
こうした待避所は、下り坂でブレーキが故障し、自力では止まれなくなってしまった車のために設けられたものです。
しかし「実際に待避所に入っている車を見たことがない」「これで車が安全に止まれるの?」といった疑問の声も聞かれます。
ブレーキ故障車待避所はどのくらい利用されているのでしょうか?本当に車は安全に止まれるのでしょうか?
待避所の役割は車を強制停車させること
長い下り坂では、平坦な道路と比べて加速度がつき、スピードが速くなります。そのため、アクセルを離したり、ギアを下げることで減速できるエンジンブレーキを使うのが有効です。
しかし、エンジンブレーキを使わずにフットブレーキを踏み続けると、ベーパーロック現象やフェード現象などが発生し、ブレーキが故障する可能性があります。
ブレーキ故障車待避所は、こうしたブレーキが故障して停車できない車が進入する場所です。山間部のカーブの手前や、長い下り坂の途中や終点付近などに多く設置してあります。
場所によって待避所の構造は異なりますが、多くは路面が石段のようになっていて、デコボコしていて、タイヤや車のボディが引っかかり、強制的に車を止められるようになっています。
間近で見るとよく分かるのですが、路面は歩道の縁石くらいの高さがあり、階段状に高くなっています。砂で盛り上げて小さな丘のようになっている場所もありますが、いずれにせよ制御不能になった車を受け止めた際、衝撃を吸収できるような構造です。
待避所に侵入して停止した際、車に傷や凹みが付いたり、衝撃で多少怪我をしたりする可能性は高いですが、衝突・大破・炎上といった大事故はかろうじて防げる…といったところでしょう。
10年前は月に1、2回は使用されていた?
筆者の地元にも数箇所の待避所が存在しますが、そこへ侵入している車を一度も見かけたことはありません。そこで、かつて待避所のある道路の整備や保守を担当していたという知人の建設会社社長に、待避所について話を聞いてみました。
「数年前に整備や保守の担当ではなくなりましたが、現在でも待避所として存在し、運用されています。
しかし、一般道路で車が待避所に進入したという話はここ数年、聞いていません。十数年前までは、ブレーキ待避所に進入した車の回収を月に1、2回は行っていました。
最近は車のブレーキ性能が昔よりも上がり、ブレーキの放熱性能も上がったのかもしれません。ブレーキが故障すること自体減少したのではないでしょうか。
実際、待避所の老朽化もひどく、維持・管理にはそれなりに費用がかかります。今では待避所を解体して、新しい道路になっている場所すらあります。推測の域を出ませんが、待避所は全国的に減少しているのかもしれません」
ドライバーの体感だけでなく、実際に整備・保守を担当された方の経験からも、現在はブレーキ故障車待避所が使われることはほとんどなくなっているようですね。
下り坂でのブレーキ故障は大事故を引き起こすことも
ブレーキが故障して車を止められなくなった場合、どのようなことになるのでしょうか。
まず想定されるのは、速度の出過ぎでカーブを曲がりきれず、ガードレールに接触するということです。山間部にはガードレールすら設置していない場所もあるため、崖から転落することも想定され、命の危険に関わる大事故につながります。
直線道路であれば、赤信号で止まることができずに交差点に進入し、停車中の車や対向車に衝突する危険性が極めて高くなります。自分自身はもちろん、相手に怪我を負わせてしまう可能性もあるでしょう。
ブレーキ待避所に進入することで、こうした危険性を少しでも軽減させることができます。
最も大事なのは、待避所に進入せずに済むよう、長い下り坂ではエンジンブレーキを積極的に活用すること。加えて日頃の点検、整備を欠かさないことです。山道を久しぶりに走るという人は、お出かけ前に車の点検を行うと安心でしょう。
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- 執筆者プロフィール
- 室井大和
- 1982年生まれ。ライター歴6年、自動車業界9年。合わせて約15年。雑誌編集、記者、指定自動車教習所員資格保有。愛車はスズキスイフトスポーツ(33型)、BMW323i(E90型)、ジムニー(JB23型)。車はセダンではじ...