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復活の夢を捨てきれない…1980年代の魅惑的なリトラクタブル・ヘッドライトモデルたち【推し車】
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1980年代に現れた、「リトラクタブル・ヘッドライトのフツーな国産車」
普段はフロントボディの中に隠れて澄まし顔、必要とあらばパカッと開いて眼の前を明るく照らす「リトラクタブル・ヘッドライト」。
ウェッジシェイプ(クサビ型)ボディの先端に配置し、空気抵抗の低減と実用性の両立に寄与する、あるいはかつてのアメリカのように保安基準で求められるヘッドライトの高さをクリアするのに不可欠な装備として、スポーツカーやスーパーカーでよく使われました。
ただしボディ先端に重い可動部を備え、ライト使用時の空気抵抗や視界悪化というデメリットや、歩行者衝突時保護の観点、それにアメリカの保安基準変更もあって今ではほとんど採用されません。
しかし1980年代の日本ではファッション的要素もあってか、スポーツカー以外での採用も…今回はそんな「リトラクタブルヘッドライトを採用した意外な国産車」を紹介します。
マツダ 3代目コスモ 4ドアハードトップ(1981年)
それまで国産車ではスポーツクーペのみに採用されていたリトラクタブル・ヘッドライトを、実用的な4ドアサルーンへ初めて搭載したのは3代目のコスモ。
4ドア / 2ドアハードトップと4ドアセダンがラインナップされたうち、リトラクタブル・ヘッドライトで有名なのはいかにもスポーティなコスモらしい2ドアハードトップの方ですが、4ドアハードトップにも採用されていました。
しかし、いかにハードトップとはいえ実用サルーンに求められるデザインとしては少々奇抜過ぎたようで、1983年10月のマイナーチェンジで4ドアハードトップはオーソドクスな固定式ヘッドライトへ更新されています。
ホンダ 3代目アコードセダン / 2代目ビガー(1985年)
何かと新機軸が採用されるマツダのコスモならともかく、手堅い実用サルーンそのものであるはずのアコード / ビガーに採用したのはビックリ!
当時のホンダは2代目プレリュード(1982年・フルリトラクタブル)、3ドアクーペのバラードスポーツCR-X(1983年・セミリトラクタブル)でデザインの独自性を発揮し、小型セダンのバラード(1983年・セミリトラクタブル)でも採用。
1985年にモデルチェンジしたアコードでも姉妹車ビガーとともにフルリトラクタブル・ヘッドライトで、エアロデッキならともかく保守的な4ドアセダンへの採用に驚かされたものの、これはこれでなかなかカッコよかったと思います。
ただ、コスモやバラードがマイナーチェンジで固定式ヘッドライトへ変更したのと同じ声はアコードでもあったのか、1987年にはヨーロッパ仕様と同じ固定式ヘッドライト版、「アコードCA」も発売しました。
ホンダ クイントインテグラ(初代インテグラ)セダン(1986年)
インテグラといえば3ドアクーペのイメージが強そうですが、本筋はシビックとアコードの中間的な4ドアセダンを中心に開発された大衆車であり、初代にあたるクイントインテグラにも4ドア / 5ドアセダンを設定。
どれもリトラクタブル・ヘッドライトを採用しており、初代のセダンと、3代目タイプRの4ドアハードトップ(DB8)は、「ファミリーカーにも使えるスポーツカー」的なインテグラを象徴する存在です。
トヨタ 3代目ターセル / 3代目コルサ / 2代目カローラII リトラ(1986年)
リトラクタブル・ヘッドライトを採用した国産車の中でもっとも特異なのが、トヨタのL30系タコII(ターセル / コルサ / カローラII)かもしれません。
スターレット以上カローラ未満の、1.3~1.5リッター級コンパクトカーという微妙なポジション(現在だとアクアに相当)で、ターセル / コルサの4ドアセダンは2代目L20系を継続販売、カローラIIを含めた3 / 5ドアハッチバックのみ1986年にL30系へモデルチェンジ。
その時にスポーティグレードのみ国産車で最小のリトラクタブル・ヘッドライト車となり、グレード名もズバリと「リトラ」を冠して展開。
少し遅れて1.5リッターSOHCターボ(3E-TE・110馬力)の「リトラGPターボ」も追加され、カローラIIリトラGPターボは初代セリカGT-FOUR(ST165)とともに、映画「私をスキーに連れてって」の劇中車として注目を浴びました。
マツダ ファミリアアスティナ / ユーノス100(1989年)
1990年代に入ると国産メーカー各社も冷静になって、「コスト管理が大事な実用車へリトラクタブル・ヘッドライトなんて採用してる場合じゃないのでは?」と気が付いたようで、採用車はパッタリとなくなっていきます。
最後となったのは1989年、バブル時代の勢いに乗って拡大した販売網へ乗せる取り扱い車種を増やしていたマツダで、ファミリアをベースとした5ドアクーペ、「ファミリアアスティナ」と、姉妹車の「ユーノス100」に採用しました。
これ自体はファミリアがベースと思えないほどカッコ良かったですし、マツダ323F(323はファミリアの海外名)として販売されたヨーロッパでは、「デザインと実用性を両立したスポーティなクルマ」として好評でしたが、日本ではあまり売れませんでした。
ヘッドライトが奇抜だったから…というより、初代スバル レガシィツーリングワゴンのヒットで5ドア車が市民権を得たとはいえ、あくまでワゴンブーム、RVではない5ドアハッチバック車が1990年代後半に売れだす以前ですから、出るのが早すぎたかもしれません。
1994年まで販売されたアスティナ/ユーノス100ですが、その前年に発売された後継のランティスクーペはリトラクタブルではなく、薄目の固定式ヘッドライトでした。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...