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運転のうまさはブレーキングでわかる?運転免許試験場の技能試験官にコツを聞いた
ブレーキは「一定に」+「だんだん弱く」が基本
筆者がかつて勤務していた教習所でも、ほぼ毎日のように停車時の衝撃を和らげるにはどうすればいいか質問されていました。
特に、技能試験中やみきわめ中(試験前教習)の運転では、緊張していることもあってか、ほぼすべての教習生は、停車時の衝撃が発生していました。
さらには、停車時ではなく単なる減速(時速40キロくらいから徐行くらいまで)であっても、ブレーキの力加減にかなりの波(強弱)があり、乗員全員が前後に大きく揺られることもありました。
そのため、教習ではかなり早い段階から直線道路でしっかりと加速させ、ブレーキの踏み加減を身に付けさせるように指導していました。
前述の技能試験官はブレーキ操作について次のように話します。
「運転に慣れていない、あるいはあまり上手くないドライバーはブレーキを強く踏む傾向にあります。しかし、正しく整備されている車であれば、どんな車種であれ、わずかな力でもしっかりとブレーキが効くようになっています。
力いっぱいペダルを踏み込めない人でも、ブレーキが効くようになっているのです。
ブレーキ操作の上達のコツは、一定の力加減でブレーキを踏み込み徐々に踏み込みを弱めていくことです。ペダルを踏み込む量を、一定にしつつ、徐々に弱くしていくことが基本です。」
それでもうまくいかないときは運転姿勢を見直して
ブレーキを一定の力加減で踏み込めないのは、運転姿勢に問題がある場合もあります。例えば、座席シートの位置が極端に近かったり、遠すぎたりしても、ブレーキを一定の力加減で踏み込めません。
特に座席が近すぎると足を自由に動かしにくくなるため、ブレーキコントロールがかなり難しくなります。
教習では、いざというときのためにあえて急ブレーキを踏み込む練習をします。その際、足とペダルの位置が近すぎると思いっきり踏み込めないことがあります。
つまり、適切かつ正しい運転姿勢が保てていないと、ブレーキの力加減の調整どころか、思いっきり踏み込むことさえ難しくなってしまうのです。
正しい運転姿勢をおさらいしておきましょう。
- シートに深く腰をかけ、背もたれに軽く背中を付ける。
- ハンドルの上部(体から一番遠い部分)を握ってひじが軽く曲がるようにする。
- 膝はブレーキペダルしっかり踏み込んだ状態でわずかに屈折するようにする。
- かかとを床に付け、かかとを支点にしてペダルの踏み込み加減を調節できるようにする。
運転の上手さは、どれほど速く走れるかでもなければ、ハンドルさばきでもありません。交通ルールに則った正しい法規走行と、周囲の流れに合わせた最適な速度、同乗者を不快にさせない操作とゆるやかな加減速にこそあると筆者は考えます。
運転ベタを改善するために、日頃の運転スタイルを見直してみてはいかがでしょうか。
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- 執筆者プロフィール
- 室井大和
- 1982年生まれ。ライター歴6年、自動車業界9年。合わせて約15年。雑誌編集、記者、指定自動車教習所員資格保有。愛車はスズキスイフトスポーツ(33型)、BMW323i(E90型)、ジムニー(JB23型)。車はセダンではじ...