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ガソリン「リッター100円以下」LPG(液化石油ガス)で走る車が普及しない理由
なぜ自動車用LPGは市販車へ採用されないの?
燃料の安さや環境への負担の少なさなどを考えれば、LPG車がもっと普及しても良いように思えますが、実際にはあまり普及していません。
その理由のひとつとして、LPガススタンドの数が少ないことが挙げられます。
LPガススタンドは全国で2,000箇所もなく、一般的なガソリンスタンドと比べると、圧倒的に少ない状態。教習所や法人の営業所などに設置できる「簡易型LPガススタンド」も普及してはいるものの、一般ユーザーからみて『どこで補充すればいいのか分からない』というのは、やはり不安要素です。
また、LPG車にはLPGを充填するタンク(LPガス容器)が積まれていますが、6年ごとに燃料タンクの検査を受ける必要があります。ボンベやバルブの検査をクリアしなければ、LPGの充填は不可。個人使用の場合、このような手間を煩わしく感じる方もいるかもしれません。
さらに、トランク内にガスタンクが取り付けられていれば、ラゲッジスペースへの影響も無視できない要素です。トランクスペースが圧迫されるため、大きな荷物を入れにくくなってしまいます。使い勝手におけるマイナス面も、市販車において普及しない要因のひとつでしょう。
「セルフ給ガス」は基本的に行っていない
ところで、LPG車の給油(給ガス)は、どのように行うのでしょうか。オートガスステーションを併設するLPガス取扱店に聞いてみたところ、
「基本的に通常のガソリンスタンドと仕組みは同じです。オートガスステーションで専用のホースを使い、タンクに燃料を充填します。ただし、給油口を開け、充填用の突起にノズルを接続しただけでは燃料補給はできません。燃料タンクのバルブを開けてから充填する必要があります。」とのこと。
仕組みはほとんど変わらないといっても、LPG車の場合、燃料を補充するための”作業”がガソリン車よりも多い様子。また、LPガスの取り扱いは危険なためか、ガソリン車のような「セルフ給油」は基本的に行っていないようです。
ちなみに、オートガスステーションを利用する客層について聞いてみたところ、ごく稀に個人で利用する方もいるようですが、利用者のほとんどがタクシーやトラックのドライバー、あるいはLPG仕様の営業車を所有している法人とのこと。
先述のようにLPGは燃料代が安く、環境にも優しいエコカーのひとつ。しかしながら、クルマは凄まじいスピードで進化し続けているため、個人であえてLPG車を選択する動機付けは薄いのかもしれませんね。
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- 執筆者プロフィール
- 成田 佑真
- 1993年生まれ。普段は医療機器販売を行っているが、暇があれば自動車関連記事を読み漁る。現在の愛車はA4。子どもの頃からマークⅡに憧れ、社会人になりマークXを購入。週末は必ず手洗い洗車を行い、ドライブに出...